今週の金曜日まで幕張メッセーで開催中のデジタルイノベーション展示会「CEATEC 2024」から、StereoSound ONLINE編集部が注目した展示を紹介する短期特集。第三回ではシャープやパナソニックの新提案もお届けしたい。

 シャープブースでは、CEATECAWARD 2024で経済産業大臣賞を受賞した屋外対応「ePoster」(A0サイズ)を大きくアピールしていた。ePosterは、先に開催した同社の技術展示イベント
「TECH-DAY’24 INNOVATION SHOWCASE」でも展示されていたもので、メモリー型電子ペーパーの特性を活かし、書き込み時以外は電気を使わないという、省エネでのサイネージを実現したものだ。

 さらに本体上部に太陽電池パネルを搭載することでスタンドアローンでの使用を可能にし、また通信モジュールも内蔵して、外部からアプリで表示内容を簡単に書き換えるといったことも可能という(通信ができれば、ある程度の距離があっても書き換えられる)。こういった特性を活かし、災害時の情報伝達ツールとしての機能も期待されているそうだ。

A0サイズの映像が表示可能な「ePoster」と、内蔵されたコネクトモジュール。画像を表示している間は消費電力0Wで映像を保持できる

 続いてパナソニックのブースでは、ハイパースペクトルセンシング技術を応用したハイスピードカメラが注目だろう。これはRGBカメラでは難しかったわずかな色の違いも識別できるもので、展示されていた試作カメラは従来モデル比で10倍という高感度を実現していた。当然シャッタスピードも早くできるので、動いている被写体でもブレを抑えた撮影が可能という。

 会場のデモでは単三電池を搭載したおもちゃの電車をハイパースペクトルセンシングカメラと従来のカメラで撮影した映像が展示されていたが、従来カメラでは注意書きはもちろん、「Panasonic」のロゴもぶれているが、ハイパースペクトルセンシングカメラではどちらもしっかり読み取ることができる。この差は大きい。ちなみにこの効果はイメージセンサーの前に特殊なフィルターを取り付けることで実現しているとかで、カメラそのものは既存の製品が流用できるのだという。

 同社ではこの技術を食品の異物検査や製造現場の品質管理などに展開していきたいと考えているようで、来年度中の実現を目指しているとのことだった。

写真右上がハイパースペクトルセンシング用の特殊フィルター。これをイメージングセンサーの前に取り付けることでより精密な色情報を備えた映像の撮影が可能になるそうだ

デモ用のカメラ(写真左)と、それで撮影した映像(右)。ハイパースペクトルセンシングカメラを使うと、単三電池のロゴや注釈まではっきり読み取ることができる

 幕張メッセ HALL 6のグローバルパーク内ラトビアパビリオンには、先日日本での販売がスタートしたARETAIがブースを構えており、小音量ながら、新製品の「Contra100S」(¥2,200,000、ペア、税込)の音も確認できる。Contra100Sは創業者のヤニス・イルベ氏が7年間の研究開発を経て開発したモデルとのことだ。

日本ではエミライが販売業務を手掛けている「Contra100S」。小音量ながら実際のサウンドも確認できる

 ネクストジェネレーションパークには、フクロウビジョンの暗視カメラも設置され、モニターには会場内のリアルタイム映像が再現されていた。フクロウビジョンはアストロデザインとも協業を進めており、今年9月に開催された「アストロデザイン プライベートショー2024」でも同様の赤外線カメラを展示していた。

 CEATECで展示していたモデルはそこから解析用アプリケーションをさらに進歩させたとかで、RAWデータの段階でノイズなどを極力抑えるようなアルゴリズムを搭載しているという。つまり、もともとの撮影データ自体のノイズが少ないので、余計なリダクション処理も必要なく、拡大したり、後から解析を行う際にも高品質が担保できるというわけだ。モニターの画像もひじょうにS/Nがよく、奥側に写っている来場者ひとりひとりの識別も可能になっていた。

フクロウビジョンが開発したアプリを使うことで、S/Nに優れた赤外線映像を作成可能とのこと