スカパーJSATは先日、都内で会見を開き、今春報道発表したストリーミングデバイス「スカパー!+(プラス)ネットスティック」についての詳細の説明と、先行サービス開始について発表した。

 さてスカパーJSATでは、放送事業のほかに展開しているさまざまな事業について紹介する発表会を定期的に開催しており、今回のテーマは二つ。上に記したストリーミングデバイスと、衛星を使ったリモートセンシング事業「LiANA」となる。

 LIANAは、いわゆるB to B事業で、衛星からレーダー波(SAR)を地表に照射し、そこで得られた地表面の変動をモニタリング。それを必要とする事業者へ(データ加工・解析して)提供するというもの。主には、インフラ施設周辺の地滑り、軟弱地盤の沈下などを可視化できるものとなる。

 次に、本題ネットデバイス(スティック)について紹介したい。これは、テレビのHDMI端子に挿すドングルで、ネットに接続できない、あるいはアプリによる映像配信サービスが視聴できないテレビと組み合わせて、さまざまな映像配信サービスを手軽に視聴・再生できるようにするデバイスだ。

 本機をテレビのHDMI端子に挿し、家庭のネットワーク(Wi-Fi)に接続すれば(事前に各種設定が必要)、各種映像配信サービス(OTT)が楽しめる、というもの(有料サービスは別途加入が必要)。電源が必要なので、別途USB給電(テレビのUSB端子に接続するか、USB ACアダプターに接続)する必要がある。Bluetooth式のリモコンが付属する(Bluetooth仕様なので、スティックが隠れていても、結構受信してくれる)。

 スカパーJSATでは、衛星やCATVなどによる番組供給を行なっているが、同社調べでは、何らかの映像配信サービスに加入しているユーザーは95%以上、契約サービス数も平均3.5と、OTTは広く普及しているという。スカパー!契約者においても、他社の映像配信サービス加入者は多いという。そうした、視聴コンテンツの増大、視聴可能デバイス(スマホ、スマートテレビ「CTV」、パソコンなど)の拡大という情勢を受け、確かにスマホ利用は多いものの、より大きな画面で映像を楽しめるテレビにおいて、さまざまなコンテンツの視聴機会を提供する余地は充分にある、と判断。

 さらに、現在のテレビの普及台数は約9700万台、内スマートテレビ(=CTV:コネクティッドテレビ)は約4100万台あるということだが、スマートテレビではない製品もいまだ3000万台は稼働しているそうで、そのユーザーへ向けてドングルタイプのスマートデバイス(=ストリーミングスティック)を提供すれば、市場は充分に見込めるということも加え、今春にデバイスの開発を発表。今回、開発が進んで実機が完成したことを受け、実機お披露目のための会見が開かれた、という流れとなるようだ。

 スカパー!+(プラス)ネットスティックは、OSにアンドロイドを採用しているとのことだが、使い勝手はGoogle TVのようであり、各配信アプリを横断してのコンテンツ(番組)の検索・結果表示が可能、という利便性がある。例えば「AAA」というドラマ番組があるとして、現在第四話が放送されたばかりという場合、見逃した一話から三話まではBという映像配信サービスで、最新の四話は無料見逃しサービス「TVer」で、見られるという具合だ(サービスを横断して一覧表示してくれる。もちろん、各サービスに加入している必要はある)。

メニュー画面。縦軸・横軸の並びとなる

 また、番組出演者から、関連番組(他の出演番組)を検索・表示したりもできる。リモコンにある戻るボタンで、直前の操作に戻れるので、いちいち再検索して……という手間も省ける。ここらへんの使い勝手は、開発段階で念入りに研究・開発されたそうだ。デモを見る限り(試作機ではあるが)、結構サクサクと反応していた。

 映像配信サービスの提供するアプリを追加することもできるが、現状Netflixアプリはマーケットにないので、インストールは不可。

 現在は、デバイスを発売する前のチェックのために、スカパー!契約者を対象としたモニターテストを実施中という。以後は、モニターテストによるフィードバックを受けての改良を行ない、将来的には製品化する予定という(時期・価格は未定)。

ストリーミングデバイス。ほかに電源(USBケーブル)もある

 ちなみに、HDMI端子を装備しているので、出力映像・音声について聞くと、4K/HDRには対応。ドルビービジョンは不可。音声はドルビーアトモスは不可。5.1ch/7.1chはダウンミックス出力(2ch)(受信するテレビの仕様に依存する)とか。実際の使い勝手については後日リポートしたい。