OPPO(オッポ)の新型タブレット「OPPO Pad Neo」(¥44,800、税込)は、自宅でも外出先でも、さらにビジネスからエンタテインメントまで活用できる快適なツールだった。

 Pad Neoは、昨年12月の発表会でお披露目・10日後に発売された。アスペクト比7:5の約11.4インチディスプレイを搭載、解像度は2.4Kで90pのフレームレートに対応済みだ。目に優しい低ブルーライト発行素材を採用している他、色温度センサーが周囲の環境に応じて自動調整してくれるといった機能も備えている。

タブレット:OPPO Pad Neo ¥44,800(税込)

●ディスプレイ:約11.4インチ液晶パネル
●解像度:水平2,408✕垂直1,720画素
●スピーカー:クアッドステレオスピーカー(DolbyAtmos対応)
●カメラ:アウトカメラ約800万画素 (F値2.0)、インカメラ約800万画素 (F値2.2)
●OS:ColorOS13(based on Android13)
●CPU:MediaTekHelio G99、2×2.2GHz+6×2.0GHz
●内蔵メモリー:RAM 6Gバイト/ROM128Gバイト
●外部メモリー:microSDXC 最大1Tバイト
●無線通信方法:IEEE 802.11a/b/g/n/ac
●USBポート:USB Type-C(USB2.0対応/OTG対応)
●電池容量:8000mAh
●バッテリー充電時間:約110分(33W SUPERVOOCフラッシュチャージ)
●寸法/質量:約W255×H188×D6.9mm/約538g

 本体短辺側にそれぞれ2基、合計4基のスピーカーを搭載しており、ドルビーアトモスの再生もできるという。つまり配信コンテンツの空間オーディオや映画作品などもオリジナルに近い状態で楽しめるということだ。ハイレゾ音源の再生も可能。

 今回Pad Neoの取材機を借用できたので、2週間ほどいろいろなシーンで試してみた。全体としての印象は冒頭に書いた通りで、以下で具体的なインプレッションを紹介したい。

 まず箱からPad Neoを取り出した第一印象は、“薄くて、軽い” というものだ。本体サイズはW255✕H188✕D6.9mmと11.4インチディスプレイを搭載しながら、なかなかスマート。特に厚みが7mmもないので満員電車などで強く押されたら折れてしまうのではないかと心配になるほど(もちろんそんなことはなかったけど)。

本体の短辺左右に合計4基のスピーカーを内蔵する(USB Type-Cの両脇にみえるスリット部分)。写真の右側部分には「Dolby Atmos」のロゴもあり

 重さも約538gと持ち運びやすく、それでも8000mAhのバッテリーを内蔵し、フル充電で最大約14.5時間の連続使用も可能というのが嬉しい。実際にフル充電後に取材で持ち歩いてみたが、移動時の音楽再生や簡単なメモといった用途であれば2日くらいはバッテリー切れの心配はなかった。

 ちなみにPad NeoのセットアップはGoogleアカウントを使って行う。Pad Neoに保存したテキストや写真はGoogleドライブ経由でやりとりできるので、データのバックアップも簡単だった。

 取材先でのテキスト入力には、プリインストールされている「メモ」アプリを使用。専門用語を除けば予測変換も悪くないし、打ち合わせの記録を残すなどの用途には充分だろう。ただ、ソフトウェアキーボードは慣れが必要と思われ、個人的にはタイプミスが普段の3倍くらいに増えていた(まぁ普段も多いんだけど……)。

本体背面中央にアウトカメラを、その真裏にインカメラを搭載する。画質はどちらも約800万画素で、最近の製品としては解像度的には少なめ、保存用というよりも、メモ用として活用するといいだろう

ペットの撮影ならあまり気にせず使えるかも(昼間の室内で1倍で撮影)

 ここまでは真面目にお仕事モードで使ってみたが、実際にはPad Neoを音楽や動画の再生用として使いたいというユーザーも多いのではないだろうか。特に11.4インチというサイズは移動中に動画を楽しみむといった用途にぴったりだ。またドルビーアトモスの音も気になる。

 さっそく音楽配信から確認する。PlayストアからApple Musicアプリをインストールして、サザン・オールスターズ「希望の轍」や角松敏生「Tiny Scandal」を選んでみた。Pad Neoの本体スピーカーでの再生では、ふわっとした音場が展開される印象。ヴォーカルの定位感や楽器の厚みはもうちょっと欲しいけれど、全体として聴きやすく整理されている。

 次に空間オーディオからビートルズ「Abbey Road(2019 Mix)」やジョン・ウィリアムズ指揮 ベルリン・フィル「帝国のマーチ」を再生する。ここでポイントだったのが、試聴位置だ。ドルビーアトモスの効果を4スピーカーで再現していることもあり、頭の位置がちょっとずれただけでも音場感が寂しくなる。Pad Neoの真正面、50cm前後の視聴距離をキープすれば空間オーディオらしさが楽しめるだろう。

 Pad Neoはハイレゾ音源を再生できるとのことだったので、マイクロSDカードにテスト音源を保存して検証してみた。すると、PCMは384kHz/32ビット、DSD 11.2MHzのファイルが問題なく再生できていた。内蔵DACの詳細が明かされていないので、どこまでがネイティブでどこから変換再生なのかわからないが、とりあえずハイレゾファイルが再生できずに困るといったことはないだろう。

 ただ、内蔵スピーカーではその違いがあまり聴き取れなかった。そこで、Bluetoothイヤホンで音の違いがあるかも確認した。

 Pad Neoの対応Bluetoothコーデックも特に表記がなかったので、SBC/AAC/LDACに対応したSoundcore「Liberty 4 Pro」と、SBC/AAC/aptX Adaptive対応のオーディオテクニカ「ATH-TWX9」をつないで検証する。その結果、Liberty 4 ProではAAC、ATH-TWX9ではaptXで再生されることが確認できた。Pad NeoはLDACには対応していないようなので、Bluetooth再生時の音質を気にする方はaptX対応イヤホンと組み合わせていただきたい。

Pad NeoはマイクロSDカードスロットも備えており、最大1Tバイトのカードを装着可能。今回はハイレゾ音楽データ保存したカードを取り付けてみたが、アプリですんなり読み出しできた

 テスト音源のチェックでは、Liberty 4 Pro(AAC)でもリニアPCMとDSDのニュアンスの違いが聴き取れた。リニアPCMではトランペットやピアノの音の輪郭がクリアーで、キレのいい音になる。DSDではそこがより滑らかで、自然な印象に変化している。外出時の音楽再生としてはAAC接続も悪くない。

 ATH-TWX9(aptX)に切り替えると、イヤホンとしての音作りの違いもあるが、低音の広がり、ヴォーカルの力強さなどにゆとりが出てくる。音楽の余韻も感じ取れる。ただし、DSD 11.2MHz音源を再生すると、aptX伝送では時折通信が不安定になることもあったので、屋外のノイズの多い環境(駅や電車の中など)では注意したほうがいいかもしれない。

プリインストールされていたYT MusicアプリでDSD 11.2MHzや384kHz/32ビットファイルを再生できた

 内蔵スピーカーに戻して、動画配信のNetflixから映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を再生する。クライマックスの体育館での演奏シーンもノリのいいサウンドでヴォーカル聞きやすい。続く落雷〜未来への帰還のシーンでは、遠雷や風音があっさり気味になる。音にもう少し重さがあるといいが、それは贅沢というものだろう。

 空間オーディオで配信されている『ポップスが最高に輝いた夜』を選ぶ。ドキュメンタリーということもあり、空間オーディオを意識した音作りという感じはなかったが、スタジオでの録音シーンなどはリアルな声が聞ける。なお音楽配信同様に空間オーディオ作品では視聴位置が重要なので注意していただきたい。

 ATH-TWX9で映画作品も見直した。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の風音、『ポップスが最高に輝いた夜』のスタジオ内の細かなノイズなどがATH-TWX9なら取れるし、違う意味での作品への没入感が高まる。Pad Neoで音楽、映画を楽しむなら、音のいいaptX対応Bluetoothイヤホンが必須だろう。

 映像については「設定」メニューの「ディスプレイと明るさ」から、「輝度」を40%ほどに抑え、「画面色」は「ナチュラル」に変更したが、それでもハイコントラストでクリアー志向のビデオっぽい絵が再現されている。また映り込みもあるので、どんな環境で、どんな作品を視聴するかはよく考えた方がいいだろう。