アイ・オー・データ機器(以下、アイ・オー)は、月額制の一体型テレビ電話システム「memet(めめっと)」を開発、現在、応援購入サービス「Makuake」にて先行販売を行なっている。先行購入による割引もあるが、本体の基本価格は¥19,800(税込)。プラスして月額制のプランへの加入が必要になる。

 さて、memetはいわゆるサブスク型のテレビ電話機で、本体内に専用のSIMを内蔵しており、本機だけでネットワーク(KDDIの回線「LTE通信」とアイ・オーのサーバを使用)を使ってのテレビ電話が行なえるシステム。モニターとマイク、スピーカーも備えており、通話ボタンを押すだけで登録した相手(3件まで)にワンタッチで電話できる。相手側はスマホにアプリをインストールし、画面に表示されるQRコードを読み取り登録することで、お互いの通話が可能になる。一般的な家電ではないので、登録外の相手への通話、受電はできない。ということもあって、アイ・オーでは、特殊詐欺対策になる、とも謳っている。ある意味、テレビ電話特化型の据え置き型タブレット、あるいは、電話のできるWi-Fiルーターのようなもの。

 プランは3種類あり、これは同社がアンケートを元に、シニア層の月の電話時間から算出したものになるという。テレビ電話が月1時間で¥980、4時間で¥1,480、8時間で¥1,980となる。規定時間を超えた場合は、音声のみの通話となる(別途、追加プランの購入でテレビ電話が行なえるようになる)。

 本機の開発背景としては、5人に1人が後期高齢者となる2025年問題があるといい(つまりシニア人口が増える)、アイ・オーではそうした問題への一つの解決策として、同社の持つ技術力を駆使してサポートできないか、ということから、本memetの開発がスタートしたという。

 そこでシニア世代のニーズを探ったところ、「友人とのコミュニケーション」「家族との団らん」という“対面・対人コミュニケーション”を求めていることが分かった。

 一方、シニアの子供/孫の世代においては、離れて暮らす親(シニア)の“見守り”需要が高いそうで、そのマッチングを図るべく、memetの開発が始まった。調べてみると、見守り用のデバイスというのは多々あるものの、シニア層にしてみたら使いにくい、使い方を忘れてしまう、ことで使われなくなってしまう事例も多かったそうだ。

各種試作機

 という調査結果をもとに、操作が簡単で、対面でコミュニケーションがとれる=テレビ電話システムの開発が始まった。アイ・オーでは開発の基点に「脱・スマート化」を置き、何でもかんでもできるのではなく、単機能を簡単操作で使える製品を目指す、という目標を立てた。

 開発期間中には、様々な試作機を作り、ITに強い世代が考える使いやすさではなく、シニア世代が使いやすい操作性を確立することが求められたそうで、例えば、電話をかけるボタンは「電話型アイコン」よりも「通話」という文字で表示したほうが分かりやすいとか、タッチパネルでは感触と操作結果の反映(ボリュームのアップダウン)のタイムラグが誤動作を生みやすいということで、リアルボタンで、カチッと押した感触を得やすい仕様にした(プラス、応答性の向上)、といったカタチにまとめられている。

スマホからの通話のデモ

 本体(筐体)については、イスに座って電話するイメージで、画面を見やすい角度に上向き(仰角)、フロントのボタン数は最小限でなるべく大きく、といった要素を盛り込んで完成させ、今回、商品化にこぎつけたそうだ。

 会見でいくつか質問してみると、SIMカードは差し替え可能だが専用カード以外は使用不可、本体のアップデートは通話に支障のないよう夜間に自動で行なう、電話をかける方のスマートフォンには最大5台までのmemetを登録可能(今後、増やす可能性もあり)、黒電話の受話器のようなデバイスの開発や接続可能性は現状なし、今後は医療との連携も視野に入っている、ということだった。

▼Makuakeプロジェクト