109シネマズプレミアム新宿で開催されている「SAION Request Collection」に出かけた。

 これは、「坂本龍一氏監修の下で設計した『SAION -SR EDITION-』で鑑賞してみたい作品」という来場者アンケートで人気の高かった作品を上映する企画で、2月22日まで上映されているのは、『ラ・ラ・ランド』『セッション』という、いずれもデミアン・チャゼル監督の作品である。今回はその中から『ラ・ラ・ランド』を選んでいる。

 前回リバイバル上映に出かけたのはいつだったか、記憶にないくらい久しぶりだ。最近はパッケージソフトや配信の拡充で、映画を観たい時にいつでも観られる環境が整ってきたこともあり、リバイバルで劇場に足を運ぶ機会は減っているようにも思うが、109シネマズプレミアム新宿のシアター2での劇場体験は、特別なものだった。

今回は109シネマズプレミアム新宿のシアター2で上映されている『ラ・ラ・ランド』を鑑賞した

 同作の日本公開は2017年(アメリカ公開は2016年)だが、ロサンゼルスのハイウェイの大渋滞から始まる物語は、今観ても新鮮だ。とりわけ109シネマズプレミアム新宿はS/Nが秀逸できわめて静かなので、スクリーンへの集中度が高まるし、そこに組み合わせるESF製BWVのスピーカーが奏でる立体的な音の表現力と、心の底まで見透かすようなダイアローグに耳が釘付けになる。

 本作は35mmフィルム撮影(制作はDI)だが、シアター2の映像はS/Nが抜群で、UHDブルーレイで何度も観たハリウッドの丘の上でのダンスのシーンもきわめてクリアーである。暗部階調も申し分ないし、色再現も実に鮮やかだ。

サラウンド用にも、ESF製BWVのスピーカーが並んでいる

 繰り返し見た作品なのでストーリーを追いかける必要もなく、ゆとりを持って楽しめるので、自然と細部にも目が行く。セバスチャン(ライアン・ゴズリング)の部屋にある、アコースティックリサーチのレコードプレーヤーに取り付けられたカートリッジがオーディオテクニカ製だったんだ、というマニアならではの発見もあった。

 アクション作品ではないので、サラウンド再生もある意味で控えめだが、バックで流れる音楽とともに、細やかな音の配置が手に取るようにわかるのは、音響システムの本領が発揮されているからだろう。特にラストの回想シーンは何度観ても作品世界に引き込まれる。こんな静けさとエアボリュウムを備えた空間での劇場体験なら、何度でも楽しめると思った。

「ここで見るとブルーレイよりもS/Nがいいカットも多く、作品の印象も変化したね」と潮さん

 109シネマズプレミアム新宿では、年間を通して積極的にこうしたイベント上映を開催していくそうだ。これまでにも、『ダークナイト トリロジー』や『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』などの35㎜フィルム特別上映を行なっているし、音響監修を担当した坂本龍一氏自身が、ここで観てみたいと話した作品も上映してきている。

 2月23日からは、『マクロス超時空フェスティバル プレミアム映画祭at 109シネマズプレミアム新宿』が決定しているということなので、興味のある映画ファンは、随時109シネマズプレミアム新宿のホームページで確認していただきたい。