わが家では、長年2Kプラズマテレビの名機「パイオニアPDP-5000EX」を愛用していた。のだけど、一昨年12月に5〜10分おきに電源が切れるようになり、リセットをかけても修復できなくなってしまった。
パネルが駄目になるまで使いたいと思っていたんだけど、既に修理窓口もなくなっており、諦めざるを得なかった次第。とはいえ年末年始にテレビが見られないとなると家人もうるさいわけで(昭和世代ですから)、急いで次のモデルを選ぶことになったのです。
設置スペースと視聴距離から考えて、画面サイズは55インチに決定。問題は表示デバイスを何にするか。一昨年の段階でMini LEDバックライト液晶も登場しており、これと有機ELのどっちが僕の使い方に相応しいのか? が悩みどころ。
わが家のテレビはリビングの長辺側壁面に設置してあり、向かって左側に窓がある。普段は布のブラインドを下げているので直射日光が差し込むことはないけれど、家人が昼間テレビを見る事が多いので、ある程度の輝度は必要。となると液晶が有望なんだけど、プラズマを見続けてきた身としては自発光デバイスが好み……。
最終的に選んだのは、4K有機ELレグザ「55X9400S」。映画モードの画質や入力情報の詳細が確認できるといったマニアックな理由もあったけど、他にも「映像メニュー」で「おまかせAI」を選んでおけば、周囲の明るさに応じて画質を自動調整してくれるのも大切なポイント。これなら昼間のテレビ視聴も問題ないという判断です。リビングに設置した後も画面の明るさはまったく問題なく、「徹子の部屋」や「午後ロー」も違和感なく楽しめています。
それに増して活躍しているのが「タイムシフトマシン」。ご存知の通りレグザの人気機能で、外付けUSB HDDに最大6チャンネルを自動録画して、過去番組表から呼び出すことで放送済みの番組を手軽に楽しめるというもの。録画可能なチャンネル数と保存時間はUSB HDDの容量によって決まります。
わが家ではPC用に使っていたお古のUSB HDD(容量500Gバイト)をタイムシフトマシン用につないでおり、録画時間は19:00〜25:00、NHK-Gと民放の合計5チャンネルを約2日保存できるようにセットしていた。
これで夜のニュースやドラマがほぼカバーできるので問題なかったんだけど、今話題の “国際的なスポーツの祭典” をチェックしたいと思ったら、これでは駄目。時差の関係で夜中の放送が多いわけで、後からプレイを見直したいと思っても、そもそも録画していないから無理! 早急にUSB HDDを大容量化するしかないかなぁ。
まさにそんな折、アイ・オー・データから ”タイムシフトマシン対応” を謳ったスティック型SSD「AVSSD-RS」が登場。2Tバイトと1Tバイトの2種類で、2Tバイトなら約251時間の録画データを保存可能とのこと。さっそく取材機を借用し、55X9400Sにつないでみることに。
55X9400Sのタイムシフトマシン用USBスロットは、リアパネル向かって右下に設置されている。ここにAVSSD-RSを差し込むだけでレグザが認識して、セットアップメニューが起動(NTFSフォーマット済みなので、フォーマットしなくても使える)、あとは録画チャンネルと時間を選べばいい。
上記のスポーツの祭典をあまさず残してみようという狙いから、全6チャンネルを24時間録画するようにセット。容量2Tバイトの場合、この内容でも約1日は録画データを保存してくれるとのことだったが、実際には2日前の番組まで残っていたので、見逃した試合も慌てずにチェック可能だった。
もうひとつタイムシフトマシンで嬉しいのが、「シーン検索」が使えること。これは放送終了後2〜3時間経過した番組について、本編やCMの頭出しポイントが設定されるもので、柔道やレスリングなら階級別、試合別(準決勝とか決勝とか)で簡単に呼び出せる。この機能のお陰で見たい試合まで早送りする必要もなく、メダルラッシュで盛り上がった柔道や、何かと話題のバレーボールも、気になるシーンを手軽に確認できた次第。
さらにAVSSD-RSを使うメリットは多い。これまで使っていたUSB HDDはACアダプターで給電するタイプだったのでコンセントが必要だったけど、AVSSD-RSはバスパワーなので電源がいらない(テレビ裏の配線もちょっとだけすっきりする)。さらに設置場所が小さくてすむことや(リアパネルから5cmほど飛び出すだけ)、動作音がしないのも嬉しい。
タイムシフトマシンの操作感は、USB HDDに比べてリモコンのボタンを押してから過去番組表が表示されるまでのスピードや、再生までのタイムラグがちょっと早いかも、といった程度で、がらっと変わったという印象ではない。でもこの速度に慣れたら、USB HDDに戻した時にじれったく感じるのかもしれない。
ちなみに関連リンクの記事にある通り、AVSSD-RSはタイムシフトマシンのために、データ書き込み速度と書き込み容量(データ量)を最適化している。SSDはHDDよりも高速書き込みが可能だが、周期的に早いタイミングと遅いタイミングがあり、タイムシフトマシンで使うには、遅いタイミングで6チャンネル分の書き込み容量を確保する必要があった。
地デジのデータ量は1ch当たり約17Mbpsなので、6ch同時録画のためには102Mbpsの書き込み速度が必要になる。AVSSD-RSでは常にこの値をクリアーしているわけだが、そのための「IOオリジナルAVRecording」方式の開発にはかなりの時間が必要だったそうだ。
AVSSD-RSを試してまだ1週間弱だけど、より長時間ぶんの(チャンネル数も増やして)番組を残せることで、タイムシフトマシンをさらに活用できるようになった気もしている。スポーツの祭典が終わったら録画時間を調整して、もう少し長い期間過去番組を残すようにしてみようかな(なんだかこのままAVSSD-RSを導入しそうな勢いですが)。 (取材・文:泉 哲也)