オーディオビジュアルの専門誌として、2023年12月に40周年を迎えたHiViが主催する「HiViグランプリ」。同賞は、その年のAV界を牽引した優秀製品を選定するビッグイベントであり、業界でもっとも権威がある年間アウォードとして定着した催しとなっている。
記念すべき第40回の開催となった「HiViグランプリ2024」は、昨2024年10月30日に選考会を開催し、〔ゴールド・アウォード〕を始めとする三賞、部門賞、特別賞を決定した。その詳細は、HiVi2025年冬号、あるいは、ステレオサウンドオンラインでお伝えした通りだ。また、例年であれば、ステレオサウンドグランプリとともに、記念盾を贈る授賞式を開催し、その栄誉を称えるところであるが、感染症予防の観点から、昨年同様にこれを中止している。
ただし、HiViグランプリの〔ゴールド・アウォード〕製品、つまりビクターの8KプロジェクターDLA-V900Rに関しては、年間最高賞の受賞盾を直接お渡ししたいとの考えから、感染症予防対策を万全に行なったうえで、選考委員長の麻倉怜士氏ならびにHiVi編集部の最少体制で、一昨日(2025年1月22日)、株式会社JVCケンウッドを訪問し、記念盾を授与した。ここでその様子をご紹介したい。
DLA-V900RのHiViグランプリ最高賞の授賞に対し、麻倉委員長からは以下のような所感が述べられた。
「ビクターDLA-V900Rが、記念すべき第40回HiViグランプリの最高賞〔ゴールド・アウォード〕を獲得したことについて、お祝い申し上げます。HiViは、1983年の創刊以来、ひたすら大画面/高画質/高音質/サラウンド(立体音響)を追求し、オーディオビジュアルの感動を追い求めてきました。その感動、素晴らしさをいかに多くの愛好家にお届けしていくのか、そんなミッションを抱き続けてきたメディアです。
今回のビクターが渾身の8KプロジェクターDLA-V900Rは、まさにHiViの大画面、高画質というテーゼを最高の状態で具現した存在といえます。ビクターの長年にわたる、伝統の映像技術の、現時点での集大成だと認識しています。思い返すと、1980年代から、ビクターの映像機器は、まさに「感動」をキーワードに作られ続けてきました。たとえば、ブラウン管時代のモニターは、コントラストが高いうえに黒もしっかり沈み、しかも質感を兼ね備えた、いわば「ヒューマンな画質」だったことを記憶しています。そうした系譜を受け継いだDLA-V900Rは、ハイコントラストで黒が沈み、質感に優れた画質に仕上がっています。つまり「現代のヒューマンな画質」を実現した製品です。
ビクターの8Kプロジェクターは、前世代のDLA-V90R、さらにその前の世代のDLA-V9Rもいずれも素晴らしい製品でした。DLA-V90RはHiViグランプリ2021で最高賞の〔ゴールド・アウォード〕を、DLA-V9RはHiViグランプリ2018で〔シルバー・アウォード〕を獲得しています。DLA-V9Rの画質に初めて対峙したときも、観慣れた作品から、「実はこんなにも情報量を引き出すのか」と感嘆しました。DLA-V90Rのときも同じように「ここまでの情報量が作品にはあったのか」と驚嘆した記憶があります。DLA-V900Rの画質を初めて観た時に「あのDLA-V90Rの画質の、まだまだ先があったんだ」と大きな衝撃を受けました。DLA-V900Rの達した成果はまさに偉業だと思いますが、逆に今後の展開が心配になってしまう、それほどの完成度の高さを感じさせます。
世代を重ねての情報量の増大は、ビクターの飽くなき原画探求の現われなのですが、単にくっきりしゃっきり、カリカリの画質だけではなく、滑らかでスムーズ、質感に優れた良質な画質であり、先ほど述べたように「ヒューマン」なタッチをないがしろにしないところが伝統といえて、他では得難い美質です。これこそが、ビクターらしさであり、DLA-V900Rの「ワン・アンド・オンリーの魅力」だと思います。
さらにその魅力について述べると、オーディオビジュアルファンが愛する作品から、いままで以上の感動を得られる大画面を実現したということになります。「ヒューマンな画質」を別の表現で語ると「感動のリ・プロデュース」を実現したプロジェクターです。
第40回という記念すべき節目のHiViグランプリで、本当に〔ゴールド・アウォード〕のステイタスにふさわしい高い価値を持った製品としてDLA-V900R を選考できたということは、我々選考委員会にとっても大きな誇りです。あらためて、お祝い申し上げます。(麻倉怜士 選考委員長)
麻倉選考委員長の総評を受けて、株式会社JVCケンウッド エンタテインメント ソリューションズ分野責任者、同分野 メディア事業部長の岩﨑初彦さんから、受賞にあたっての喜びの言葉が述べられた。
本日はお忙しいところご足労いただきましてありがとうございます。第40回を迎えたHiViグランプリの、記念すべき、そして区切りのタイミングでの最高賞に我々のDLA-V900Rをお選びくださり、たいへん光栄でございます。スタッフ一同、心より御礼申し上げます。
前モデルのDLA-V90RでもHiViグランプリ2021で〔ゴールド・アウォード〕に選考いただきましたが、実は技術的にはそのときにやりきった感覚がございました。それから3年経って、今回のDLA-V900Rでは、いかに前作DLA-V90Rを超えるか、ということが開発の大きなテーマとなりました。ついに完成したDLA-V900Rの画質を麻倉選考委員長に確認していただいたときに、先生から「DLA-V90Rは超えられないと思っていたけれど、今回のDLA-V900Rは超えてきたね」という鳥肌もののコメントをいただきました。DLA-V90Rという、自らの高いハードルを超えるべく、開発スタッフ一同頑張ってきて、本当によかったと感じた次第です。本日も、非常にありがたいコメントをちょうだいし、また鳥肌が立ちましたが、これでまた次の製品開発に対するハードルが上がってしまったとも感じています(笑)。改めまして、引き続きご指導ご鞭撻をお願いいたします。**
続いて、メディア事業部 上席部長 近江亮介さんから以下のコメントが語られた。
DLA-V900Rを非常に高く評価いただきまして、本当にありがとうございます。我々技術者、商品企画、製造など、様々な形でDLA-V900Rに関わったメンバー一同が非常に喜んでいます。お客様に対して自信を持って強くおすすめできるという意味でも、今回の〔ゴールド・アウォード〕の受賞を非常にありがたく思っています。
DLA-V90RLTDのような数量限定モデルであれば、非常にハイスペックな製品を作り上げることは、なんとか力技でできなくもありませんが、今回のDLA-V900Rは、量産モデル、レギュラーモデルとして、多くのお客様に確実に製品をお届けすることが前提になりました。そうした難しさがある中で、技術、商品企画、製造の各スタッフが一致団結し、コントラストと8K表示解像度を高めつつ、映像の基礎となる明るさを上げ、高画質を磨き上げました。加えて、幅広いコンテンツをより最適なモードで楽しんでいただけるような試みも盛り込みました。
外観デザインは、DLA-V9R、DLA-V90Rとほぼ変わりませんが、このような新しい魅力を獲得すべく、開発に関わった全スタッフが本当に一所懸命に画質という基本性能を向上させる努力を致しましたが、その点をHiViグランプリの選考委員の方々に高くご評価いただいたのはたいへん嬉しく思います。
今後に関してですが、岩﨑からもありましたが、次のモデルをどうブレイクスルーさせるか、その大きな宿題、テーマに向かって、スタッフ全員でチャレンジしていく必要があります。そのモチベーションとして、今回の〔ゴールド・アウォード〕受賞は大きな励みとなります。改めて御礼を申し上げます。
感染対策の都合で最少人数での授与式とはなったが、岩﨑氏や近江氏、授与式に同席くださったご担当者たちから喜びの声や製品に対するこだわり語られつつ、HiViグランプリへの想いを寄せていただいた。
麻倉選考委員長からは、ビクターらしさを存分に発揮し、オーディオビジュアルファンを驚かすような製品への登場の期待なども語られ、大いに盛り上がった。
(HiVi編集部/辻 潔)