NBCユニバーサルとAmazon.co.jpがこの夏に実施した限定商品企画「レンタルビデオ 黄金時代が甦る!<あなたのリクエストで 初ディスク化>」で発売が決定した6作品が、11月27日に遂に全作発売されます! タイトル通り、DVDでは手に入らなかった作品をブルーレイで楽しめる時がやってきたのです。そこで今回は、本キャンペーンに関心を寄せていた酒井俊之さんと飯塚克味さんに、“お宝作品” がディスクで手に入った感想や、それらをホームシアターで再生したらどんな感動があったのか、映画ファンとしてどんな思いを持ったのかを紹介いただきます。(StereoSound ONLINE編集部)

レンタルビデオに足繁く通った頃の記憶を甦らせてくれる。“映画を所有する”価値を改めて実感できる素敵な企画だ。第二弾もぜひ! …… 酒井俊之

 レンタルビデオの黄金時代の四方山話。大阪の実家、ウチの近所に “貸しビデオ屋” なるものが出来たのは1983年のこと。これ、全国的にも相当に早いタイミングだ。もちろん、その頃は映画好きの店主による個人経営、高額だったセルビデオを買い集め、売値の10%の値付けで(勝手に)貸し出していた。ビデオ自体もまだ目新しく、リリースされている本数もそれほど多くはなかった。一泊二日のレンタル料金は学生にとっては高かったが、行けば店主がコーヒーを出して迎えてくれる、のんびりとした時代だった。

 「 “つたや” っていうお店が繁盛しているらしいぞ」。その後、既に雨後の筍のように出来ていたレンタルビデオチェーンのひとつでアルバイトをしていたボクの頭のなかには店長から聞いた、ちょっと変わったその名前がインプットされた。言わずもがな、今に続く “TSUTAYA” である。そのTSUTAYAも今では往時のような勢いは疾うになく……。“レンタルビデオの黄金時代” もすっかり過去のものとなってしまった。

 いま、主流となりつつあるサブスクで見る映画は、さしずめ “いつでも借りられる、返却しなくてもOKなレンタルビデオ” といったところか。便利と言えば便利な時代だが、“タダで見られる”
ほど緊張感のないものはない。お金を出すからにはどの作品を選ぶか、そのプロセスを大切にしたい。お店でビデオケースのジャケット写真と解説を穴のあくほど睨みつつ、自分の直感が当たるか外れるか。レンタルビデオはそれが楽しかった。だからこそその頃の想いは、いまでも鮮明に残っているのだろう。

 国内外でメガヒットを放った作品なら、その後にDVD、ブルーレイ、そして今なら4K UHDブルーレイやデジタルセル版でも必ずリリースされる。しかし、レンタルビデオ時代ならではの “ニッチな作品” ともなるとその後は日の目を見ないまま、という運命にあるタイトルは少なくない。今回の “500枚企画” はそういった作品たちを、足繁くお店に通った頃の記憶と共に甦らせてくれるわけだ。第二弾にも期待せずにはいられない。

 ジャケット裏の惹句に惹かれて、きょうはどのビデオを借りて帰ろうかとお目当ての作品を見つける。思わぬ掘り出し物に出くわすこともあれば、まんまとハズレを引くはめになることもある。それがレンタルビデオの醍醐味。積極的にパッケージを購入する、テレビの洋画劇場で見る、あるいは現代のサブスクなどとはまた違った楽しみ方だ。

 せっかくなので、以下ではレンタルビデオ時代を思い出して、①ジャケットの写真や惹句とのマッチ度、②マスターのクォリティ、③総合満足度、この3つのポイントで各作品を★5点満点でお薦めしてみたいと思う。

酒井さんのディスクインプレッション

『ビデオゲームを探せ!』 ¥4,980(税込)
●1984年/未公開/1986年ビデオリリース●映像:ビスタ(16:9)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語2.0ch)●新規日本語字幕●映像特典:オリジナル劇場予告編

●ジャケマッチ度 ★★★
 タイトルとジャケ写はいまひとつピンとこない。どんな映画なのか、よくわからない。が、裏ジャケにある “「007」そこのけの恐怖のスパイ・ゲーム” という惹句には惹かれるし、『サイコ2』のリチャード・フランクリン監督による “ヒッチコック・タッチ” の文言も気になる。ビデオゲームがキーワードになっているのもいかにも80年代らしい。

●クォリティ ★★★
 画音の印象はビデオ用のマスターをそのままブルーレイ化したようなトーン。とりわけ鮮度が高い! とは言えないものの、悪い印象もなく、いいコンディションのビデオテープで映画を見ているような感じだ。

●総合満足度 ★★★★
 そこそこに都合よく物語は進み、テンポ感も今となってはゆったり。かと思えば、望外にブライアン・メイのスコアが出色の出来で、物語を飽きさせることなく引っ張っている。しっかりと少年の成長譚に仕上がっており、なんだか後味も良い。ビデオレンタル時代ならば “思わぬ拾い物” として、口コミで人気を集めていきそうな作品だ。

『バイオニック・ウォーズ/帰ってきたバイオニック・ジェミー&600万ドルの男』 ¥4,980(税込)
●1989年/未公開/1992年ビデオリリース●映像:スタンダード(TVサイズ)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語モノーラル)●新規日本語字幕

●ジャケマッチ度 ★★★★★
 このジャケとタイトルはとってもわかりやすい。あの600万ドルの男、リー・メジャースとバイオニック・ジェミーのリンゼイ・ワグナーが夢の競演。TVシリーズ時代のファンには堪えられない、見ずにはいられない作品であることがすぐにわかる。

●クォリティ ★★★
 往時のTVシリーズのオンエアを “フツーのテレビ” で見ていた頃の印象からすると、比べ物にならないくらいコンディションがいい。アスペクト比が4:3のスタンダードサイズなのも往時を追体験させてくれる。叶わぬことだが、広川太一郎と田島令子の吹替で見てみたかった。

●総合満足度 ★★★
 これはもう両TVシリーズをよく知るファンに向けたスペシャルプログラムだ。スティーブとジェミーの恋の行方はどうなるのか? まだ新人時代のサンドラ・ブロックがジェミーと同じくバイオミック手術を受けたケイトを演じているのも見どころのひとつとなろう。また、ビル・コンティがスコアを担当しており、当時の流行りを取り入れたシンセサウンドが80年代を感じさせる。

『FM』 ¥4,980(税込)
●1978年/未公開/未VHS●映像:スコープ(16:9)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語5.1ch)、リニアPCM(英語2.0ch)●新規日本語字幕●映像特典:オリジナル劇場予告編●ミュージックチャプター仕様

●ジャケマッチ度 ★★★★★
 ビデオレンタルはおろか、パッケージ化自体が初となる知る人ぞ知る作品。初見でも、ジャケに並んだアーティストのクレジットで興味を惹かれる音楽ファンは少なくないだろう。ずばりタイトルの通り “70年代後半のFM局が舞台” というのも大いに期待を抱かせる。

●クォリティ ★★★★
 音声トラックはDTS-HDマスターオーディオ5.1chサラウンド版とリニアPCM2.0chステレオ版を選ぶことが出来る。どちらもいいクォリティだが、ウチではDTS-HDMAが常用となりそう。70年代のガッツのある野太いサウンドが楽しめる。

●総合満足度 ★★★★★
 なぜ劇場で公開されなかったのかが不思議だ。とにかく終始、劇中で流れている楽曲がいい。どんな曲がどのように劇中で流れるのか? ミュージック・チャプターも大いに活用しよう。『ブルース・ブラザース』を彷彿とさせるエネルギー感、クイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」を聴きながら、“あぁこれは『いちご白書』なのだなぁ” と感じたりもした。1979年、この作品はちょっと遅れてやってきたアメリカンニューシネマなのかもしれない。

予約したディスクが届いた時、思わずニンマリしてしまった。映画を手に入れる喜びを感じたことのある世代への最高のプレゼントかも ……飯塚克味

 予約した『デビルゾーン』(83)が発売日に届いた時、手元に届いたディスクを目にして、ちょっとニンマリしてしまった。『デビルゾーン』は今回のキャンペーンでいち早く500枚以上の注文があり、ディスク化が実現したタイトルなので、自分が購入しなくても500枚を超えたはずだ。でももしかしたら、その1枚が実現を後押ししたかもしれない。そう思うと、何だか愛おしい存在に思えてならない。

 そしてホラー作品が、ディスクユーザーの中で、確固たる地位を築いている事も改めて実感でき、ジャンル系のファンとしても感慨ひとしおになった。海外でもまだまだ勢いを失っていないホラータイトル。ソフトの売り上げは厳しいと言われているが、今後も当分行けるのではと思えてならない。

 さてディスク本体だが、ジャケット写真のようなブルーケースではなく、白のスケルトンケースで特別感が漂う。ジャケの裏には場面写真がプリントされていて、ていねいな作りに好感が持てた。ディスクの仕様も、普段はただ待つしかないスタジオロゴや、注意書きもスキップすることができ、すぐ本編に飛ばせるのは、配慮が行き届いていて、たいへん助かる。

 封入された各ジャケのシールには遊び心も感じた。また2枚以上購入した人は、NBCユニバーサル×DTSコラボTシャツのプレゼントキャンペーンに応募することができるので、忘れずに申し込んで欲しい。

 今回ソフト化が実現した6作品はもちろんとして、選から漏れた『スティング2』(83)、『ノース・ショア』(87)、『ハード・ツー・ホールド』(84)、『クール・アズ・アイス』(91)の4作品も、根強いファンが確実にいる作品だ。すぐには難しいだろうが、何らかの形で陽の目を浴びてもらいたいと願っている層も少なくはないだろう(キャンペーン再挑戦もあり?)。

 今回、このキャンペーンで様々なメーカーの苦労をSNSなどで目にする機会が増え、我々ユーザーが頑張って購入を続けていかないと、本当にパッケージソフトが消滅しかねないという危機的状況を実感した人も多いはずだ。でも映画を手に入れる喜びを感じたことのある世代がいる限り、パッケージソフトが消滅することはないと信じたい。今回のキャンペーンは、そのことを証明することができたものでもあるのだ。

飯塚さんのディスクインプレッション

『デビルゾーン』 ¥4,980(税込)
●1983年/1984年公開/1984年ビデオリリース●映像:ビスタ(16:9)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語モノーラル)●新規日本語字幕●映像特典:オリジナル劇場予告編

 80年代、オムニバスホラーが大流行した。スティーヴン・スピルバーグが『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)を製作したかと思えば、ジョージ・A・ロメロは『クリープショー』(82)やTVシリーズ『フロム・ザ・ダークサイド』(83~90)を発表。本作はそんな時代に生まれた一本だ。

 4話から成るエピソードには、それぞれ名のあるキャストが出演。夜に出歩くのは危険、ゲームに夢中になり過ぎないように、信仰は大切に、といった教訓めいたテーマが何ともストレートで気持ちいい。

 肝心の本編の画質は、これはもう正に懐かしい80年代の映画という感じで、現代のシャープなデジタル映画では絶対作り出せないあの時代のフィルム画質だ。ざらついて、やや甘いところもあるが、大画面でも破綻することなく、安定した質感を保っているのはブルーレイならでは。

 音質はモノーラルだが、どんどん押し出してきて、映画らしい力強さが感じられる。特に第3話で神父を襲ってくる謎の車の怖さは充分すぎるほど。ホラー好きならマストバイだ。

●ジャケマッチ度 ★★★★
●クォリティ ★★★
●総合満足度  ★★★★

『タイムリミットは午後3時』 ¥4,980(税込)
●1987年/未公開/1989年ビデオリリース●映像:ビスタ(16:9)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語2.0ch)●新規日本語字幕●映像特典:オリジナル劇場予告編

 レンタルビデオ時代、人気ジャンルだった青春映画の一本。大きな手に握りつぶされそうな少年のイラストジャケットは、巨人が出てくる特撮映画のようだが、もちろんこれは当時よくあったイメージイラスト。

 お話は、凶暴な転校生バディを怒らせてしまった冴えない高校生ジェリーが、授業が終わる午後3時にバディと決闘することになってしまうというもの。何とか決闘を避けたいジェリーの姿が、言いようのない笑いを誘ってくる。全体としては名作西部劇『真昼の決闘』(52)をベースにしている。監督のフィル・ジョアノーは本作の後、『U2/魂の叫び』(88)や『ステート・オブ・グレース』(90)、『愛という名の疑惑』(92)でブレイク。撮影のバリー・ソネンフェルド(後に『アダムス・ファミリー』(91)などを監督)はトリッキーな技術を各シーンで披露し、タンジェリン・ドリームの音楽がポップな高校生活を彩っている。

 画質はとにかく発色がよく、群衆シーンなどでは高校ならではの明るい色彩が画面を覆い、現代の視聴環境ではベストの絵作りを見せてくれる。音はステレオながら包囲感があり、作品に集中して鑑賞できるはずだ。

●ジャケマッチ度 ★★★★
●クォリティ ★★★
●総合満足度  ★★★★

『ボーテロ・オブ・ブラッド/血まみれの売春宿』 ¥4,980(税込)
●1996年/未公開/1997年ビデオリリース●映像:ビスタ(16:9)●音声:DTS-HDマスターオーディオ(英語5.1ch)、DTS(日本語2.0ch)●新規日本語字幕●映像特典:オリジナル劇場予告編

 ホラーブームの時代、人気だったオムニバスホラーの中にリチャード・ドナー、ウォルター・ヒル、ロバート・ゼメキス、ジョエル・シルヴァーら、そうそうたる顔ぶれが製作に加わった『テイルズ・フロム・ザ・クリプト』(邦題『ハリウッド・ナイトメア』など)があった。過激な描写が人気を呼び、劇場版も作られたが、本作はその第2弾にあたる。行方不明の弟を探す姉と私立探偵がたどり着いたのは、女吸血鬼が経営する呪われた売春宿だったという物語。

 画質は1996年製作という事もあって、ひじょうにクリアー。VHSの記憶を大幅に上書きすることができて、ホラーファンにはたまらない仕上がりだ。この頃はまだVFXが開発段階で、本作でも一部使われているに留まっているのだが、そのことが幸いし、水準の高い特殊メイクを高画質で目にできる。

 オリジナルの英語音声はDTS-HDマスターオーディオ5.1chで収録され、派手なサラウンドを楽しめた。女吸血鬼の復活シーン、売春宿の喧騒など聴きどころが満載。ベテラン声優陣が揃った日本語吹替版も安定の完成度だ。

●ジャケマッチ度 ★★★★★
●クォリティ ★★★★
●総合満足度  ★★★★

“初ディスク化” 実現記念NBCユニバーサル×DTS コラボTシャツプレゼントも開催中!

 今回発売された6作品の音声は、すべてDTS-HDマスターオーディオで収録されている。これは、隠れた名作たちを、リッチなサウンドで楽しんでもらいたいという担当者の狙いもあってのことだろう。

 それを受けて、今回6作品の中から2枚以上購入して応募してくれた方の中から抽選で合計30名に “NBCユニバーサル×DTS” オリジナルコラボTシャツをプレゼントすることになった。2枚購入の証明(Amazonのサイトより領収書をキャプチャー)を1口として、下記のURLから応募いただきたい。2024年12月31日(火)締め切りだ。

購入対象となる6作品のディスクには、小型ステッカーとキャンペーンの概要紹介も同梱されています

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