iFi audioから、K2 HDテクノロジーを搭載したスティック型USB DAC/ヘッドホンアンプ「GO bar剣聖」(¥85,800、税込)が3月27日に発売される。オーディオをきわめた人のために「鍛造」されたポータブルDACだ。
2022年に発売された「GO bar」をベースに、音楽の本質を露わにする体験を生み出すために、純粋さ、バランス、洗練性に焦点を絞って設計されたという。
その最大の特長はK2 HDテクノロジーを搭載した点にある。K2HDはJVCが開発したもので、デジタル化を行う過程で失われた高調波を復元するテクノロジーだ。ストリーミングの圧縮音源やCDを192kHz/24ビットまでアップスケールし、波形を修正するために、手動で選定したK2パラメーターを適用してくれる。さらに高域拡張とビット拡張によって、22kHzを超える自然高調波と倍音を回復、オリジナル・マスターに近いオーディオ品質を生み出すことが可能になるという。
こうして復元された信号を、シーラスロジック製32ビットDACチップセットを中心に構成したD/Aコンバーターでアナログに変換、その際にはGMT(Global Master Timing)高精度クロックシステムにより、超低ジッターを実現しデジタルオーディオ信号のエラーや歪みを低減している。
対応信号は、リニアPCMが最大384kHz/32ビット、DSDはDSD256に対応する。DSDデータもネイティブのまま再生するアーキテクチャーを採用しており、さらにMQAのフルデコードも実現している。
アナログ回路は小型サイズにも関わらず、左右対称のデュアルモノーラルチャンネル出力段を持つバランス設計を採用。左右チャンネルを完全に分離することにより、信号経路のノイズとクロストークの低減を獲得した。
それらの回路は、TDK C0Gコンデンサー、パナソニックOS-CONアルミポリマーコンデンサー、高密度タンタルコンデンサー、太陽誘電製とムラタ製のインダクターといった高品質なディスクリート部品を採用。電源のフィルタリングにも注力し、USB入力から混入する信号ノイズを大幅に低減している。
アンプ部は477mW(32Ω)、7.5V(600Ω)という出力を備え、16Ωのヘッドホンにも充分な電流を供給できるなど、単体ヘッドホンアンプに匹敵する駆動力を実現している。さらにふたつのパワーチューニング技術を搭載しており、ヘッドホン/イヤホンにあわせて出力パワーを調整可能という。
筐体には高剛性のステンレス素材を採用し、ヘアライン仕上げで質感の高い外観に仕上がっている。ボリュウム調整用の物理ボタン(ソース機器と同期/非同期選択可能)も備え、縦に並んだLEDは再生中のフォーマットとサンプルレート、そしてXBass+とXSpaceのどちらかが有効であるかを示してくれる。
入力にはUSB Type-Cを、出力には4.4mmフルバランスと3.5mm端子を装備。後者はiFi独自の「S-Balanced」テクノロジーを採用しており、通常のシングルエンドジャックと比較してノイズとクロストークを50%カットしている。どちらの出力端子も金メッキが施されており、長期間にわたって嵌合品質を維持してくれる。
iSO機器との接続に使えるLightning to USB Type-Cケーブルや、USB Type-C搭載のPCやMacで使用できるUSB Type-C OTGケーブル、USB Type-C to Aアダプターも付属しており、箱から出してすぐに使うことができるだろう。持ち運びに便利なレザートラベルケースも付属する。
「GO bar剣聖」の主なスペック
●接続端子:USB Type-C、ヘッドホン出力(4.4mmバランス、3.5mmアンバランス)
●対応フォーマット:リニアPCM=44.1/48/88.2/96/176.4/192/352.8/384kHz、DSD=2.8/3.1/5.6/6.1/11.2/12.3MHz、DXD=352.8/384kHz、MQAフルデコード
●S/N:132dBA(バランス)、121dBA(アンバランス)
●再生周波数特性:20Hz〜70kHz(-3dB)
●消費電力:最大4W
●寸法/質量:W65×H22×D13.2mm/65.5g