PDNでは、BLUESOUNDのミュージックストリーマー「NODE ICON」(市場想定価格¥220,000、税込)を2月15日に発売する。
本体サイズは、W220✕H84✕D193mmで、重さは2.23kg。6.3mmヘッドホン端子は本体の左右側面にひとつずつ搭載している
BLUESOUNDは、自宅のあらゆる部屋で音楽を再生できるワイヤレス・ハイレゾ・マルチルーム・システムで、お気に入りのストリーミング・サービスやホームネットワークに接続された音楽ライブラリーの音楽を、独自のBluOSアプリを使って自由自在に楽しむことができる。
新製品のNODE ICONは、ブランドのフラッグシップモデルとしてESSのSABRE ES9039Q2M DACチップを2基搭載したデュアルモノDACデザインを搭載する。これによりノイズ密度を2分の1に低減でき、さらにDACピンに低ノイズ・レギュレーターを使用することで、これまでの同社製品を凌駕するノイズフロアのしきい値を実現したそうだ。
独自のデジタルフィルター「QRONO d2a」(クローノ)のロゴマーク
もうひとつ、「QRONO d2a」テクノロジーを世界で初めて搭載した。「アナログの魂を持つデジタルオーディオ技術」としてMQA Labsによって開発されたデジタルフィルターで、D/A変換時に発生するプリエコーを抑制することで、聴感上の時間的なスミア(ぼやけ)を取り除いている。なおQRONO d2aはフィルターの特性をDACチップに合わせて最適化しており、今回はES9039Q2M用に調整したものが搭載されている。
同社では、この技術によってDACチップから最高の性能を引き出し、音楽のテクスチャーや楽器の細かい音まで識別を容易にし、ステレオ音場と定位を強化できるとしている。その結果、音楽がより自然に流れ、臨場感が増し、リスナーの疲労感が軽減されるそうだ。またQRONO d2aでは、DSD→PCM変換を可能な限り軽い処理で行うことができ、録音時の重要な時間情報もしっかり再現できるとしている。
デジタル、アナログとも豊富な入力端子を備えている。Dirac Liveの測定を行う場合は、NODE ICON、または同じネットワーク上にあるPCのUSB Type−A端子にドングルを取り付ける
NODE ICONはDirac Live Readyで、設置環境を測定して最適なサウンドに調整してくれるルーム・コレクション・システムも使用可能だ。Dirac Liveのライセンスと、別売の測定用マイクとドングルをセットした「DIRAC用 Room Calibration Kit」(市場想定価格¥8,000前後、予価)を購入することで、部屋に起因する異常や歪みを特定し、スピーカーから発せられる音を最適化してくれるという。調整結果はPCに5つまでメモリー可能だ。
本体はW220✕H84✕D193mmで重さは2.23kgと従来同様にハーフサイズを踏襲。アルミニウム製キャビネットや5インチのフルカラーディスプレイなど、細部に至るまで、最高水準のパフォーマンスを実現するために慎重に設計されている。ヘッドホンアンプには、THX AAAテクノロジーも採用している。
「DIRAC用 Room Calibration Kit」に入っている無指向性マイク。測定は9ヵ所(ひとりで聴く場合)、または13ヵ所(複数人で聴く場合)で行う
接続端子は、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)とアナログ音声入力(RCA)、USBはType-Aが2系統とType-Cが1系統(どちらも192kHz/24ビット対応)、デジタル音声入力3系統(同軸、光✕2、どちらも96kHz/24ビット対応)、LAN端子を搭載。eARCに対応したHDMI端子も備えているので、対応テレビとつないでテレビの音をグレードアップできる。6.3mmヘッドホン端子2系統とサブウーファー出力も搭載済みだ。
再生操作は、専用アプリのBluOSで行う。日本語対応のiOS(iPhone、iPad)、Android、Kindle FireやWindowsおよびMacのデスクトップ(英語のみ)で使える「BluOS Controller アプリ」が準備され、直感的な音楽再生が楽しめるという。
ストリーミングサービスは、Amazon MusicやQobuz、TIDALなどに対応。ほぼ無限ともいえる新たな音楽に出会うことができるだろう。
Dirac Liveのオン/オフはアプリ画面から可能。プリアンプとして使う場合はデジタルパススルーをオフにする
新製品説明会で、NODE ICONのRCAアナログ出力の音を確認した(Dirac Liveの測定も実施)。ストリーミングサービスのQobuzでムソルグスキー「禿山の一夜」やノラ・ジョーンズ「ドント・ノー・ホワイ」を再生する。
どちらもクリアーで澄んだサウンドが再現されている。演奏の迫力や楽器の小さな音まで明瞭に描き出され、とても見晴らしのいい音場が構築されている。Dirac Liveをオンにすると高域までスッキリ伸びる印象で、定位感、フォーカス感も向上している。オフでは全体的にまろやかになるが、自然さ、なまなましさが好ましい。
ジョン・ウィリアムズとベルリン・フィル「帝国のマーチ」は整った音場で精緻なサウンドが再現されている。低音の力強さ、ベイダーの不気味さはDirac Live/オフの方が出てくるようで、楽曲との相性もありそうだ。
PDNの試聴室で、「NODE ICON」のRCA出力をプリアンプのEAR「912」につなぎ、パワーアンプのファンダメンタル「MA10」でパラダイム「PERSONA 9H」を鳴らしている
Dirac Live/オンで好印象だったのは、TM NETWORKの「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」だった。1988年のアニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌だが、デジタル制作された楽曲ならではの高S/Nでクリーンな印象が際立つし、声の抜け感も綺麗だ。この曲は44.1kHz/16ビットのCDクォリティで配信されているが、Dirac Liveをオンにするとどことなくハイレゾっぽい聴こえ方に変化するような感じもあった。
NODE ICONは、ストリーミングを様々な聴き方で楽しめる製品として注目を集めることだろう。