7月開催の『第一回東京国際サメ映画祭』オープニング作品として上映され、観客を大いに驚かせたという一作。これほどの情報量を、よく90数分に収めたものだと思う。
大型旅客機の行先はメキシコのリゾート地。中心人物は州知事の娘で卒業旅行のために機上の人となったエヴァ、祖父母と一緒に旅する10歳の少女・ローザ、同性婚を夢見るCAのダニーロ。彼らに限らず、誰もが目的地に到着後の楽しい計画を頭に描いていたはずだ。が、鳥が激突したことによって、旅客機は2万フィートから一気に海の中へ。いかにも恵まれたひとたちの、幸せになること間違いなしだった旅物語が一転、阿鼻叫喚となる。
物語の焦点はそこから、奇跡的に命を失わずに済んだ7人の姿へと移ってゆく。水びたしの機内の中で唯一、安全といえる場所は「エアロック」。JAXA 有人宇宙技術部門のサイトを参照すると、“気圧の異なる場所を人や物が移動するときに、隣り合う室内の圧力差を調節する機能を持った出入り口として使用する通路あるいは小部屋”とのことだ。とにかく、この狭いスペースで、彼らは助けを待つ。が、レスキュー隊より先にやってきたのはサメであった……。
リゾート、ホラー、サヴァイヴァル、スリラー、すべての要素を併せ持つ、ひんやりさせてくれる一作。酷暑にもとても有効だと感じられた。監督はクラウディオ・ファエ、脚本・プロデューサーはアンディ・メイソン、出演はソフィー・マッキントッシュ、ウィル・アッテンボロー、ジェレミアス・アムーア、マヌエル・パシフィック等。
映画『エア・ロック 海底緊急避難所』
8月16日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:クラウディオ・ファエ
脚本・プロデューサー:アンディ・メイソン
プロデューサー:アナリーズ・ディヴィス、ウィル・クラーク、マイク・ルナゴール
出演:ソフィー・マッキントッシュ、ウィル・アッテンボロー、ジェレミアス・アムーア、マヌエル・パシフィック、グレース・ネトル、ジェームズ・キャロル・ジョーダン、フィリス・ローガン、コルム・ミーニイ
【原題:NO WAY UP/2024年/イギリス/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/91分/字幕翻訳:稲田嵯裕里】
配給:ギャガ
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