商業・インディーズを問わず活動を続ける平波亘監督による近作2本の1日限定の上映会「平波亘映画まつり」の開催が決定した。2022年のモスクワ国際映画祭に正式出品され、その異質な世界感がカルト的な人気を博した骨董屋を志す青年の幻想活劇『餓鬼が笑う』(出演:田中俊介、山谷花純、萩原聖人、田中泯)、MOOSICLABでのお披露目から熱狂的フォロワーを生み出し続けている、夢を見ることもできない少年少女の青春黙示録『サーチライト-遊星散歩-』(出演:中井友望、山脇辰哉、安藤聖、山中崇)の2本となる。

 上映会場は渋谷のユーロライブで、6月1日(土)の18時より2本連続上映の予定。当日は平波監督、『餓鬼が笑う』主演の田中俊介による舞台挨拶も実施予定となっている。

『餓鬼が笑う』

すべてと失った青年に残されていたのは“記憶”
懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる――

骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大はある日、看護師の佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道で、いつしか黄泉の国に迷い込んでしまうことに。大は、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、自身の人生を生き直し始めるのだが…。

主人公の青年〈大〉を演じたのは田中俊介。何者にもなれない青年のナイーヴさと過酷な運命に翻弄されるタフネスさを体現。ヒロインの〈佳奈〉を演じたのは、ドラマに映画に活躍の場を広げる山谷花純。萩原聖人は先輩商人〈国男〉に扮し圧倒的な存在感を放つ。また、世界的なダンサーでもある田中泯がキーマンとなる画家〈高島野十郎〉役で特別出演。他、片岡礼子、川瀬陽太、川上なな実ら個性豊かな俳優陣が作品世界を彩った。

平波監督は70年代ATG作品を彷彿とさせる世界観が色濃い原案に、「記憶」を巡るラブストーリーの要素を導入。今に生きる若者のリアリティを取り入れ、息詰まる日常を吹き飛ばす愛と不条理に満ちた衝撃のクライマックスムービーがここに誕生。モスクワ国際映画祭でワールドプレミアののちに、全国劇場公開されカルト的な人気を博した。

出演:田中俊介 山谷花純 片岡礼子 柳英里紗 川瀬陽太 川上なな実 田中真琴 二ノ宮隆太郎 原田大二郎/田中泯(特別出演) 萩原聖人

監督・脚本・編集:平波亘|撮影:伊集守忠|照明:大久保礼司|録音・整音・効果・音楽:松野泉|美術:中村哲太郎|助監督:滝野弘仁|スタイリスト:小笠原吉恵|ヘアメイク:河本花葉|制作主任:宮司侑佑|主題歌:easternyouth「今日も続いてゆく」(裸足の音楽社)|企画・原案・共同脚本:大江戸康|プロデューサー:鈴木徳至|製作:大江戸美術、コギトワークス|制作:コギトワークス|配給・宣伝:ブライトホース・フィルム、コギトワークス
2022/93分/ビスタ/カラー/5.1ch
2022『餓鬼が笑う』製作委員会

『サーチライト-遊星散歩-』

夢なんて見ない。未来なんて知らない。
ただ、ささやかな暮らしを望んだ女子高生が疾走する青春黙示録。

一見普通の女子高生だが、病を患った母・貴子との暮らしを守るために、苦しい生活を余儀なくされている内田果歩。同級生の輝之は、果歩の事情を知って気にかけるが、周囲の心配をよそに彼女はやがて禁断の「JK散歩」の世界に足を踏み入れていってしまう。そんな彼らが暮らす街の空をサーチライトが照らす。それは先行きの見えない境遇の少女の道筋を示す光なのか、それとも…。

主人公〈果歩〉を演じるのはミスiD2019でグランプリを獲得以降、女優として活動の場を広げる中井友望が本作で映画初主演。〈輝之〉役に若手実力派の山脇辰哉。病を抱える母〈貴子〉役には演劇や映像で確固たるキャリアを築く安藤聖、ストーリーの鍵を握る謎のミュージシャン〈4番さん〉役に合田口洸、果歩と“お散歩”するサラリーマン〈長谷川〉役に山中崇。また都丸紗也華、西本まりん、詩野、安楽涼、水間ロンなど多彩な顔ぶれが物語を支える。

小野周子が手がけたオリジナル脚本をもとに平波監督は未来を夢見ることもできない少年少女の青春を瑞々しくも痛みを伴いながら疾走する青春映画を創り上げた。ヤングケアラーなどの問題を描く本作は熱狂的なリピーターを生み、インディーズ映画ながらロングラン興行を展開。今夏にはDVDの発売も決定している。

出演:中井友望 山脇辰哉 都丸紗也華 安楽涼詩野 西本まりん 大沢真一郎 水間ロン 橋野純平/安藤聖 山中崇

監督:平波亘|撮影:関将史|録音:篠崎有矢|編集:村松正浩|美術:岩崎未来|スタイリスト:小宮山芽以|ヘアメイク:河本花葉|助監督:工藤渉|編集:村松正浩|VFX:萩原嘉人|スチール:柴崎まどか|ラインプロデューサー:石川真吾|音楽・主題歌:合田口洸|企画・脚本:小野周子|企画プロデューサー:直井卓俊|配給・企画協力:SPOTTEDPRODUCTIONS|制作:800LIESPRODUCTION
2022/93分/ビスタ/カラー/5.1ch
2023『サーチライト-遊星散歩-』製作委員会

【平波亘 監督コメント】
『餓鬼が笑う』と『サーチライト-遊星散歩-』、この2本の映画はコロナ禍の中で企画がスタートして、難産の末にこの世に生み出されたものです。この大変なことになってしまった世界で、僕たちが愛してきた娯楽芸術に一体何ができるのだろう? そんな問いを抱えながら、より人と人の繋がりを強く意識し、素晴らし過ぎる俳優部たちとスタッフたちの尽力によって生まれた映画です。コロナ禍の影響が色濃く残った中での興行は大変なものでしたが、この作品に出逢ってくれた人たちの愛と叱咤に支えられることによって、自分が想像した以上に作品がより深く大きなものになっていく得難い幸福を実感しました。そんな人たちへの感謝の意味と、自分が次のステップに向かうためのけじめとして、今回の上映会を企画しました。この世でしぶとく生きようとする餓鬼たちの旅路と、少年少女が追いかけた光の行く先、どちらの作品もおそらくスクリーンで観賞できる最後の機会です。平波亘映画まつり、是非お気軽にお楽しみください!

【平波亘 プロフィール】
1978年生まれ、長野県出身。ENBUゼミナールを卒業して映画制作活動を開始。監督作品『スケルツォ』が第30回ぴあフィルムフェスティバル・PFFアワードに入選。その後も監督作『青すぎたギルティー』『労働者階級の悪役』などが国内外の映画祭で上映される。単独劇場公開作品として『東京戯曲』『餓鬼が笑う』『サーチライト-遊星散歩-』などがある。近年は、演劇の演出やTVドラマ、ミュージックビデオの監督も手がける。また助監督としても今泉力哉監督、二ノ宮隆太郎監督、戸田彬弘監督、宇賀那健一監督などの商業、インディーズを問わず様々なフィールドで活動している。屋号は800 LIESPRODUCTION。