斜線堂有紀の原作小説をドラマ化した「コールミー・バイ・ノーネーム」の完成披露トークイベント&1話先行上映会が1月7日都内で行なわれ、W主演の工藤美桜、尾碕真花、および全話を担当した枝優花監督が登壇。トークパートでは、作品の話から、共演して感じた相手の印象などなど、大いに盛り上がっていた。

 ドラマは、MBSのドラマフィル枠にて1月9日(木)から放送開始。関東ではローカル局、TVer、FODなどで視聴可能。

 まずは、それぞれが演じた役の感想を求められると、世次愛(よつぎ・めぐみ)役を演じた工藤は「愛は立ち向かえる強さがある女の子でありつつ、ちょっと繊細な面もあって、ピュアというか子どもっぽい一面もあったりして、いろんな面がある女の子で、私は演じていて魅力的な女の子で私にはないものをいっぱい持っているすてきな女の子だなと思っていました」と話し、「演じられて楽しかったです」と笑顔を見せていた

 一方、ミステリアスな美女・古橋琴葉を演じた尾碕は「難しかったです。ミステリアスで人を惹きつける色気みたいなものがたくさんあって、私とはかけ離れたキャラクターだったので、まずは古橋琴葉像の輪郭を捉えるのが大変で苦労しました」。そして、演じる上で意識した点については「普段はババババってしゃべるので、とにかくゆっくり、落ち着いてしゃべることを意識しました」と役作りの秘訣を語った。

 枝監督は、撮影を終えた今の率直な心境を尋ねられ「2人が『私とは違う』って言っているんですけど、私からしたら2人は役のままだなと思いました」と二人の印象を語り、「1話から編集していくとどんどん2人が役と重なっていって、見どころだなって思いました」と作品への手応えを感じているようであった。

 続いて、撮影現場の雰囲気や、撮影時のエピソードを聞かれると、尾碕は「シリアスなシーンを撮っているとは思えない現場の空気感で、和気あいあいとしていたので、切り替えをしながら撮影ができて楽しかったです。重いシーンを撮っても引きずられなかったのでありがたかったです」。それをどのように切り替えたのか聞かれると、「古橋琴葉になるとしゃべらない、真花はしゃべるみたいな、そういう切り替えでした」と返していた。

 これに、枝監督から「工藤ちゃんはシーンの前は割と1人でいたけど、(尾碕は)ずっとワーキャーしてたよね」と明かされると、尾碕は「現場が楽しくて、みんなとしゃべっている時間で自分のパワーをチャージすると言いますか、しんどいシーンを朝から晩まで集中を切らさず撮り続けるのって体力がいるなと思ったので、逆に“今は尾碕”って戻っていたかもしれないです」とその理由を説明した。

 一方の工藤は、水が苦手なのだそうで、後半、海に入るシーンの撮影を「頑張った」と吐露。「不安も大きくて、そのシーンの本読みをしたときもボロ泣きで(笑)、何も伝えられなくて……。本読みの段階でそうだったから実際私は当日ちゃんと琴葉に伝えられるんだろうかって思っていたのですが、みなさまの支えがありまして、無事に乗り越えられたなと思います」と当時の心境を語っていた。

 苦労した点について尾碕は、8話(最終話)を挙げ「琴葉の本心が見えるシーンで、1回目、2回目は全然できなくて、私自身のお芝居が琴葉とリンクしなくて、そのシーンは印象的でしたし、頑張ったなという日になりました」と振り返り、枝監督も2人が挙げたシーンに納得し「そこに対して2人が気負っているのもわかっていたので、それをどうやってカバーしていくか話し合ったりしたんですけど、ずっと晴れだったのに工藤ちゃんの海のシーンだけ雨で、工藤ちゃんも追い込まれていたけど、我々スタッフも追い込まれていて、現場を知らない編集さんからも『海は大変だったでしょ』って(笑)。素材から出てたよって言われましたし、編集助手の子たちは8話のラストがよかったと言っていたので、ちゃんと伝わるんだなって思って、このドラマは大丈夫だって思いました」と安堵の表情を浮かべていた。

 イベント中盤では、工藤と尾碕がお互いにあだ名をつけ合う企画も行なわれた。工藤は尾碕に“シーフード姫”というあだ名を。「2人とも食べることが好きなんですけど、『いま何食べたい?』って聞くと、いつもシーフードが出てくるんです。あと、真花ちゃんがいつも『お姫様になりたい』って言っていたのが印象的だったので、姫とつけました」。

 一方の尾碕は、工藤に“ふわふわ軸”と命名。「話しているとふわふわしていて、柔らかい印象があるんですけど、自分の軸(芯)がしっかりしているイメージなので、ふわふわだけじゃなくて軸がしっかりしているんだということで、“ふわふわ軸”にしました」と語っていた。

 枝監督はさすがによく二人の特性を見抜いているようで、工藤には“泣き虫頑固”、尾碕には“おしゃべりチワワ”とネーミング。「(工藤は)すぐ泣くんですよ。ずっと泣いていて、本番以外も泣いているので本番撮れないんじゃないかと思って心配していたんですけど、心配する必要がなくてずっと泣けるから、逆にすごいなと思いましたし、ふわふわしているようで頑固だし、負けず嫌いだし、きついことを言ったら泣いちゃうけど頑張って食らいついてくる感じがいいなと思いました」。「(尾碕は)とにかくずっとしゃべっていて元気。でも意外とビビりなところがあって、そういうところがかわいいなと思ってこれにしました」とその理由を説明していた。

 後半は、手紙の交換へ。それぞれが相手を想いながら書いた手紙(ラブレター)が披露された。

 工藤⇒尾碕 「真花ちゃんは潔く、物事をしっかり伝えられる頼もしさがあって“かっこいい”と思う面と、話してみるとかわいいものが好きだったり、よく笑うし、お茶目な面もあって、一緒にいればいるほど真花ちゃんのことをもっと知りたいな、好きだなって感じていました。初主演という大きな作品で一緒にいてくれたのが真花ちゃんでよかったなって心から思います」

 尾碕⇒工藤 「連日ハードな撮影が続いていた中、美桜ちゃんはずっとにこやかで癒しの存在でした。中盤あたりから、私のシーンでカットが掛かるたびに『かわいい』『きれい』と言ってくれるから、それを真に受けて、“美桜ちゃんがいうならきれいなのか私”って思ってバクバクおやつやご飯を食べてしまっていました(笑)」

 枝⇒工藤 「自分の弱さをこの作品で強さに変えたと感じました。私は、物事はすべて表裏一体なので、自分が嫌いな自分も、誰かにとっては魅力的なものだったりします。撮影を通して、(工藤には)ちょっとでもいいから自分のことを好きだと思える瞬間に出会ってほしいと思っていましたが、最後には、美桜ちゃんの弱さは強さになったなと思いました。工藤さんにとって、この作品がお守りのようになってくれたら嬉しいです」

 枝⇒尾碕 「人懐っこくて元気でいつも笑ってるけど、肝心なとこは誰にも見せない。正直手強い人と組んでしまったなぁと思いました。だから、現場が終わるまでに尾碕の腹の底に潜り込んで、カメラの前でそれを引きずり出さないと、監督として尾碕と出会った意味がないとずっと思ってました。けど、最終回の素材を見て、私は勝ったと思いました。

 人生には出会うべくして出会う人間がいて、そしてそれは多分、いつでもベストタイミングでやってくると私は思っています。尾碕の人生にとってこの作品との出会いがそうであってほしいし、そうなってほしい。尾碕の弱さは何者にも代えがたく、自分の人生を輝かせるものなのだと信じてほしいですし、私はそれを、この作品を以て尾碕に証明したかった。私を信じてくれてありがとうございます。出会えて良かったです」。

ドラマ『コールミー・バイ・ノーネーム』

<あらすじ>
この恋は終わる、彼女の“本当の名前”を当ててしまったら・・・」

英知大学に通う世次愛(よつぎ・めぐみ)は、ゴミ捨て場に捨てられていた美しい女・古橋琴葉(ふるはし・ことは)と出会う。琴葉を自宅に招いたことをきっかけに友人になりたいと思う愛だったが、そんな琴葉が代わりに提案してきたのは、本当の名前を当てられるまで『恋人』でいること。そして、仮初めの交際の中で彼女の本名を当てられたら約束通り『友人』になるという奇妙な賭けだった。

後に引けずその賭けに乗ることになった愛は、琴葉と『恋人』としてぎこちなくも関係を深めていくが、彼女の名前に隠された過去が現在に牙を剥くようになりーー。

限られた時間の中で不器用な想いと切なさが迸る、新世代のガールズラブストーリー。

2025年1月9日(木)より順次放送スタート!
【30分 全8話】

MBS      2025年1月9日(木)より毎週火曜25:29~
テレビ神奈川 2025年1月9日(木)より毎週木曜25:00~
テレビ埼玉  2025年1月13日(月)より毎週月曜24:00~
群馬テレビ  2025年1月14日(火)より毎週火曜24:30~
とちぎテレビ 2025年1月15日(水) より毎週水曜25:00~
チバテレ   2025年1月16日(木) より毎週木曜23:00~

FOD見放題にて独占配信
TVer、動画イズム 見逃し配信1週間あり

原作:斜線堂有紀「コールミー・バイ・ノーネーム」(星海社FICTIONS)
出演:工藤美桜 尾碕真花
   中井友望 三原羽衣 / さとう珠緒 / 橋本涼
監督:枝優花(「少女邂逅」「みなと商事コインランドリー」ほか)
脚本:松ケ迫美貴
音楽:原田智英
OP主題歌:水槽「スードニム」
ED主題歌:yonige「Without you」
プロデューサー:上浦侑奈、瀬島翔、馬渕修
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
LGBTQ監修:五十嵐ゆり
制作:スタジオブルー
製作:「コールミー・バイ・ノーネーム」製作委員会・MBS
(C)「コールミー・バイ・ノーネーム」製作委員会・MBS

※W主演・工藤美桜&尾碕真花のインタビュー記事は後日掲載します