前作『ヘヴィ・トリップ/俺たち 崖っぷち北欧メタル!』の日本公開から5年、ついに続編にありつくことができた! “俺たち北欧メタル危機一発!”という邦題も、往年の『007/危機一発』を思わせて嬉しくなる。主人公はもちろん、フィンランド生まれの“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”4人組バンド=インペイルド・レクタム(直腸陥没)。今回も命がけの毎日である。

 前作は彼らが収監されるところで終わっていたはずだが、獄中でも彼らのメタル愛は変わらない。ドイツで開催予定のメタルフェスへの出演オファーも舞い込んできたものの、なにしろこちらは塀の中、充分な演奏活動もできていないのが現状。が、彼らは仲間思いでもあった。ギタリストの実家で他の3人にとっても愛着のあるトナカイ粉砕場が乗っ取り危機に瀕していることを知り、バンド全員では脱獄を決意、フェスに出てそのギャラで粉砕場を救おうと動き出す。

 が、根は良い人なので(こなまずるい考えを持たないので)、脱獄はすぐにばれて、ノルウェーデルタ部隊のドッケン大佐が、それこそ「ルパン三世」の銭形警部ばりの執念でバンドを追い掛け回す。しかもフェスはドイツ、ということは海外であり、パスポートもいる。さあ、インペイルド・レクタムは無事に入国できるのか、大観衆の前でパフォーマンスできるのか。

 また、バンドの音楽性など考えずに楽曲を自分の色に染めてしまう大物プロデューサー、昔は良かったがそのプロデューサーに洗脳同然にされてすっかり牙を抜かれたようになってしまったベテラン・バンドの存在も、物語にコクを加えている。BABYMETALの役まわりにも制作側のリスペクトが感じられるし(SU-METALの英語はワールド・スタンダードだと思う)、劇中の会話の中に実在のロック・ミュージシャンの名前がガンガン出てくるところも喜びを倍増させる。

映画『ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一発!』

12月20日よりシネマート新宿ほかにて屈辱のロードショー!

制作:カイ・ヌールドベリ カールレ・アホ
監督・脚本:ユッカ・ヴィドゥグレン ユーソ・ラーティオ
出演:ヨハンネス・ホロパイネン、マックス・オヴァスカ、サムリ・ヤスキーオ、チケ・オハンウェ、アナトーレ・タウプマン、ヘレン・ビースベッツ、ダーヴィト・ブレディン、JUSSI69、SU-METAL(BABYMETAL)、MOAMETAL(BABYMETAL)、MOMOMETAL(BABYMETAL) 他
字幕翻訳:堀田雅子 字幕監修:増田勇一 共同提供:キングレコード+スペースシャワーネットワーク 後援:フィンランド大使館 宣伝:HaTaKaTa 配給:SPACE SHOWER FILMS
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