インド映画について、ある特定のイメージを持っている方は快い裏切りにあうことだろう。尺は2時間半ほどあり、歌が流れるシーンも、ダンス・シーンもたっぷりだが、舞台は英国ロンドン。そこに住む、ある意味とても恵まれたインド系の青年たちと、パキスタン系の青年たちの物語なのである。皆、かっこよくておしゃれだ。

 両者は一種のライバル関係にあり、ダンスバトルを繰り広げている。セリフもあるにはあるが、それ以上に雄弁に彼らの気持ちを伝えるのが、各楽曲の歌詞。もちろんここにもしっかり字幕はつけられていて、ヒップホップを基調とした楽曲の数々が、切れ味いっぱいのダンスと共に繰り広げられる。一部アメリカの古典的映画『ウエスト・サイド物語』を想像した私ではあるが、その後、ライバルたちが心を一つにして、10万ポンドの賞金が出るダンスバトルへ挑戦していくシーンに至るスピード感ゆたかな流れは見事。

 よりによってライバル同士が、なぜ協力して、ひとつしかない「優勝の席」を狙うのか? そこもこの映画の面白みだ。

 監督のレモ・デソウザはダンサー、振付師としての実績もある人物。「速度を自在に操る」と形容したくなる撮影テクニック、そして演出面において、彼がいかに「ダンスを魅せること」に懸けてこの映画に取り組んだかが伝わってくる。現場では相当にアクロバティックな注文も出たのではないかと勝手な想像もしてしまうが、俳優たちはかっこよさを崩さない。個人的には、時おり「庶民社会」のシーンが盛り込まれているところにも強い印象を覚えた。

映画『ストリートダンサー』

3月1日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

監督・脚本:レモ・デソウザ
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァー、ノーラー・ファテーヒー
2020 年/インド/ヒンディー語/142分/G 原題:Street Dancer 3D
配給:SPACEBOX
(C)Remo D’Souza Entertainment (C)T-Series (C)UTV Motion Pictures