ノアでは、昨年(2023年)創業40周年を迎えた、イタリア、ソナス・ファベール社の超弩級フラッグシップモデル「Suprema」を8月8日(木)に発売すると発表した。Red、Graphite、Wenge、Walnut、Red Violin の5種類のフィニッシュをラインナップしている。

Suprema System1 ¥170,500,000(税込)
※メインキャビネット+デュアル・サブウーファー+クロスオーバーユニット
Suprema System2 ¥154,000,000(税込、)
※メインキャビネット+シングル・サブウーファー+クロスオーバーユニット

 Supremaは、今年1月にアメリカ、ラスベガスの「CES 2024」で発表された製品だ。同社の伝統的な技巧と革新的な技術を昇華させた新たな挑戦を体現しており、独自技術に加えて他メーカー、他業種との協業を経て生み出された新たな設計も搭載している。

「Suprema」 左がメインキャビネットで、右がサブウーファー

 メインキャビネット、サブウーファー、アクティブ・クロスオーバーネットワークで構成されたシステムで、同社が手掛けてきた数々のプロジェクトの中でもっとも野心的な製品だという。

 メインキャビネットは、名機「Guarneri Homage」を彷彿させるリュートデザインを継承。同社の求める完璧なサウンドステージを再生するためには、スピーカーの存在を感じさせないキャビネット形状が必要だったそうだ。平行面がない事でキャビネット内の共鳴を的確に制御、そしてスリムな形状により、3次元的な空間表現を実現する。

 そのメインキャビネットに搭載されたユニットは、本機のために開発されたカスタムメイド品で、高域には20mmスーパートゥイーターと38mmトゥイーターを使用。どちらもシルク・ソフトドーム型が採用されている。スーパートゥイーターは2kHz〜40kHzの帯域再生が可能で、スーパートゥイーター及びトゥイーターにはウェーブガイドが備わっており、優れた高域特性や分散特性を備えている。

左からGraphite(グラファイト)、Red(レッド)、Red Violin(レッド・ヴァイオリン)、Wenge(ウェンゲ)、Walnut(ウォルナット)

 165mmのミッドレンジユニットは、エッジ部による回折現象が音質へ悪影響を及ぼすことを避けるため、エッジ周囲を5ヵ所カットし、エッジ部を凹型にする事で、ナチュラルでホログラフィックなサウンドを奏でることに成功した。

 低域用には203mmミッドウーファーを1基、203mmウーファーを4基搭載。タワー型のユニット構成で、ウーファーはキャビネット上部と下部に2基ずつ取り付けられている。振動板はペーパーコーンで、45Hz〜360Hzの再生に対応する。ミッドウーファーは2基の下部ウーファーとミッドレンジの間に配置。カスタムメイドのネオジムドライバーにより、45Hz〜430Hzを受け持っている。

 なおメインキャビネットのトゥイーターとミッドレンジ部の独立チェンバーは、ドライバーのパフォーマンスの最適化を図るために設計した “Cutting-edge Technologies”構造を搭載する。同社では
内部定在波や共振のない完璧な形は有機的な形状が理想と考え、新しい素材としてコルクを採用した。コンピューターシミュレーターや聴感によるリスニングテストによって生まれた独創的なチャンバーは、淀みのないナチュラルな中高域再生を可能としているそうだ。

メインキャビネット、サブウーファーとも平行面のないエンクロージャーを採用

 一方のサブウーファーでは、「Stradivari Homage」を模したキャビネット形状を採用。表面積が大きいだけでなく、内部容積が多く、平行面がないので、内部定在波の除去を最適化する事ができるそうだ。

 そのサブウーファーには38cmユニットを2基搭載、鍛造カーボンファイバー製の振動板と巨大なヒートシンク、強力なネオジムドライバーで構成され、ふたつのユニットを合わせて約2,000Wの出力に耐えられる設計となっている。これにより、インパクトがあるサウンドと、音場や空気感を適切に生成するために必要な歪みのない最低域(16Hz)の再生を可能とした。

 それぞれの筐体では、カスタムメイドのドライバーユニットのポテンシャルを最大限に引き出すために、背面にカーボンモノコック製のキャビネットを採用。耐久性と共振の少なさに優れており、固有の振動や共振を除去してくれる。サイドパネルには、同社の伝統技術である天然木による積層合板を採用。17層の積層構造による優れた剛性を有するだけでなく、同社初となる3次元曲面加工により、並行面をできる限り少なくした独創的なデザインを実現している。

専用クロスオーバーネットワーク

 さらに外付けの専用クロスオーバーネットワークも開発された。特に超低周波数を再生するサブウーファーでは、空間やシステムに応じた調整が必要不可欠なため、クロスオーバーネットワークによってLow Passや位相、ゲインを調整したり、必要に応じてメインチャンネルのHighPassを調整する事も可能だ。

 なおSupremaは、明日から開催される「2024東京インターナショナル・オーディオショウ」で特別セッションが予定されている。気になる方はイベントサイトで時間を確認していただきたい。

「Suprema」の主なスペック

<メインキャビネット>
●型式:4.5ウェイ10スピーカー、密閉型
●使用ドライバー:20mmシルク・ソフトドーム型トゥイーター、38mmシルク・ソフトドーム型トゥイーター、165mmダンピング・フェーズプラグ搭載コーン型ミッドレンジ、203mmサンドウィッチ構造ペーパーコーン型ウーファー、203mmサンドウィッチ構造ペーパーコーン型ウーファー×4、28mm シルク・ソフトドーム型リアトゥイーター、101mmペーパーコーン型リアミッドレンジ
●再生周波数特性:45Hz〜40kHz(フロント)、500Hz〜20kHz(リア)
●出力音圧レベル:91dB/W/m
●公称インピーダンス:4Ω
●クロスオーバー周波数:360Hz/430Hz/1,700Hz/6,700Hz(フロント)、500Hz/2,300Hz(リア)
●寸法/質量:W650×H1905×D880mm(本体、突起部含む)/105kg
<サブウーファー>
●型式:1ウェイ2スピーカー、密閉型
●使用ドライバー:380mmカーボンファイバー・サンドイッチ・コーン型ウーファー
●周波数特性:16Hz〜30/80Hz
●出力音圧レベル:92dB/W/m
●公称インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W850×H1451×D525mm(本体、突起部含む)/103kg