歴史的な作品が4Kリマスターで、劇場で楽しめるのは実にうれしいものだ。「映画化不能」ともいわれていたというフランク・ハーバート原作の超大作を、アナログの時代に、コスチュームにしろメイクにしろアングルにしろ、これほどまでに凝りまくって撮っている。膨大なキャストとスタッフのチームワークによるたまものであろう。

 私は『砂の惑星』とうもの存在を、小説や映画よりも先に、デヴィッド・マシューズというアレンジャーのアルバム『Dune』で知った。1977年発表の作品で、国内盤にも翌年には出ていたと思う。後年、ヒップホップのサンプリング・ソースとしても愛されるようになった一枚だ。この映画『砂の惑星』の制作は1984年だから、それよりもかなり早い時点でマシューズは「音による、砂の惑星」を描いていたということになる。映画での音楽担当はブライアン・イーノとTOTO。プロデュースには『道』や、『狼よさらば』(音楽はハービー・ハンコック)を手がけたディノ・デ・ラウレンティスがあたり、監督はデヴィッド・リンチが担当(『エレファント・マン』の4年後)。

 『デューン/砂の惑星』に関するリンチがらみのエピソードは数々あり、特に編集に関しては彼の力の及ばないところもあったとも伝えられるけれど、それはそれとして、「作品」としては実に雄弁であり、独白的なシーンの多さも、「彼ら(=登場人物)はそういうキャラなのだ」と思えば、「そういうものなのか」と納得がいく。今ではあまり使われなくなってしまったであろう「グロテスク」という概念・言葉を思い起こさせてくれる描写にも富んでいる。出演はカイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス等。

映画『テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版』

8月2日(金)より シネ・リーブル池袋 ほか全国順次公開

監督・脚本:デヴィッド・リンチ 原作:フランク・ハーバート 製作:ラファエラ・デ・ラウレンティス 製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス 撮影:フレディ・フランシス 編集:アントニー・ギブス 音楽:ブライアン・イーノ、TOTO
出演:カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤング、スティング
1984年|137分|アメリカ|原題:Dune|配給:東京テアトル
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