クリエイティブメディアのデスクトップ用アクティブスピーカー「Creative Pebble Nova」(2024年12月発売)が今、大きな話題となっている。球体デザインのユニークな製品で、比較的コンパクトで使いやすさも備える上、音質の点でもなかなかに優秀。PC用としてはもちろん、テレビ用やデスクトップオーディオのためのアクティブスピーカーとしても多目的に使えるモデルとなっている。動画配信サービスや音楽配信サービスを楽しむ人にとっても注目のスピーカーだ。

 そんな「Pebble Nova」の原点となるスピーカーがPebbleシリーズ。手のひらサイズの球体スピーカーだ。よく似たスタイルながらも9つのバリエーションがあり、使い方に合わせて選べるようになっている。今回はそのPebbleシリーズの各モデルを振り返りながら、そこに込められた技術や、高機能化・高音質化を果たしていった歴史を振り返ってみたい。

Creative Pebbleシリーズ一覧
クリエイティブメディアのデスクトップパワードスピーカーPebbleシリーズは、2017年に登場以後、順調にラインナップを拡大してきており、現時点では9モデルを擁するまでになっている。ここでは各モデルの特長を簡潔に紹介していきたい(ステレオサウンドONLINE編集部)。

 購入の目安になるように、下記に気になる項目でグルーピングしたリストを掲載するが、中でも初代「Pebble」は発売以来現在までロングセラーを続けているので、PCと組み合わせる初めてのデスクトップスピーカーを探しているユーザーには好適だろう。

●アナログ接続モデル
「Pebble」「Pebble Plus」「Pebble V2」「Pebble SE」

●USBオーディオ/Bluetooth接続モデル(アナログ接続もOK)
「Pebble V3」「Pebble Pro」「Pebble X」「Pebble X Plus」「Pebble Nova」

●サブウーファー付きモデル
「Pebble Plus」「Pebble X Plus」

●ライティング機能付きモデル
「Pebble SE」「Pebble Pro」「Pebble X」「Pebble X Plus」「Pebble Nova」

 また、USBオーディオに対応したモデルなら、PCとUSBケーブル1本の接続でOK(※注)なので、初心者から中級クラスまで十全に使えるようになる。Bluetooth入力機能もセットなので、スマホやタブレットに格納している楽曲の再生にも使えて便利だ。価格面を考慮すると「Pebble V3」が俄然注目される。

※注 「Pebble Nova」についてはUSB PDアダプターによる給電仕様なので除く。また、「Pebble X」「Pebble X Plus」については、30W出力を行なうにはUSB PDによる給電が必要

 音質にこだわるのであれば、各部を刷新した「Pebble X」「Pebble X Plus」、あるいはリニューアルした「Pebble Nova」が候補に挙がってくるだろう。

 後段では初代「Pebble」、「Pebble X」「Pebble X Plus」、そして「Pebble Nova」の鳥居氏による音質レビューも行なっているので、製品選びの参考にしてほしい。

 
●「Pebble」 オープン価格(直販サイト価格¥2,080)

2017年に発売されたPebbleシリーズの初代モデル。デスクトップで使いやすいコンパクトなアクティブスピーカーで、内部の定在波を抑制できる球形ボディ、ユーザーにサウンドがダイレクトに届くように上向き45度の角度で搭載されたドライバーなど、後に続くシリーズの基本を形作っている。音声入力は3.5mmアナログ専用。電源はUSBバスパワー駆動で、最大4.4W RMSの出力を持つ。背面にパッシブラジエーターを備える。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble

 
●「Pebble Plus」 オープン価格(直販サイト価格¥4,700)

2019年にラインナップに追加された、サブウーファーをセットにした2.1chシステム。ウーファー部のドライバーは、ダウンファイアリング式の4インチ仕様で、バスポートも備える。低音の再現をサブウーファーに任せているため、スピーカー本体背面にあったパッシブラジエーターはなくなっている。音声入力はPebbleと同じく3.5mmアナログ専用。USBバスパワー駆動に対応するが、USB ACアダプターを組み合わせることで、最大8Wの出力が可能になる。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-plus

 
●「Pebble SE」 オープン価格(直販サイト価格¥3,300

Pebbleスピーカーの下部に、RGBライティング機能を追加した派生モデル。2024年登場。機能としては初代Pebbleに準じており、3.5mmのアナログ入力専用モデルで、電源用のUSBケーブルの端子はUSB-Cに変更されているのが違い。出力は4.4W RMS。RGBライティング機能を内蔵しても、本体寸法は若干小さくなっている。発光パターンは7種類あるので、ゲームプレイ時に使えば、気分を高めてくれるだろう。カラーリングはブラックとホワイトの2色展開。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-se

 
●「Pebble V2」 オープン価格(直販サイト価格¥3,300)

2019年に発売された初代Pebbleの正常進化モデル。接続性や搭載ドライバーは同様ながら、電源ケーブルの端子がUSB-Cとなったことで、Type-Cポートからの10W給電が可能となり、出力は8W RMS(本体背面に搭載された高ゲインモード オン時)と強化されている。製品には、USB-C to A変換コネクターも同梱されており、USB ACアダプター(5V/2A)と組み合わせることで、USB-C接続の時と同様に8Wの出力が可能。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-v2

 
●「Pebble V3」 オープン価格(直販サイト価格¥5,200)

2020年に発売されたPebbleとしては2世代目となる製品。ドライバーは一回り大きい2.25インチへと進化し、それを格納するボディも一回り大きくなった。電源はV2同様にUSB-Cからの給電が可能で、出力は8W RMSを確保。機能面でも大幅に進化しており、3.5mmアナログ入力に加え、USBオーディオ入力、およびBluetooth入力をサポートするようになり、デスクトップでのPC周辺機器としての接続性も高められている。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-v3

 
●「Pebble Pro」 オープン価格(直販サイト価格¥8,900)

2022年発売の第3世代モデル。V3に対して機能、性能、使い勝手を全方位的にアップさせた、Pebbleシリーズの最上位機。デジタルアンプは新設計され、ドライバーについても再チューニングが施されている。接続性はV3同様でアナログ接続、USBオーディオ、Bluetooth入力に対応。テレワークの普及に合わせてヘッドセット入力を追加するなど、使い勝手も向上している。電源はUSB-PDに対応し(専用端子追加)、出力は30W RMSへと強化された。CreativeのPC用アプリに対応し、PCからの音質設定も可能。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-pro

 
●「Pebble X」 オープン価格(直販サイト価格¥14,800)

Pebbleシリーズの音質をさらに強化した新世代モデル。2024年登場。パッシブラジエータモデルの「X」とサブウーファーをセットにした2.1chモデル「X Plus」(後述)の2ラインを揃える。ドライバーは2.75インチへと口径が拡大され、それに合わせて本体も一回り大きくなっている。Xは背面にパッシブラジエーターを備える。USB PDの給電で30Wの出力が可能。また、Pro同様にCreativeのPC用アプリに対応し、PCからの音質設定も可能。ライティング機能付。
http://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-x

 
●「Pebble X Plus」 オープン価格(直販サイト価格¥20,799)

「X」と同時発売のサブウーファー付き2.1chモデル。Xではスピーカーにパッシブラジエーターを備えていたが、本「X Plus」ではパッシブラジエーターレス構成。機能、仕様についてはXに準じていて、アナログ接続、USBオーディオ、Bluetooth入力、USB PDによる30W RMS出力となる。ウーファー部については、ドライバーは3.5インチ仕様で、さらにパッシブラジエーターをダブルで備えることで、より強固な低音再現が可能。ライティング機能付き。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-x-plus

 
●「Pebble Nova」 オープン価格(直販サイト価格¥41,800)

2024年末に登場したPebbleシリーズのプレミアムモデル。シリーズ初の2ウェイ仕様で、ツィーターとフルレンジを同軸構造で搭載する。背面にはPebbleシリーズのアイコンにもなっているパッシブラジエーターを備えている。電源はUSB PDに対応し、出力は実に50W RMSを誇る。接続は3.5mアナログ、USBオーディオ、Bluetooth入力をサポート。Creativeアプリやライティング機能にも対応する。シリーズ初のスタンド設置も可能。ブラックとホワイトの2色展開。
https://jp.creative.com/p/speakers/creative-pebble-nova

安価で買えるパソコン用のコンパクトスピーカーがその始まり

 シリーズの原点である「Pebble」は、手のひらサイズの球体スピーカーだ。電源はUSBバスパワー、入力は3.5mmのアナログ音声入力のみ。発売された2017年はPCを再生機器としたオーディオ再生も普及し、前年(2016年)秋には音楽配信サービスの大手「Spotify」が日本でのサービスを開始するなど、デスクトップ環境で手軽にオーディオを楽しむ動きが盛んになってきた時期だ。Pebbleは、そんなトレンドに乗って、デスクトップPCやノートPCを使って手軽に音楽などを楽しみたいというユーザーのために生まれたスピーカーとなる。

 価格も2,080円と安価で、PC内蔵のスピーカーからグレードアップするにはちょうどいい設定。PCを置いたデスクトップ環境で使うことを想定しているので、ノートPC・モニターの両サイドに置くセパレートタイプで見た目も可愛らしい球体型、そして45度の角度をつけた配置を採用。これがPebbleシリーズのスタイルとなった。当初は自社通販サイトのみの発売ながら、安さとユニークな形状で大ヒットした。その後、人気に応えて「Pebble V2」以降は、多くの通販サイトや量販店でも販売されるようになる。

 シリーズの進化は、機能性や利便性の強化と高音質化だ。給電用のUSB端子はUSB-Cとなり、やがてUSB PDにも対応。こうすることで、内蔵するアンプ出力はPebbleの4.4Wから、8W(Pebble Plus以降)、30W(Pebble X以降)と強化されていく。そして、USBオーディオに対応、およびBluetoothによるワイヤレス接続対応(Pebble V3以降)と機能性も強化されていく。PC用スピーカーとして人気の高い装備であるRGBライティング機能も「Pebble Pro」で初めて追加、その後「Pebble X/X Plus」「Pebble SE」「Pebble Nova」に採用されている。そして、「Pebble Pro」からは4極ヘッドセット、マイク入力に対応。ゲームなどでのボイスチャットやゲーム配信にも使えるようになり、PCスピーカーとして充実した機能を備えるに至った。

 高音質化という点では、「Pebble V3」でドライバーを2インチから2.25インチへと口径をサイズアップし、8Wのアンプ出力と合わせて、さらに音質を強化している。また、別体のサブウーファーを加えて低音再生を強化した2.1chの「Pebble Plus」がある。小型スピーカーでは難しい低域の量感をサブウーファーに持たせることで、小型システムながらも迫力あるサウンドを楽しめるようにしたモデルだ。こうした2.1chシステムとしては「Pebble X Plus」もラインナップされている。

 PC用スピーカーが出始めた2000年頃は、サテライトスピーカー5個とサブウーファーを組み合わせた5.1chスピーカーなども数多く発売されていたが、最近ではあまり人気がなく、「Pebble Plus」が発売された2019年頃には2.1chスピーカーもほとんどない状況だった。そんな理由もあって、小型でしっかりとした低音が楽しめることでさらに人気を高めたという。

 このように、Pebbleシリーズは時代の変化やユーザーのニーズに合わせて進化してきたのだが、あくまでも手軽に追加できるPC用スピーカーというスタンスは維持していた。しかし、数千円のスピーカーでもしっかりと鳴り、コストパフォーマンスの高いモデルとして、日本だけでなく世界中で人気の高いスピーカーとなったのだ。

①「Pebble」 ②「Pebble Plus」 ③「Pebble SE」
④「Pebble V2」 ⑤「Pebble V3」 ⑥「Pebble Pro」
⑦「Pebble X」 ⑧「Pebble X Plus」 ⑨「Pebble Nova」

「Sound Blaster」の時代から、音質にはこだわりがあった

 話は少し戻って、今でもPC用オーディオ関連機器として名を知られる「Sound Blaster」(サウンドブラスター)を振り返ってみよう。誕生したのは、NECのPC-9801シリーズが一世を風靡していた、MS-DOSの時代だ。当時のPCはビープ音によるブザーのような音が基本で、PCゲームを意識した一部のモデルで音源チップや音源ボードが搭載されている状態だった。そんな時代にサウンドブラスターはPC用の音源ボードを発売。まずは8音の再生ができる音源ボードからスタートし、16音、32音と同時発音数を増やして、PCで再生できるオーディオ能力を強化していった。そうしたこともあり、PCマニアの多くはサウンドブラスターのサウンドボードに注目していた。

 この頃から、クリエイティブメディアでは音源ボードの強化のために楽器メーカーを買収するなど、“音質”にも注目していた。2000年以降のDVD時代となってサラウンドなどの立体音響に注目が集まると、オーディオメーカーのケンブリッジサウンドワークスをグループ化して、同社が持つオーディオ設計のノウハウを吸収し、PC用スピーカーなどのオーディオ製品の音質強化も図っている。こうした積極的な技術の取り込みや研究開発は、現代の「Super XーFi」へとつながっている。シンガポールにある本社には、スピーカーなどの音響機器開発のための専用の研究部門があり、音質を含めてしっかりと開発されているという。

 現代のPCではサウンド機能やグラフィックス機能は必須で、基本的な機能はメインのシステムに組み込まれているが、USB機器をはじめとするオーディオインターフェイスを備えた製品としてサウンドブラスターのシリーズは存続している。PCスペックの向上に合わせて、各種サウンドエフェクトはソフトウェアで提供されることも多いが、サウンドブラスターシリーズでは音質を意識して、専用のハードウェアを開発・販売している。こうしたところからも、同社が“音質”を重視していることが理解できるだろう。

購入しやすい価格帯の中で、より質の高い製品を積極的に開発

 サウンドブラスターの時代はもちろん、現代でもクリエイティブメディアの製品はしっかりと音にこだわったモノ作りをしている。しかし、あくまでもPCの周辺機器やアクセサリーとして、手軽に買える製品であることも重要だといい、高級なHiFiスピーカーの分野に参入することはあまり考えていないようだ。

 最新の「Pebble Nova」は、HiFi用のアクティブスピーカーとしても使える高い音質を備えているが、充分に手頃な価格のモデルと言える。とはいえ、これまでの同社の製品から見ればかなり高価ではある。PC用周辺機器メーカーと本格的なHiFiオーディオメーカーの境界があいまいになりつつある現在、しっかりと実力の高いスピーカーを開発できるメーカーであることをアピールすることは重要だと思う。「Pebble Nova」はまさに、クリエイティブメディアの実力を示すモデルなのだ。

 それは、ヘッドホンやイヤホンの世界でも同じことが言える。クリエイティブメディアでは、オンライン会議やゲーミングに便利なヘッドセットから、人気の完全ワイヤレスイヤホン(TWS)まで多くの音響製品を積極的に開発しており、中でもTWSでは、シリコン製ドライバーMEMSで大きな注目を集めているxMEMS社といち早く強力なパートナーシップを締結。MEMSドライバー搭載のTWS製品を、すでに3モデルラインナップしている。今後も、最新の魅力あるデバイスは、クリエイティブメディアが先んじて製品化するかもしれない。

 クリエイティブメディアはPC用アクセサリーのメーカーではあるが、その技術力や製品開発力などは、本格的なHiFiオーディオメーカーに決して負けるものではないことが分かってもらえたと思う。

Pebbleシリーズの代表的なモデルをじっくりと聴いてみた

 ここからは、Pebbleシリーズの代表的なモデルをじっくりと聴いて、その実力をレポートしよう。まずは原点である初代Pebble。Astell&KernのポータブルプレーヤーA&futura SE300を使って聴いた。Pebbleは、手のひらサイズのコンパクトさで、価格も含めて手軽に使えるスピーカー。ユニットは、前面にある25mmドライバーに加え、背面に大きめのパッシブラジエーターを備える。クラシックのオーケストラ曲を聴いてみると、さすがにオーケストラのスケール感や迫力はやや不足するが、思ったよりも低音の量感はあり、物足りなさは少ない。中音域主体で音楽の大事な部分をしっかりと楽しめる音だ。低音が出るにこしたことはないが、無理に低音をドカドカと鳴らそうとはしないので不自然さがなく、バランスのよい音が楽しめる。

 女性ボーカルを聴くと、厚みのあるしっかりとした再現となり、バックのコーラスもクリアで広がり感も豊か。声の帯域はしっかりと高域へ伸び、発音も明瞭。45度の角度もPCに向かってキーを打っている姿勢だとちょうどよく耳に届く感じで、距離が近いので細かな音もよく聴こえる。ロック調の強いリズムの曲を聴いてもローエンドの伸びはやや不足するものの、ドラムを叩いた時の出音も速く、リズムのキレもしっかりと出る。PCの内蔵スピーカーだと、どうしても音像定位がぼやけるし、ボーカルが目の前に現れる感じがなく、ぼんやりと聴こえる印象になりがちだが、Pebbleは音像がしっかりと目の前に現れて、ステージが目の前に広がるので気持ちいい。スケール感はこぶりになるので、ノートPCや20型未満のディスプレイと組み合わせるのがおススメで、映画なども映像と音が一致したバランスで観られると思う。

 続いてはPebble X。ドライバーは約7cm(2.75インチ)となり、背面にパッシブラジエーターを備えるのはこれまで同様。写真では同じようなサイズに見えるが、一回り大きくなっている。クラシックのオーケストラ曲ではやはりスケール感に違いが出る。低音がより出でくるようになるので、オーケストラの迫力がより感じられる。特にコントラバスなどの低音楽器の鳴り方が一回り大きなサイズ感になるのが良い。大きくなったと言っても邪魔になるようなサイズではないので、ノートPCなどで音楽を楽しむならば、このくらいがちょうどいいだろう。ボーカル曲では、声の実体感がよりしっかりと出て、声の厚みも豊かになる。中音域主体のバランスは大きくは変わらないが低音がしっかりとするので物足りなさはほとんど感じない。音像定位もしっかりと目の前に立つ。

 Pebble Xでは、USBオーディオ入力も可能なので、SE300をデジタル(USB)接続でも聴いた。音はよりシャープになり、細かな音や音色の質感まで分かるようになる。声のニュアンスも豊かになるし、細かな情報量を存分に楽しめる。ロックを聴いてもリズムのパワフルさや勢いの良さもしっかりと出るので、聴き応えは充分。このくらいの音になると、PCモニターとしては大きめの20型後半とか30型近いものでも充分に釣り合うと思う。動画配信サービスで映画を観るほか、ゲーム用としても満足できるだろう。

 続いてはPebble X PlusPebble Xに別体のサブウーファーがセットになったモデルだ。サブウーファーは横幅156.4mmのほぼ正方形に近い形状で、正面に約8.9cmのウーファーが一基、左右にパッシブラジエーターそれぞれ各一基ある。面白いのは、Pebble Xでは球体のメインスピーカーの背面にパッシブラジエーターがあったが、Pebble X Plusの球体のメインスピーカーにはパッシブラジエーターがないこと。それぞれ専用の筐体を採用しているのは、なかなか立派だ。

 音を聴くと、明らかに音場が広い。クラシックはステージの奥行が出て、ホールらしい空間の響きが感じられるし、女性ボーカルはメインのボーカルが中央に浮かび、バックのコーラスも適切な距離感を保ってやや後ろに定位する。この理由は、球体スピーカーにパッシブラジエーターがなくボディの振動が減っているため。Pebble Xは低音を出すためにボディもビリビリと振動していて、それが音場感や空気感を損なってしまっていたようだ。しかし、Pebble X Plusはサブウーファーが別体になっているのでボディが振動しにくく、音場がきれいに出るというわけだ。

 しかもサブウーファーの低音はなかなかパワフルで、オーケストラのスケール感もしっかりと出る。音場の広さもかなりのもので、PCを使っている距離ではなく、もう少し後ろに下がってゆったりと楽しみたくなる。動画を見たときの映像と音のバランスで言えば、40~50V型の薄型テレビと釣り合う印象だ。

 音の広がりが豊かになっても、音像定位の良さや声の厚み、ロックのリズムのエネルギー感などはそのままなので、広がり過ぎて薄味になるとか、音の厚みが足りなくなるようなこともなく、豊かな広がりと厚みのある音像を存分に楽しめる。2.1ch再生はサブウーファーの置き場所に困るなど、セッティングがちょっと難しくなるが、そのぶん、きちんとセッティングが決まるとコンパクトなスピーカーとは思えないスケールの大きいサウンドが楽しめる。ノートPCなどを組み合わせて使ってもいいが、リビングにある薄型テレビと組み合わせるなどの使い方にも合うと思う。

 さて、最後はPebble Nova。サイズはさらに一回り大きくなって、ボディもほぼ完全な球体になる。ドライバーは正面に同軸配置で7.62cm(3インチ)ドライバーと25mmツィーター、背面に大口径のパッシブラジエーターがある。パッシブラジエーターを装着しているので、ボディにはやや振動があるが、球体のサイズが大きくなっているぶん強度も高めているし、設置用のスタンドもしっかりと重量のあるものなので、対策は充分。目の前に浮かぶ音像定位の明瞭さと、奥行や高さを感じる広々とした音場感が得られる。このあたりは、さすがはより上を目指して高音質を追求したモデルらしく、かなり本格的な再現だ。低音もほとんど不満がなく、オーケストラ曲では雄大なステージが感じられ、コントラバスの胴鳴りもサイズ感がよく伝わる。大太鼓の打音とその響きも豊かだが、膨らみすぎてしまうこともない良いバランスだ。

 声はより明瞭になって高域の伸びもきれいだが、単純に高域の情報量が増えたというよりも、より自然な声になったと感じる。実力の高さは明らかだ。

 USB接続に替えてデジタル入力で聴くと、きめ細かな音までていねいに再現してくれる。ただし、アナログ入力での音も充分に優秀であまり音質的な差は感じない。デジタル接続らしく描線が細く緻密になる感じはあるが、それほどの差ではない。Pebble Novaのユーザーからは、デジタル入力時にハイレゾ音源に対応してほしいという要望も届いているそうだが、PebbleシリーズはもともとPC用の手軽なスピーカーが出発点なので、このあたりは仕方のないところかもしれない。とはいえ、スピーカーとしての実力は充分に優秀なので、D/Aコンバーターを強化した改良モデルの登場にも期待したいところ。現状では、アナログ入力での音質もかなり優れているので、同社のUSB DACヘッドホンアンプ「SoundBlaster X5」などを組み合わせて、Pebble Novaはアナログ入力で使うと良さそうだ。

長くPebbleシリーズを愛用してきたユーザーは、上位のモデルへの買い換えもおススメ

 各モデルで音の実力はかなり違っており、今回の試聴を通してPebbleシリーズの進化を実感できた。特にPebble X Plusの2.1ch再生は決してサイズが大きくなりすぎることもなく、なかなか興味深かった。Pebble X以前のPebbleシリーズを使っていた人がグレードアップをするのにもちょうどよさそう。

 また、現在PCの内蔵スピーカーや、他社製のアクティブスピーカーを使っていて、USBでデジタル接続したいとか、より低音をしっかりと出したいと感じている人は、今回の記事を参考に自分に合ったPebbleシリーズへの買い換えもおススメだ。もちろん、音質にこだわるのならば、Pebble Novaがおススメで、発売直後は人気のため品薄になっていたが、現在では安定供給ができるようになっているそうだ。

 なお、Pebbleシリーズはブラックだけでなくホワイトも用意されているので、最近のノートPCに多いシルバーやホワイト系のデスクトップPCを使っている人も選びやすいことも魅力だ。手頃な価格で導入できるPebbleシリーズにぜひとも注目してほしい。