レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンという名優が揃い、しかも監督を勤めたのがマーティン・スコセッシということで、公開前から大きな注目を集めた『ディパーテッド』。この名作が、劇場公開から18年を経て、遂にUHDブルーレイで登場した。

「ディパーテッド <4K ULTRA HD & ブルーレイセット>(2枚組)」 ¥7,480(税込)

●2006年アメリカ作品●片面3層●本編約151分+映像特典 約79分●映像特典内容:スコセッシ監督による「ディパーテッド」の回想、ボストン暗黒街の真実、裏社会を映画に、未公開シーン集スコセッシ監督によるイントロダクション付き●映像2160p Ultra HighDefinition●シネマスコープサイズ/16×9LB●音声:DTS-HD MA5.1ch(英語)、ドルビーデジタル 5.1ch(日本語)
●発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント●販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

 “遂に”というのにはちょっと理由があって、実はこの作品は比較的早い時期にブルーレイで発売されていたこともあり(HD-DVDもリリースされたはず)、映像はVC1、音声はドルビーデジタル5.1chで収録されていた。映像はともかく、音声はロッシーだったわけで、そこはコレクターとしては正直残念な思いもあった。

 で、今回登場したUHDブルーレイは、映像がHEVC、音声はDTS-HD MA(マスターオーディオ)5.1chのロスレス収録ということで、安心して(?)高品質の世界に浸ることができた次第。実際にビットレートを確認してみると、映像は40〜60Mbps(明るいシーンで90Mbps)、DTS-HD MA5.1ch音声には3〜4Mbps前後が奢られている。

 内容については説明不要だろう。日本でも話題になった香港映画『インファナル・アフェア』のハリウッド版リメイクで、警察機構に潜入しているマフィアのスパイをマット・デイモンが、逆に犯罪組織に入り込んだ潜入捜査官をレオナルド・ディカプリオが演じ、それぞれの立場での苦悩や葛藤が描かれている。

 そんな本作は35mmフィルムで撮影されていたはずで、UHDブルーレイの4K映像にも心地いい塩梅でグレインが収められている。輪郭の強調感をまったく感じないのに(VC1収録のブルーレイも綺麗なんだけどコントラストなどに若干演出感あり)、映像のキレがよく、そこに細かく綺麗なグレインが乗っているのだから、思わずスクリーンに見惚れてしまった。

 もちろん若き日のレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンのご尊顔は一見の価値があるわけだし(肌の再現が秀逸)、潜入捜査物という作品柄、彼らの微妙な表情は大きな意味を持っているので、それがしっかり読み取れるのは嬉しい限りだ。さらに何気ないシーンで背景のボケが美しいのも印象的だった。

 一方のDTS-HDマスターオーディオによる音声は、期待通りのまとまりで、ジャック・ニコルソンの凄みのある、ある種の狂気をはらんだ声の再現がいい。室内と屋外での残響感、空気感の違いなどもしっかり感じ取ることができた。

 UHDブルーレイ『ディパーテッド』は、絵と音の両面で作品世界に没入できるクォリティを備えているわけで、 “映画を見た” という満足度を与えてくれる、貴重な一枚と言っていいだろう。

 ちなみにオリジナルの『インファナル・アフェア』では主役のふたりがオーディオショップでラインケーブルによる音質の違いについて語り合うといったシーンもあり、オーディオが彼らの孤独を癒やす重要なアイテムになっていた。

 本作ではそこまでストレートな描写はないけれど、マット・デイモンの自宅マンションにはマッキントッシュのオーディオシステムが並び、ある重要なCD-RWが再生されるプレーヤーの「MVP861 AUDIO VIDEO PLAYER」という型番もちゃんと視認できた。オーディオファン的にはここも4K画質でチェックしていただきたい。(取材・文:泉 哲也)
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