9月6日(金)公開の『エイリアン:ロムルス』マスコミ試写会に参加してきたので、その第一印象を報告したい。

 『エイリアン』(1979)といえば、あまりにも有名なSFホラー映画の金字塔であり、その後の多くの作品に影響を与えた傑作だ。若きリドリー・スコット監督のスタイリッシュな演出と、H.R.ギーガーが作り出した有機物と無機物が融合したかのようなエイリアンの造形が強烈な印象を残した(白金のギーガーズバーも話題になりました)。

 その後の劇場作品として、リプリーが登場する『エイリアン2』(1986)、『エイリアン3』(1992)、『エイリアン4』(1997)があり、さらに第一作の前日譚となる『プロメテウス』(2012)と『エイリアン:コヴェナント』(2017)も公開されている(『AVP』シリーズは置いておくとして)。

『エイリアン:ロムルス』

●原題:Alien: Romulus●監督:フェデ・アルバレス●製作:リドリー・スコット
●出演:ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセード、他●9月6日(金)全国公開●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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 そんなエイリアン正史(?)として7年ぶりの新作となる『エイリアン:ロムルス』は、『エイリアン』の直接の後日談で、しかも製作がリドリー・スコットということで、期待しているファンは多いだろう。

 結論から申し上げると、安心して映画館に足を運んでもらいたい。

 そもそもの時代設定が、第一作の『エイリアン』から20年後(西暦2142年)で、ノストロモ号の事件がストーリー上でも大きな役割を果たしている。また登場する宇宙ステーションやアンドロイドはウェイランド・ユタニ(湯谷)製とのことで、往年のファンなら字幕を見て思わずにやにやしてしまうはずだ。AIの呼称もマザーだったし。

 物語は、外惑星・ジャクソン星の採掘現場で働くレイン(ケイリー・スピーニー)とアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)が、過酷な環境から脱出するために、仲間たちの誘いに応じて宇宙ステーションに忍び込むところから始まる。そこでノストロモ号から持ち込まれた“なにか”が解き放たれ……。

 宇宙の密閉空間でのエイリアンとの戦いというシチュエーションは『エイリアン』を踏襲しており、緊張感のある演出も絶妙。見る側がエイリアンという存在を知っている点が第一作との最大の違いなのだが、にも関わらず不気味さ、怖さを感じさせてくれるのが『エイリアン:ロムルス』の優れたところだ。

 薄暗いシーンが多いのは当然として、その中でもくすんだ金属やエイリアンの昆虫のような光沢感の再現が美しいし、4Kデジタル製作らしいディテイル再現も魅力だ(アリAlexa 35による4.6K撮影とのこと)。

 音声面では、試写室は通常のサラウンドシステムだったが、エンドクレジットにはIMAXとドルビーアトモスの表記があったので、個人的にはこれらラージフォーマットでの視聴がお勧めだ。

 というのも、トップスピーカーのない環境で再生しているにも関わらず、宇宙ステーション内の密閉感、エアロックの圧迫感が高さ情報を伴って再現されており、ドルビーアトモスで聴いたらもっと凄いだろうと想像できるからだ(公開されたら馴染みの映画館で確認します)。

 もちろんよくよく考えたらウェイランド・ユタニ社は『エイリアン2』の時代(西暦2179年)までエイリアンの存在を知らなかったはずで、その37年も前にこんな事件があったの? といった疑問は残るんだけど、そんな枝葉末節は、この際スルーしましょう。

 ちなみに試写の後に、自宅で第一作のブルーレイを見直してみたんだけど、マザーの起動時の表示の古臭さやディスプレイがブラウン管なのは、こちらを踏襲していたんだと気がついた次第(『エイリアン』の世界では薄型ディスプレイは誕生しなかったようです)。

 その他にも第一作へのオマージュと思われる描写が多数あり、『エイリアン:ロムルス』は『エイリアン』への愛に溢れた素敵なリブートでもあることが確認できた。『エイリアン』ファンはもちろん、初めて本シリーズを見るという方も、わくわくしながら劇場に出かけていただきたい。
(取材・文:泉 哲也)