JVCケンウッドは、反射型液晶デバイス(LCOS=Liquid Crystal on Silicon)の生産拠点を2024年4月より、神奈川県横須賀市の久里浜工場から、株式会社JSファンダリの新潟工場(新潟県小千谷市)に移転することを決定した。久里浜事業所内の工場の稼働は2024年3月末日をもって終了し、4月1日以降は新潟工場内の生産施設(クリーンルーム)の一部を借用してLCOSを生産するそうだ。

JSファンダリの新潟工場

 生産拠点移転の背景としては、同社は中期経営計画「VISION2025」において、企業価値の最大化に向けて「経営基盤のさらなる強化」を進めている。その一環としてものづくり改革を推進し、事業環境の変化に即応する安定的かつ持続可能なものづくりの実現に取り組んでいる。

 それを受け、D-ILAプロジェクターに搭載しているLCOSの生産については、上記の通りJSファンダリ新潟工場への移転を行う。同社のクリーンルームは、8K映像表示やネイティブ4Kなどの高精細LCOSの生産仕様や規格に適しており、より高い精度と安定した品質を確保しつつ、生産量への柔軟な対応を実現し、将来的には生産能力のさらなる強化と高度なものづくりを目指していくそうだ。2024年4月より移転先で生産の立ち上げを行い、年内にも量産開始を予定している。

 LCOSは昨今、光通信用デバイスとして社会実装が着実に進んでおり、特にポスト5Gネットワークで発生する膨大な通信トラフィックに対応するための高性能化と、将来的に拡大が予想される需要への対応が求められている。同社ではこうした背景を踏まえ、LCOSのラインナップ強化と生産量への柔軟な対応を図るとともに、より高度なものづくりの実現により、革新的な次世代映像技術、および通信技術を提供することで社会のニーズに応えていくとのことだ。