時代を超えた傑作の真の姿が初めて聴けた。一生愛聴するにふさわしい仕上がりに感動

 オーディオファイルは音質に優れたタイトルを後生大切にしている人種だ。そして、そのタイトルの音楽性が自身の音楽的価値観と重なれば、文句なしだろう。ステレオサウンドが手掛けたオフコース『We are』は45回転のアナログ盤とSACD/CDハイブリッド盤が発売されており、どちらもそんな存在になりそうなタイトルだと僕は思う。

 オフコースは1967年から1989年にかけて活躍した日本のバンドで、『We are』はオフコース5人時代の最高傑作と評価する方も多い。オリジナルの録音は1980年で、ボズ・スキャッグスなどのサウンドを手掛けたエンジニアのビル・シュネーが担当している。

Stereo Sound REFERENCE RECORD
LP 2枚組 45回転&SACD/CDハイブリッド盤『We are/オフコース』

(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド)
LP SSAR-085〜086 ¥9,900 税込
(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド)
SACD/CD SSMS-064 ¥4,950 税込

DISC 1
[SIDE A]
1.時に愛は
2.僕等の時代
[SIDE B]
1.おまえもひとり
2.あなたより大切なこと
3.いくつもの星の下で
DISC 2
[SIDE C]
1.一億の夜を越えて
2.せつなくて
[SIDE D]
1.Yes-No
2.私の願い
3.きかせて
※SACD/CDハイブリッド盤は全10曲、同曲収録

●マスタリング/カッティングエンジニア:松下真也(PICCOLO AUDIO WORKS)
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 ステレオサウンドからリリースされた本作のアナログ盤のコンセプトは、デジタル機材をいっさい介在しないオールアナログプロセスによりオリジナルのマスターテープに記録された楽器、ヴォーカルの質感をストレートに伝えること。オリジナルマスターテープを元にハーフインチのアナログ・カッティングマスターを作成し、名手・松下真也氏がラッカー盤を製作している。SACD/CDについては、SACD層に前述したカッティングマスターテープからDSD2.8MHzにダイレクトにフラットトランスファーされたデータを、CD層には44.1kHz/16ビットのCDフォーマットに合わせて、アナログ領域でリマスタリングされたデータが使用された。

 アナログレコードは一聴して音の鮮度が高い。音色を派手にするようなイコライジングとは無縁な音で小田和正のヴォーカルは瑞々しくもリアル、大間ジローのドラムスは弾力的で力強さもある。SACDは、アナログ盤同様の自然な帯域バランスで、しなやかな質感表現が好印象。CD層は少し高音域と低音域のエネルギー感が増しており躍動的だ。

 LP、SACD/CDともに、従来のLPやCDとは大きく異なる鮮度感の高い音を聴くことができる。オフコースの目指した音世界がいま初めて、明らかになった印象すらある。当時を知る世代はもちろん、若い世代にも聴いてほしい。