塚本晋也監督がミニシアターを撮る「街の小さな映画館」の第21回として、新潟県上越市・高田世界館の動画がYouTubeチャンネルにて公開された。

 「街の小さな映画館」は、2015年の『野火』初公開時に全国劇場行脚を行い、個性あふれるミニシアターの魅力に触れた塚本監督が、お世話になっている映画館を1館ずつ訪れ、ミニシアターの魅力を伝える動画を撮影する企画だ。コロナ禍をきっかけに「未曾有の事態の中格闘していらっしゃるミニシアター」に「エールを送らせていただきたい」との思いから始まった。劇場とのアポ取りから撮影・編集・YouTubeへのアップまで塚本監督自身が単独で行い、ロゴとイラストも描きおろしている。

 高田世界館は、現存する日本最古級の映画館で、1911年に芝居小屋として創業した木造建築の建物は国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも指定されている。取り壊しの危機に市民を主体とした保存活動運動がおこり、2009年よりNPOが建物を引き継いだ。『シグナル〜月曜日のルカ』(2012)のロケ地にもなっている。

 公開された動画では、白銀にライトアップされた趣のある外観、モダンな天井装飾、窓のあるめずらしい2階席とそこからの眺め、昔ながらの入場券売場、神棚のある映写室と現役のフィルム映写機などを辿る。インタビューでは支配人の上野迪音氏が映画館の歴史、映画館を街に残す決意、地域に根差す意義、今後の課題と目標などを語っている。

「街の小さな映画館」第21回 高田世界館

- YouTube

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【塚本監督から高田世界館へのコメント】

この劇場を1カットで撮らせていただく別企画があった。
その時の体験からこのミニシアター動画の企画が始まったのだ。
外観も内観も、古い建築物の素晴らしさを改めて実感する。
どこを撮影しても、全ての箇所が美しいフォルムを形作る。
こんな場所で映画を味わえる、なんて幸せなことだろう。

高田世界館
●住所:新潟県上越市本町6-4-21 Tel:025-520-7626●座席数:181席