レノボ・ジャパンは、昨年ThinkPadブランド30周年記念会見で披露した、二つ折りパソコン「ThinkPad X1 Fold」の第2世代モデル(ThinkPad X1 Fold 16と表記する)の発売に合わせて、同社の大和研究所にて、同機の開発秘話を開陳する、プレス向け会見を行なった。合わせて、近年では、世界的に対応が求められるようになっているサステナビリティへの取り組みについての説明も行なわれた。

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 さて、ThinkPad X1 Fold 16については上の記事で詳しく紹介しているので、ここでは今回の会見内容をメインに紹介したい。

 レノボでは現在、世界180カ国でノートパソコンを販売しており、ブランドのコアバリューとしているのは、製品の、機能・デザイン、モバイル性(軽量さ、堅牢さ)、搭載する技術を高めることで、ユーザーの生産性をアップさせることに注力しているということだ。

 一方で、コロナ禍を経て、ユーザー(社会)の働き方の変化、社会のニーズの変化などもあり、世界的な環境負荷への意識が高まってきたことで、(メーカーの)調達基準も変わってきたのだという。それが何かと言えば、環境負荷への対応、つまり、材料のリサイクルを意識・実行しているか、またそれをもっと進めてサーキュラーエコノミーという考え方が世界的に広まってきているそうで、これは日本語にすれば循環型、つまり使った素材・材料を100%に近い状態でリユース・リサイクルする社会ということになる。これはESG(環境・社会・ガバナンス)という指標で示されるそうで、このESGへの対応・意識が低いと、競争力が保てなくなってしまうと言い、メーカーとしてはこれを意識した製品開発・製造・販売をしなくては、生き残りが難しくなるということだ。

 ということを受け、レノボでは、上で紹介したコアバリューにこのサステナビリティを組み合わせた、開発・製造を行なっているということだ。

 さて、まずは、ThinkPad X1 Fold 16に盛り込まれた新技術について紹介したい。新型(2世代機)では、1号機の経験(意見)を踏まえて、下記の3点で進化させている。
1 画面を大型化(16.3型)
2 タブレットからPCまで7つの動作モードを搭載
3 キーボードのタッチ感と堅牢性をアップ

 コンセプトは、小さく運んで、大きく使う。持ち運ぶ(使わない時)は小さく折り畳めて、使う時は開いて16.3型という大きな画面で作業できる、ということだ。画面は、ノートパソコン風にも使えるし、全開して縦型・横型での使用も可。シチュエーションに合わせて使い方を選択できるようになっている。

 技術的なポイント5つ。
1 ヒンジ部分の稼働をスムーズにするために200以上もの部品を使用
2 ヒンジ部分を経由するケーブルの信頼性・耐久性を高めるS-シェイプ構造
3 狭額縁化を実現するOLEDボディベント
4 軽量化と剛性を両立するシャッター構造
5 精度の高い組み立てを可能にするオートメーション

 ヒンジ部分は、昨年の会見でも多くの時間を割いて紹介されていたが、実に200点以上の部品を使って、雫型曲げ(折り曲げた部分がピタッと付く。ディスプレイメーカーのシャープとのやり取りにて実現したという)を実現した。

パネルの折り曲げ部分。ここまで曲げられるように、製造メーカーのシャープと協業し、実現させたという

一見なんだか分からないが、実はヒンジ部分の機構。かなりがっしりしている

 ちなみに、スピーカー、マイク、カメラ、端子類をどこに設置するのかも大事なポイントになるそうで、半開きのノートパソコンスタイル(ミニクラムシェルモード)、全開の縦置き(ポートレートモード)、横置き(ランドスケープモード)、いずれの場合においても、スピーカーであればステレオで聞けて、端子類は2端子が常時使えるようにと、それぞれ3カ所(天面、側面)に装備されている。アンテナについては、カメラを収納する部分(天面)に、6本を内蔵している。

 内部構造については、こうしたマイクやスピーカー、端子類の位置を確定させた上で決めていったそうで、写真のように、ぎっしりと詰め込まれている。バッテリーは二つ内蔵しており、本製品についてはデュアル駆動ではなく、モノ(同一)駆動となっているそうだ。

 付属のBluetoothキーボードも大きく変更(改良)されている。レノボのThinkPadシリーズであればなくてはならないトラックポイントがようやく搭載された。キーストロークは1.0㎜から1.35㎜へ、キートップの凹みは0.1㎜から0.3㎜へと変更され、タッチ感の向上が図られている。クリックパッドは、Bluetoothキーボードとして世界初という感圧式となっている。充電はUSB-Cで、パソコンとUSB接続すれば有線キーボードとしても使えるそうだ。このキーボードだけでも単品発売してほしいものだが、現状では、予定はない、という返事だった。

 そのほか、インテリジェント機能によって、バッテリー消費も抑えられていて、5~25%ほどの節電が可能になるという。

 次に、レノボの進めるサステナビリティへの取り組みについて簡潔に紹介したい。世の中の流れは、上で説明したサーキュラーエコノミーに向かっているようで、レノボでも、再生素材の活用、プラスチックフリー(なし)の梱包、低温はんだ(LTS)の使用という、大きく3点での取り組みを実施している。2017年には今に続く環境負荷対策が始まっているそうだ。

 再生素材については、90%のリサイクル素材の採用、拡大を進めていて、2025年にはすべての製品でリサイクルプラスチック(PCC)を使用することを目標にしているという。現在でも、バッテリーフレーム、スピーカーエンクロージャー、アダプターの外装(エンクロージャー)などでの使用率は向上しているそうだ。

再生プラ、再生マグ、再生アルミなど、シリーズによって素材を使い分けているが、再生材の使用率も向上しているそうだ

 パソコンの筐体についても、各種再生材=プラスチック、マグネシウム、アルミニウムの使用を拡充しているという。パッケージについても、脱プラスチック化は進んでいて、いまではほぼ変更は済んでいるそう。その他、バルクパッケージ(複数台のノートを1梱包化)においても、脱プラ、梱包材の使用料の削減などが進んでいて、廃棄梱包材の廃棄が3割近く減少するなど、効果を発揮しているそうだ。

左が旧来の梱包材。右が現在。脱プラが進んでいる