エミライから、FIIOのマルチBA型イヤホン「FA19」(市場想定価格¥187,000前後、6月14日発売)が発表された。複数のBA(バランスドアーマチュア)ドライバーを搭載するFAシリーズのフラッグシップモデルとして開発されている。

 FA19は、高域用に4基、中域用に2基、低域用に4基という、合計10基のBAドライバーを搭載。高域用にはKnowles社「SWFK-31736」を、中域用には同「EDシリーズ」の特製仕様を採用することで、空気感の再現性や情報量に優れ、帯域間のつながりが自然なサウンドを実現した。

 低域用にはマルチBA型イヤホンの限界を打ち破るような深みのあるローエンドを実現するため、FIIOがKnowles社と共同開発したカスタム仕様のドライバーを採用。BAドライバーに緻密な音響チューニングを施すことで、全帯域にわたって自然かつ滑らかで、解像感の高いサウンドを提供するという。

 高域、中域、低域用のBAドライバーは、3ウェイクロスオーバーネットワークを用いて帯域分割することで、明瞭感に優れた正確な音再現を実現する。そのクロスオーバーネットワークには、許容差0.1%というメディカルグレードのルビコン製フィルムコンデンサーが使われている。これにより音質への悪影響を抑制し、正確な帯域分割を可能にしているそうだ。

 さらに、深みのある低域を実現するために3Dプリンターを用いて作成されたネガティブ・フィードバック低域向上システムも採用した。この技術により、4基の低域用ドライバーが発する低周波をシェルの背面に誘導し、共鳴周波数を下げることで低域の再生レンジを効果的に拡張するという。

 また、低音域のクォリティを損なわずクリアーな中高音域を実現するため、FIIOの特許技術「S.Turboテクノロジー」も搭載した。低域用BAドライバーが発する高音成分をフィルタリングすることで、複数のドライバー間で発生する音の干渉を抑制し、自然で豊かな低域と理想的な周波数特性を両立する技術だという。

 10基のBAドライバーを正確に配置し、様々な高音質技術を搭載するために、0.0375mmまでのプリント精度を持つ高度なDLP-3D印刷方式で作られた3Dプリント筐体を採用した。複数回の測定と装着テストを経て、快適な装着感と耐久性を兼ね備えた理想的なバランスを実現している。

 付属ケーブルは、28本の撚り線をさらに8つ編みした合計224本の高純度純銀素材を使用。TPU被覆により絶縁されたケーブルを4本編み込み、ピュアな音楽信号の伝達を実現している。イヤホン側コネクターはMMCX、プレーヤー側は交換可能プラグになっているため、3.5mmアンバランスと4.4mmバランス接続の両方に対応可能となっている。

「FA19」の主なスペック

●使用ユニット:高域用BAドライバー×4基、中域用BAドライバー×2、低域用BAドライバー×4
●再生周波数特性:10Hz〜40kHz
●インピーダンス:10Ω@1kHz
●感度:106dB/mW@1kHz
●ケーブル素材:高純度純銀素材撚線ケーブル
●ケーブル長:約120cm
●質量:約7g(片側、ケーブルを除く)

https://www.fiio.jp/products/fa19/