6月28日(金)〜9月23日(祝)の間、東京・天王洲の寺田倉庫B&C HALL/E HALLで、「ジブリパークとジブリ展」が開催される。これまで愛知や新潟など日本各地で開催されてきた本イベントがいよいよ東京にやってきたわけだ。

左から日本テレビ放送網 代表取締役会長執行役員 杉山美邦さん、ジブリパーク監督 宮崎吾朗さん、中日新聞社 東京新聞 代表取締役社長の大島宇一郎さん

 東京会場オープンに先立ち、6月28日に開会セレモニーが開催された。会場には本イベントの主催社である中日新聞社 東京新聞 代表取締役社長の大島宇一郎氏と、日本テレビ放送網 代表取締役会長執行役員 杉山美邦氏、さらにジブリパーク監督の宮崎吾朗氏が登壇した。

 まず、大島氏から今回の展示会の概要が紹介された。ジブリパークとジブリ展は2022年夏から現在までに全国7会場で開催されており、115万人の来場者があったという。そこでは宮崎吾朗監督のこれまでの仕事と作品を振り返るとともに、ジブリパークがどのように生み出されてきたのかについて、制作資料や試作品モックなども交えて紹介されている。

 「書き込みが入った資料の数々は、本来なら門外不出で見ることはできない貴重なもので、制作過程であっても完成度が高いものです。既にジブリパークに足を運んでいただいた方も、まだの方にも楽しめる内容になっていると思います」と大島氏は語っていた。

●大人気のネコバス&トトロ

会場入口ではトトロとネコバスがお出迎え。こちらのネコバスは大人も乗車できます

●三鷹の森ジブリ美術館

オープンから23年を迎える三鷹の森ジブリ美術館はどんな風にして誕生したのかについての展示もあり。宮﨑駿監督のイメージを実際の建物に仕上げていくための問題をどうやってクリアーしたのかは必見です

 これを受け登壇した宮崎吾朗監督は、「三鷹の森ジブリ美術館を作るときに呼ばれまして、あの時はまだ35歳くらいだったんですけれども、美術館の建設についての記者会見に出ると言われました。私の右に当時の徳間書店の徳間康快さん、左には日本テレビの氏家齊一郎さんに囲まれて、嫌な汗をかいた思い出がありました(笑)。今日は右に大島社長、左に杉山美邦会長に囲まれて、その思い出が蘇っています。

 ジブリがいろいろ仕事をしてきて、特に展覧関係で色々な造作物ができてくるわけですが、そういう物をどこにしまっておくかという問題がありました。倉庫が足りなくて困っているということを、愛知県の大村知事が聞いて、じゃあ倉庫を用意するから何かやりましょうとお声がけをいただいたところからジブリパークは始まっています。

 なので、ジブリパークで最初に考えたのは『ジブリの大倉庫』です。ここを中心にジブリパークを作ってきたので、実はこの展覧会も美術館よりも寺田倉庫さんみたいな場所でやった方が似合う、ひじょうにいい展示になっているんじゃないかと思います。

 同時に私もジブリに入ってから色々な仕事をやってきました。一貫性がないなと思う気もするんですが、こうやってまとめていただくと、そろそろ引退もできるのかな、なんて思った次第です。とても面白い展示になっていると思いますので、たくさんの方に足を運んでいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします」と語ってくれた。

●アニメ映画の作り方

『ゲド戦記』『コクリコ坂から』といった宮崎吾朗監督の劇場作品について、イメージボードや背景美術などの貴重な資料も並んでいる。『アーヤと魔女』については初の3DCG作品ということで、2Dセルアニメと3DCG作品の制作工程の違いについても詳しく説明されている

 その後、宮崎吾朗監督に対し記者から、ジブリパークのサツキとメイの家は実際に台所でご飯が炊けたり、お風呂に入れるということだが、それは毎日使われているのかという質問があった。

 これについて宮崎吾朗監督から、「実際に建てるので、可能な範囲で家として使えるようにしています。お風呂があればお風呂に入れるし、キッチンがあればキッチンで煮炊きもできる、薪ストーブがあれば暖を取ることもできるように作っています。

 ただ、毎日毎日お米を炊いてお客さん迎えるわけにもいかないので、イベントなどで年に何回かできればいいね、という話をしています。そのためにはスタッフがちゃんと竈門を使えることが必要で、今ちょっとずつ練習をしてるところです」との返事があった。

●アニメーションの世界を本物に(1)

サツキとメイの家の模型はひじょうに精密に作られており、細部までじっくり見て欲しい展示のひとつ

地球屋のからくり時計やバロンとルイーゼの人形のデザインモック、瞳のサンプルまで並んでいる

ジブリパークにあるカラフルなネコバスの前足の巨大さには驚くはず

 また今回のジブリパークの展示について、こういったイベントがある前提で取っておいたのかという質問もあった。

 これについては、「作っている時はないですね。だから、本来であればここで展示してあるものも半分以上ゴミになっちゃうんです。ただ今回は『ジブリの大倉庫』ができるという前提があったので、取っておくことができたと思うんです。ただ、既にその大倉庫もいっぱいになっちゃってます」とのことだった。

 また海外の記者から外国からの来訪者にアピールするために気をつけたことはあるかと聞かれ、「映画を作る時も、三鷹の森ジブリ美術館やジブリパークを作った時も、今回のような展示会をやる時も、日本のお客さんなのか、海外からのお客さんなのかということを意識したことは1回もないんです。日本の方も海外の方も同じように楽しんでいただければいいなと思っただけですね。ただ、今回は東京会場なので、外国からのお客さんが来てくれることも多いでしょう。そういう方がジブリの展覧会に接するいい機会になるんじゃないかなと思っています」と答えていた。

 その他、東京会場で初めてお披露目される展示については、「ジブリパークのメリーゴーランドの馬と同じものをふたつ、新しく製作して展示しています。もちろんちゃんと乗れるように作ってありますので、ぜひ跨って写真を撮っていただければと思っています」と説明してくれた。

●アニメーションの世界を本物に(2)

昨年11月にオープンした「もののけの里」にあるタタリ神のデザインスケッチや顔部分の原寸大模型、同じく今年3月にオープンした「魔女の谷」からは『ハウルの動く城』などの模型もあり

ジブリパーク「魔女の谷」にあるメリーゴーランドから、「もののけ姫」のヤックルとモロの君のレプリカが東京会場で初登場。実際に騎乗して記念写真を撮影できます

その隣では、ジブリパーク「にせの館長室」の展示会特別バージョンが

 その後、会場内の展示を見せてもらったが、ジブリパークで人気の高いサツキとメイの家の模型や実際に使われていた柱(と足元を支えるレンガ)、メイキング映像でも紹介されていた青春の丘・地球屋のからくり時計の模型など興味深いものが多く並んでいて、ジブリパークで使われているマンホールの蓋(!)にも触ることができた。

 また宮崎吾朗監督が手掛けてきた映画作品についても、それぞれの設定資料や、3DCG作品の作り方、通常のアニメ作品との違いも細かく紹介されており、クリエイターを目指す層にも勉強になる内容になっていた。

お土産売り場には、東京会場限定のネコバスピンズも

 ジブリパークとジブリ展は9月23日までの開催で、チケットは日時指定の予約制となっている。その詳細は以下の通り。

「ジブリパークとジブリ展」東京会場 開催概要
●日程:2024年6月28日(金)〜9月23日(祝)9:30〜20:00(最終入場19:00)
 ※9月23日(祝)は12:30 最終入場、14:00閉館
●会場:東京・天王洲 寺田倉庫「B&C HALL/E HALL」
●主催:東京新聞/日本テレビ/ローソンチケット/ディスクガレージ/第一通信社/TOKYO FM
●協賛:DNP大日本印刷/寺田倉庫
●企画制作協力:スタジオジブリ/三鷹の森ジブリ美術館/ジブリパ―ク
●チケット(日時指定予約制)
【通常チケット、税込】大人¥1,900、中・高校生¥1,600、小学生¥1,200
【特典付きチケット】大人¥2,900、中・高校生¥2,600、小学生¥2,200