今サメ映画というと、頭がいくつもあるヤツとか、竜巻に乗って空から襲ってくるヤツとか、いわゆる “トンデモ・サメ映画” が思い浮かぶようになってしまった。それまでサメ映画といえばスティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』(74)だったのだが……。

 そこでハリウッド・メジャーが本気を出して作ったサメ映画が2018年の『MEG ザ・モンスター』。主人公のテイラーは、潜水艦事故の救助作業中に巨大な何かに襲われ、救助者を優先し仲間を見捨てざるを得なくなってしまう。ところが救助したヘラーにもそのことを否定され、さらに異常者扱いされたため、仕事をやめて酒びたりの日々を送っていた。

 5年後、そのテイラーを現場に復帰させたのが、上海沖にある海洋研究所マナ・ワンからの、海底基地に取り残された元妻ローリーの救出依頼だった。テイラーは何とかローリーを救出するが、そこで巨大なサメに襲われる。今回の事故の原因となったのは、5年前に現れたのと同じ巨大ザメのメガロドンだった。

『【初回仕様】MEGザ・モンスターズ2 <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組/ブックレット付)』 ¥8,580(税込)

<DISC1>●UHDブルーレイ●本編 約116分+特典 約22分●シネマスコープサイズ(16×9LB)●音声:1.ドルビーアトモス(英語)、2.ドルビーデジタル5.1ch(日本語)●字幕:1.日本語、2.英語(for the Hearing Impaired)、3.吹替用

<DISC2>●ブルーレイ●本編 約116分+特典 約22分●シネマスコープサイズ(16×9LB)●音声:1.ドルビーアトモス(英語)、2.ドルビーデジタル5.1ch(日本語)●字幕:1.日本語、2.英語(for theHearing Impaired)、3.吹替用

●発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
●販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

 “メガロドン” とは、200万年前に絶滅したとされる体長20mを超える古代ザメで、なぜジョン・ハモンド(!)もいない海底でそんな古代の怪物がいたのかというと、海底6000mの冷たい海の、さらに下にある温水層で生きながらえていたのだ……。

 この『MEG ザ・モンスター』がそこらのトンデモ・サメ映画と違うのは、海底基地からの救出劇は前半戦で、後半戦はマナ・ワンでの攻防戦と中国・海南省にある三亜湾のリゾート・ビーチを襲うメガロドンとの死闘という3つの見せ場があること。

 主演は『トランスポーター』シリーズ(02〜08)や『エクスペンダブルズ』シリーズ(10〜23)などで知られる肉体派アクション俳優のジェイソン・ステイサム。地上では無敵のジェイソンが海の中で、それも巨大ザメ相手にどう戦うのか、楽しませてもらった。

 監督はニコラス・ケイジ主演の冒険アクション『ナショナル・トレジャー』シリーズ(07、09)のジョン・タートルトーブだけにアクションも魅せるし、何よりも南国ジャマイカのボブスレーチームの奮闘を描いた名作コメディ『クール・ランニング』(93)も手がけているだけに笑いのセンスも抜群で、緊張したシーンの合間で笑わせてくれた。

 それから5年後経った2023年、『MEG ザ・モンスターズ2』でテイラーとメガロドンが還ってきた!

 本作では原題のサブタイトル “The Trench(海溝)” の通り、海底深くがキーワードとなる。前作で亡くなったジャン博士の弟で実業家のジウミン(ウー・ジン)が博士の意思を継ぎ、マナ・ワンは海底の研究と調査を続けていた。

 小型潜水艇ダイヴで6000mの海底を調査中のテイラーたちにメグ(魔女っこではなく、今回からのメガロドンの愛称)が近づいてきた。だが、そのメグはジウミンがペット(?)として飼っていたハイチで、マナ・ワンから逃げ出していたのだ。ハイチを回避しようと温水層へ逃げ込むと、25m級のメグたちと謎の海底ステーションを発見する……。

 監督はタートルトーブから、ヒッチコックの名作のリメイク『レベッカ』(20)のベン・ウィートリーに代わったものの、主演のジェイソン・ステイサムを始め前作の生存者はほぼ続投し、相棒のマック(クリフ・カーティス)やDJ(ペイジ・ケネディ)たちもピンチに陥ったり、救ったり、笑わせたりと今回も大活躍(しかも、『えっ、こんなキャラまで!』と言いたくなる人物の再登場あり)。本作ではステイサムのアクションを見せるためか、冒頭に廃棄物を海に不法投棄する悪党どもを叩きのめすアクション・シーンが用意されているのもサービス! サービス!

 残念ながら前作のヒロイン、スーイン博士役のリー・ビンビンは出演しておらず、スーインは2年前に亡くなったことになっている(笑)。スーインの8歳の娘で、テイラーにも懐いていたメイイン役の名子役ソフィア・ツァイもいないのか……と思ったら、ちゃんと13歳になって出演していた。見違えるほど大きくなっていて、子どもの成長は早い!

 同じことをしていても意味がないという狙いからか、前作とはまったく違う展開と、新たな要素が加わっている。群れで現れるメグの他にも、『ジュラシック・パーク』シリーズ(93〜23)の影響か、コリアノサウルスをモデルにした水陸両用(?)で小型の肉食恐竜スナッパーズが登場する。

 巨大なメグも怖いが、大型犬くらいの大きさながら群れで襲ってくるスナッパーズはリアルな恐怖を与えてくれる。そして前作のダイオウイカに代わり『テンタクルズ』(77)のような30m級の巨大タコも大暴れし、人間を襲いまくる。

 だがいちばん面倒な敵はやはり人間で、海底資源を狙う悪徳企業や、テイラーを逆恨みする悪党、さらにマナ・ワンのチームにも裏切り者がいたりと、海にも陸にも基地の中にも敵がいて、常にハラハラさせる展開だ。テイラーたちも深海で自由に動けるパワードスーツを装備し、アクションやバトルは前作以上となった。

 そしてメイン・ディッシュである25mのメグたちに30mの大ダコ、すばやい動きで襲ってくるスナッパーズの群れをどうやって倒すのか? クライマックスはこの3つのバトルが同時進行し、テイラーはもちろんマックとDJも怪物相手に奮闘する!

 第1作で「メガロドンの歯は20cmある」というセリフが出てきたが、そもそも “メガロドン” とは “巨大な歯” という意味。では、ここで衝撃の事実をお知らせしたい。実はメガロドンの化石は、この歯しか見つかっていない。つまり歯の大きさから推定して、体長は最大20mくらいだろう……という判断で、実際のところ大きさも姿もわかっていない。そういう意味では『MEG』シリーズもトンデモ・サメ映画かもしれない!? だがしかし、ハリウッド・メジャーが本気を出して撮ったらどうなるか、本作を見て思い知るがいい!

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