映画『カオルの葬式』の全国公開記念舞台挨拶が11月23日(土)、新宿武蔵野館にて開催され、トリプル主演の関幸治・一木香乃・新津ちせ、湯浅典子監督が登壇した。
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 本作はひとりの女性の死をきっかけに、彼女の葬儀のために集まった人々の感情が露わになっていく様を描いた、死をテーマにした”不謹慎エンターテインメント”。

 一木香乃が亡くなった脚本家・カオルを、関幸治が突如カオルの葬儀の喪主を任されることになった横谷を演じた。新津ちせが扮するのはカオルの娘・薫。全員がオーディションでキャスティングされた。国内のみならずスペイン、シンガポールから集結した新進気鋭のスタッフ・クルー、さらに総勢1000人を超えるオーディションから選ばれたキャストとともに、岡山県北にある宝樹寺をメイン舞台に、微かに残る古来よりの葬儀と、今を生きる人々の姿を色鮮やかに描きだす作品だ。

 関、一木、新津、湯浅監督は満席の劇場に、観客からの大きな拍手を受けながら登場。

 冒頭では湯浅監督が「すごく親しかった友人が突然亡くなるということが立て続いたという時期あったんです。新津さん演じる薫のセリフでも出てきますが、『人はなぜ死ぬのか』ということにきちんとその答えに向き合った映画を作ってみたいと思いました」と制作のきっかけを語った。

 続いて関が撮影について振り返る。本作の撮影はコロナ禍の2022年。海外スタッフの来日スケジュールもあり、撮影時期が1年程度延期になったという。「実は僕がオーディションで受かったのは別の役だったんですが、延期中に主演に決まっていた方のスケジュールがNGになってしまいまして、急遽撮影開始1ヵ月前に主演になったんです。横谷と同じく、振り回された形です」と語ると、会場からは笑いが。

 「ただ期間中はずっと脚本を読んでいたので、すんなり役入りこむことができました」と続けた。さらに、「(カオルのモデルとなった)湯浅監督さんの友人に一度だけ会ったことがあるということを、なぜか昨日ふと思い出して。しかも恐らく亡くなる前日だったんですね。なんだか呼ばれているような、不思議な感覚です」と感慨深げに語った。

 一木香乃が演じたのは亡くなった脚本家・カオル。役柄について、「人はそもそも多面的なものだと思いますが、カオルは愛されていたにしろ、憎まれていたにしろ、一面一面の色が濃いような人だったのだと思います。なのでシーンひとつひとつを本当に目の前で起こっていることだと感じて、生き生きと精一杯の愛情を込めて演じました。ご覧頂いたみなさんそれぞれの人物像が浮かび上がっていたら嬉しいです」と述べた。

 新津が演じた薫は、母親のカオルを亡くしたやり場のない気持ちを抱えている役柄。「大人っぽくて無口ですが、彼女の中にやり場のない強い思いが確かにあるような役柄でした。少ないセリフの中にその気持ちをどう込めていくのか、載せていくのかということが難しかったですし、同時に面白いところでもありました」と振り返る。

 また、撮影「お葬式のシーンだとお寺をお借りしたんですけど、そのお寺の方々がすごい優しくて、お寺のお子さんが一緒に休憩時間に遊んでくださったり、キャストの子と一緒に山で走り回ってたのを覚えてますとリラックスした撮影現場の様子も明かした。

 最後に関が、「伝えたいことはすごくシンプルですが、その答えを出すために見たことのない方程式を使っている映画だと思います。なので、皆さんが今まで感じてきた価値観とは違うことが多々起こると思いますが、それを楽しんで頂けたらと。最後まで100分突っ走って観て頂ける映画です!と伝え、イベントを締めくくった。

 『カオルの葬式』は新宿武蔵野館にて公開中。トークイベントや来場者プレゼント企画の実施も予定されている。

映画『カオルの葬式』

全国公開中!

【あらすじ】
カオルという名の女性が亡くなった。彼女が残した遺言には、10年前に離婚した元夫・横谷がカオルの葬式の喪主になるようにと、記されていた。横谷が東京からカオルの故郷・岡山に到着すると、そこに居たのはカオルが遺した9才の一人娘・薫。カオルの通夜、葬儀に集まる様々な人々。脚本家であった彼女のマネージャー、プロデューサーや先輩や親友そして葬儀を取り仕切る婦人会や地主一家など腹にイチモツありそうな故郷の人々。そして嵐の夜、事件が起きる・・・。

【キャスト/スタッフ】
関幸治 一木香乃 新津ちせ
足立智充 田中モエ 滝沢めぐみ 川島潤哉 蔵本康文 木村知貴 大岩主弥 錫木うり 黒沢あすか 原田大二郎

プロデューサー:シモエダミカ アソシエイトプロデューサー:福武孝之 脚本:西貴人 監督・共同脚本・プロデューサー:湯浅典子 音楽:ジョアン・ビラ 共同プロデューサー:江部亮 ジャスティン・デイメン 久松猛朗 撮影監督:ビクター・カタラ 照明:ポール・ピーティクス 録音・整音:紫藤佑弥 サウンド・エディター:ギエルモ・ルーファス オフライン編集:マルク・ミチャ 河村信二 カラリスト:デイヴィッド・アヴェシラ 美術装飾:遠藤雄一郎 ヘアメイク:平林純子 スタイリスト:天野泰葉 製作/制作プロダクション:PKFP PARTNERS 宣伝配給:ムービー・アクト・プロジェクト PKFP PARTNERS
2023/日本・スペイン・シンガポール/100分/シネスコ/5.1ch
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