全編新録音で臨むミキサーズラボ45年記念盤。情報量も音場のクリアネスも申し分ない仕上がり

 ワーナーミュージック・ジャパンからリリースされる角田健一ビッグバンドの作品も、本作で遂に5作目。しかも制作に携わるミキサーズラボ創立45周年記念ということで、今回は全編新録音、2010年の『BIG BAND STAGE』に収録されていた2曲(①/⑩)は新たに編曲した2024年版で録音されている。その収録時のサックスとブラスセクションにノイマン製のビンテージ・マイクM49とU67を使うという贅沢なディレクションにも注目だ。

 この2つのマイク、前者は1951年、後者は1960年の発売で、いずれも真空管式。また、ヴォーカル版としてニューアレンジされた「シング・シング・シング2024」では、日本をベースに活動するフィリピン生まれのヴォーカリスト/チャリートが美声を披露。その録音にもU67が使用されている。同曲はヴォーカルとトランペットのアドリブ・ソロによるバトルや、クラリネットとドラムのソロなど、聴きどころも随所に。

BIG BAND SOUND
SACD/CDハイブリッド盤&LP 33 1/3回転『BIG BAND SUPREME ~華麗なるビッグバンドサウンド~/角田健一ビッグバンド』

(ワーナーミュージック・ジャパンWPCL-13559)¥4,000 税込
LP(ミキサーズラボ/ステレオサウンド)
SSAR-101〜102(MLJR-010〜011)¥11,000 税込 ※
※本作のアナログレコード『MIXER'S LAB SOUND SERIES Vol.4』(33回転 180g重量盤2枚組、¥11,000 税込/ステレオサウンド独占販売品)あり。詳細はこちら

[収録曲]
1.シング・シング・シング2024/Sing,Sing,Sing 2024(Vo:チャリート)
2.スイングしなけりゃ意味ないね/It Don't Mean A Thing(If It Ain't Got That Swing)
3.小さな花/Petite Fleur
4.シボネー/Siboney
5.エル・クンバンチェロ/El Cumbanchero
6.スターダスト/Stardust
7.愛さずにはいられない/I Can't Stop Loving you
8.チェロキー/Cherokee
9.真珠の首飾り/A String Of Pearls
10.A列車でいこう2024/Take the 'A' Train 2024

※LP盤は全10曲、同曲収録

●録音・MIX・プロデュース:内沼映二(ミキサーズラボ)
購入はこちら

 もう1曲の新アレンジは、「A列車で行こう2024」と題して、本家デューク・エリントン風の王道的スウィングジャズ・アレンジとなっている。まさしく列車がグイグイ突き進むような推進力のあるリズムを背に、ホーンセクションが次々とソロを繋いでいくそのゴージャスさと迫力も存分に楽しみたい。

 録音を担当したのは、本邦レコーディング界のレジェンド、内沼映二。氏によるレコーディングとミキシング(プロデュースも兼務)は、ワイドレンジでダイナミクスが素晴らしく、SACDならではのディテイルの精密感とニュアンス描写の豊かさもあって、非常にリアリスティックなサウンドが味わえる。ブラスの輝かしさと煌めき、リズムの明瞭さも特筆したい。ちなみに収録フォーマットは、PyramixによるPCM384kHzとProToolsによるPCM96kHz。SACD/CDのハイブリッドディスクという体裁でのリリース。情報量も音場のクリアネスも申し分ない仕上がりを堪能して頂きたい。