Bowers&Wilkinsから、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「Pi6」、および「Pi8」が発表された。価格と発売日は下記の通り。

「Pi6」 9月発売 オープン価格(想定市場価格¥45,100前後)
 ※カラバリのForest Greenは12月下旬発売
「Pi8」 9月発売 オープン価格(想定市場価格¥72,600前後)
 ※カラバリのJade Greenは12月下旬発売

「Pi6」

「Pi8」

 さて、今回発表の2モデルは昨年発売の「Pi5S2」「Pi7S2」の後継にあたり、ブランドの理念でもある音質、ラグジュアリー、ファッションというポイントをさらに一歩進化させているのが特徴。それを受けて外観は大きく変更されており、それは装着感の向上だけでなく、さらに所有欲を高めてくれるようなデザインにまとめられているところにも注目だろう。

Pi8は4色をラインナップ。Jade Greenは発売が少し先になる

 メーカー担当者の弁では、同社10万円超のフラッグシップヘッドホンが好調だそうで、高価格の製品であっても、質感(デザインなど)が高ければ充分に受け入れてもらえる余地はあるということ、さらにブランドの理念とあわせ、今回さらなる質感の向上を進めたそうだ。

 まずは上位モデルPi8から紹介していきたい。搭載ドライバーは、前モデルの9.2mm径DD+BAというハイブリッド構成から、12mm径DD一発へと変更された。そのDDの表面はカーボンでコーティングされた仕様で、これは同ブランドのフラッグシップ・ワイヤレスへドホン「Px8」と同様の構造であり、径の拡大と新コーティングによって、サウンドクォリティは大きく向上しているという。

 Bluetoothチップには、クァルコムの最新世代となり、「Snapdragon Sound」に対応。つまり、aptX Adaptiveは96kHz/24bitサポート(前モデルは48kHz/24bit)へと進化し、加えてaptX Losslessも楽しめるようになった(Pi6は非対応)。

 さらにPi8では、DSP/DAC/アンプ回路を独立して搭載するディスクリート構成としているのも、音質にこだわったハイエンドモデルならではの特徴と言えるだろう。細かいところでは、音導管の形状も、より音の抜けがよくなるものに改良されている。

左が新型(Pi8)

 本体形状・デザインは、より装着感を高めるものへとリファインされていて、担当者曰く、耳の形状(耳穴周囲の窪みの部分)は、人によって大きく変わることはないそうで、そこへ本体がすっぽりと入るようにカタチに計算されているそうだ。前モデルに対して、上面部分が広くなり円筒形となったが、その広がった部分は、バッテリー容量の拡大にも利用されているそうで、ANCオンの状態でも、前モデルのANCオフ時よりも長時間の使用が可能となっている。上辺の周囲にはメタリックな配色を施すなど、細部までのこだわりが見て取れる仕上がりとなっている。

 その他、今様な進化点としては、マルチポイント(2台)への対応、アプリでのEQ対応(5バンド)が挙げられる。なお、前モデルで好評だったトランスミッター機能は継承しており、コーデックはaptX Adaptiveへと進化している。

Pi8のアプリ画面。ANCオフはアプリからする困った仕様。EQ(右)は5バンドの仕様。EQをフラットにする「TRUE SOUND」モードも備える

 続いてPi6について紹介したい。搭載ドライバーはPi8同様に12mm径のDDへと換装されており、こちらはカーボンコートのない通常のバイオセルロース仕様。BluetoothコーデックはaptX Adaptive(96/24)をサポートするが、Snapdragon Sound非対応なこともあり、aptX Losslessには対応しない。また、独立したDSP/DAC/アンプの非搭載も違い。充電ケースのトランスミッター機能も装備しない。

 その他では、マルチポイント対応、EQ対応(2バンド)は進化点。前モデル(Pi5S2)では対応していたワイヤレス充電機能は外されている。バッテリーはPi8同様に強化されていて、ANCオンでも約8時間の使用が可能なスタミナモデルとなった。

 さて、発売に先駆けて試聴する機会を得たので、そのインプレッションを簡潔に記したいと思う。Pi8は、さすがにDSP/DAC/アンプを独立して搭載しているだけあって、厚みのあるサウンドが聴けた。ボーカルの定位感も良好。ただし、試聴サンプルは、サウンドチューニングがまったくされていないということなので、音場感、高域の再現性、ANCの効果、外音取り込み機能の効果、といったあたりは正式版の登場を待ちたい。

 一方のPi6は、全体的にフラットな再現性で、低域から高域までスッとなだらかで素直な再現性が特徴。さまざまなジャンルの音楽との相性はよさそうだ。ANCの効き具合は、Pi8とPi6でまったく異なるので、こちらも正式版の登場を待ちたいと思う。