評価の高かった前モデルの機能・性能をさらに向上させた

 街中や電車内など、外出先で完全ワイヤレスイヤホン(TWS)を使う人をみる風景はもはや日常になった。左右のケーブルが存在しないストレスフリーさと、周囲の暗騒音を大きく下げるノイズキャンセリング機能の搭載により、ポータブルオーディオの世界でその存在価値は確固たるものになっている。時代背景として、スマホと組み合わせて、定額制ストリーミングサービスによる音楽再生やYouTube再生を快適に楽しめる時代が到来したのも大きい。また外出先だけでなく、自宅でのテレワークに利用できることも、時代と大きくマッチングした。

 現在は、オーディオメーカーから家電メーカー、ファンションブランドまでがこの市場に参入し、多くの製品が発売されている。しかし、そうなってくると音質的にもデザイン的にも、所有欲が満たされるモデルを探している方も多いはずだ。

 活況の製品ジャンルということで、筆者も市場で発売される数多くの製品を試してきたが、オススメの1つとして推薦したいのがHUAWEI(ファーウェイ)のモデルだ。その理由はデザイン、使い勝手、ノイズキャンセリング性能など全方位的な完成度の高さである。

 スマホやスマートウォッチでお馴染みのファーウェイは近年、完全ワイヤレスイヤホンにも力を入れており、高性能を追求する「FreeBuds Pro」シリーズ、快適なリスニングを求めた「FreeBuds」シリーズ、よりファッショナブルかつライトさを意図する「イノベーション」シリーズなど、用途やライフスタイルに合わせた製品群を展開している。

 今回は、最上位モデルかつ、新作モデルとなるインナーイヤー型の完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeBuds Pro 3」をご紹介しよう。本モデルは、2022年7月に発売されファーウェイのTWSに対する印象を大きく上げた「HUAWEI FreeBuds Pro 2」の待望の後継モデル。評価の高かった音質とデザイン、機能に、現在の同社が持つ技術を追加投入することでより完成度を上げた新鋭機だ。

ファーウェイ
完全ワイヤレスイヤホン
「HUAWEI FreeBuds Pro 3」
¥28,800(税込) 発売中

●Bluetooth規格:Bluetooth5.2
●対応Bluetoothコーデック:SBC、AAC、LDAC
●ドライバー:11mm径ダイナミックドライバー+マイクロ平面振動板ドライバー
●再生周波数帯域:14Hz~48kHz
●バッテリー駆動時間(ノイズキャンセリング・オフ):約6.5時間/約31時間(充電ケース併用時)
●バッテリー駆動時間(ノイズキャンセリング・オン):約4.5時間/約22時間(充電ケース併用時)
●充電時間:約40分(充電ケースで充電)
●充電端子:USB Type-C
●質量:約5.8g(イヤホン片側)/約45.5g(充電ケース)
●カラーリング:セラミックホワイト、シルバーフロスト、グリーン
※仕様の数値については、ファーウェイラボのテスト結果に基づいています

 早速、編集部から届いた「HUAWEI FreeBuds Pro 3」を開封する。まず気に入ったのは、小型かつ洗練されたデザインだ。従来モデルと同様、本機も質感が高く高級感のある美しいクローム調仕上げのハウジングが印象的。実は筆者、今年の5月に同社の中堅モデル「HUAWEI FreeBuds 5」をレビューして外観の美しさに感心した一人なのだが、同社の完全ワイヤレスイヤホンに共通するデザインの良さは、その価値を高めるアドバンテージとなっていることを痛感した。

 音質を決める基本となるドライバーは、11mmダイナミックドライバーに加え、平面コイルと平面振動板、さらに4つのマグネットを組み合わせた独自開発の「マイクロ平面振動板ドライバー」というデュアル構成。本ドライバーは駆動面の面積を拡大したうえ、分割振動を低減させたことで平面ボイスコイルのコントロール性能が向上し、動作の過渡状態におけるレスポンスが向上した。周波数特性は約14Hz~48kHzをカバーしている。

 と、ここまでの仕様は仕様かつスペックは評価の高いFreeBuds Pro 2と同様なのだが、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」の真髄はここから。印象的なのは、ノイズキャンセリング性能と通話性能を、大きく向上させていることだ。「HUAWEI FreeBuds Pro 3」に内蔵されるマイク数は片耳3基(合計6基)のトリプルマイク仕様で、さらにノイズを識別するアルゴリズムを向上させた「インテリジェント・ダイナミックANC3.0」によって、性能を約50%アップしているのだ。加えて通話品質向上にもメスが入れられており、トリプルマイク+骨伝導VPUセンサー+DNN(深層学習)によって、によって、ソフト・ハード双方から通話品質の向上も図っている。ファーウェイではこれを「DNN通話ノイズリダクション2.0」と命名している。能力としては、収音で約2.5倍、風ノイズキャンセルは約80%アップしているという。

 そのほかの仕様についても手抜かりはなく、Bluetoothバージョンは5.2で、同時に2台のデバイスと接続できる「マルチポイント接続機能」を有している。

 対応コーデックはLDAC/AAC/SBC。スマホやDAPなどの端末側が対応している必要があるが、高音質コーデックLDACに対応し最大990kbpsの伝送ビットレートが可能であること、またHWAとハイレゾオーディオワイヤレスの二つの認証を取得していることも記しておきたい。

機能だけでなく音質も大幅に向上。余韻の表現が美しく、良質なステレオイメージが楽しめる

 それでは実際に、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」の音質およびノイズキャンセリング、通話品質をFreeBuds Pro 2と比較しながらチェックしていこう。まずは外観から。基本的なデザインはFreeBuds Pro 2とほぼ変わらない。しかし質量は約5%減となっている。つまり、元々コンパクトかつ軽量だったFreeBuds Pro 2から、さらに軽量化されているのだ。

 また、イヤホン本体同様にデザイン性の高い卵形の充電ケースが付属するが、こちらはサイズが約46.9×65.9×24.5mmになり約4.5%の小型化を達成。質量は約52.1g→約45.5gと軽くなっている。さらに収納部と蓋を繋げるヒンジの形状と装着位置が改良された(同社では隠しヒンジデザインと呼んでいる)ことで、イヤホンが取り外しやすくなったことも見逃せないポイントだろう。これらの要素は日常使用が多い完全ワイヤレスイヤホンでは見逃しがちだが、購入後の快適性に地味に関わってくる。余談だが、充電ケースのデザイン的なアイデンティティの1つである「HUAWEI」の文字が刻まれた鏡面部は、一面式ナノガラスが採用されたことで耐摩耗性が増して、傷がつきにくくなったそうだ。

 試聴前に専用アプリ「HUAWEI AI Life」もインストールした。ダウンロード後、アプリを立ち上げてIDを作成し、デバイスに「HUAWEI FreeBuds Pro 3」を追加すればOK。一連の動作もスムーズだ。

 XS、S、M、Lと4種類付属するイヤーピースの中からSサイズを装着し、さらに音量レベル、外耳道の構造、装着の状態をリアルタイムに把握するEQ調整を効かせた状態で、スマートフォンとBluetooth接続する。「HUAWEI FreeBuds Pro 3」の格納ケースのサイドにあるボタンを押すとペアリングモードとなり、スムーズにペアリングされる。軽量かつコンパクトなハウジングは耳に馴染み装着感も良質だ。試聴曲を何にしようか迷ったが、品位のあるハウジングを見ていると、シンプルかつ音の良い女性ボーカルが聴きたくなった。そう思わせる雰囲気が「HUAWEI FreeBuds Pro 3」にはある。

 Apple Musicからメロディ・ガルドーとピアニストのデュオアルバム『オントレ・ウー・ドゥ』を再生した。イントロから流れるピアノ、余韻の表現が良質で歪みのないステレオイメージが確認できる。ピアノタッチへのレスポンスに追従性が良いのは、「マイクロ平面振動板ドライバー」の効能だ。さらに、ピアノのフォーカスが明瞭で高~中音域は質感が良く、メロディ・ガルドーのボーカルは口元の動きがしっかりと聴き取れ、バックミュージックから浮かび上がってくる。はっきり書くが予想以上にかなり良質な音質だ。

 続いて、Spotifyにて、洋楽ポップス:チャーリー・プースのアルバム『チャーリー』から『There's A First Time For Everything』を聴いた。音に透明感があり、イントロから始まるエレクトリックシンセサイザーのディテイルが明瞭に感じられる。サウンドステージも広く一聴して気持ちの良い音だ。続いて聴こえるベースとドラムは適度な弾力感と迫力を両立しているが、しっかりとしたダンピングでシェイプされており、緩い表現にならないのが嬉しい。中音域から高音域まで適度に色彩感があり、音楽的にも楽しい。ハウジング側面にはタッチ式のセンサーが装着されていて、スマホを取り出さなくても音量調整や曲送り、ノイズキャンセリング操作などが快適に行なえる。

 アプリの機能としては、バッテリーの充電状態をパーセンテージで表示し、ノイズキャンセリングの切り替え「ON/OFF/外音取り込み」、音質可変「デフォルト/低音強調/高音強調/音声/交響曲/Hi-Fiライブ」、ハウジングタッチ/スワイプ時の動作切り替えなどの基本機能に対応。また、イヤーチップの適合度テストや、イヤホン本体を落としてしまった場合に、イヤホン本体から音を出して見つけるなどのユニークな機能も備わる。

ノイキャン性能の大幅な進化を実感! かなりの騒音下でも静寂な環境を得られるし、通話のクリアさも見事なもの

 続いてノイズキャンセリング性能を比較しながら試してみた。早速、自宅リビングで音楽やYouTubeを見ながら生活音のノイズキャンセリング能力を確認する。まずはノイズキャンセリング機能を効かせない状態、いわゆるパッシブ状態での物理的な遮音性を確認。この場合ハウジング形状と耳の形状の相性、イヤーピースの特性などが、遮音性を左右する。ここは個人差があるが、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」も2も比較的に耳に隙間なくフィットするので、感覚的には外音が1/2位にまで下がるし、遮音性は双璧といったところだった。

 次にノイズキャンセリング機能を有効化して確認したのだが、ここで改めて「HUAWEI FreeBuds Pro 3」の進化に驚かされた。あまり派手に表現したくないのだが、アクティブのノイズキャンセリングを効かせた状態での聴感上のノイズ量は、FreeBuds Pro 2の2/3から1/2位まで下がるように感じた。隣にあるキッチンで料理をする音や、フローリングに響く足音などの生活音が大きく下がるのだ。

 そして感心したのは、外出時のノイズ低減効果の大幅な向上だ。今回は、外出時のテレワーク作業を想定して、最寄りの駅ビルにある喫茶スペースにてノートパソコンを広げてノイズキャンセリング機能を有効化させ、YouTube動画を見た。外では家庭内とは別次元の量の雑踏音が耳に入ってくる。予想はしていたが、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」がもたらす静寂感はかなりのものがあり、FreeBuds Pro 2よりもすぐにわかるほどの大幅に効果が高いノイズキャンセリング効果を発揮した。

 そして最後は、新幹線の車内で「HUAWEI FreeBuds Pro 3」とFreeBuds Pro 2を比較した。電車内でのノイズの量は飛行機内に続くほど多く、ノイズキャンセリングには大変な難所ポイントで試したのだ。しかし、ここでも「HUAWEI FreeBuds Pro 3」は真価を発揮してくれた。次の停車駅を伝える車内アナウンスやレールの継ぎ目の音、周りの乗客の話し声、エアコンのキーンとしたノイズをかなり低減してくれ、一昔前のノイズキャンセリング能力とは雲泥の差で、快適な列車の旅を楽しめた。特に「HUAWEI FreeBuds Pro 3」は2と比べてパッシブ状態では防ぎきれない車内に入り込む走行音や、低域の騒音を大幅に低減してくれている。ちなみに、ハウジングをロングピンチすることで外音取り込み機能を有効化できるので、車内アナウンスへの対応もバッチリである。

 そしてもう一つ嬉しかったのが、通話品質がより向上していることだ。強力なノイズキャンセリング能力により、相手の声が明瞭に聞こえることは想定内だったが、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」は自分の声もより明瞭に相手に届けることができる。これは、耳に密着するように設計された骨伝導VPUセンサーが外部からの騒音を遮断し、よりクリアに自分の発する音声を相手に届けてくれる仕組みである。「いま外で話しているんだよ」と伝えると、通話相手は「すごく良く声が聞こえる!」と感心してくれた。

音質と使い勝手を大幅に向上させた、満足度の高い製品

 まとめとなるが、「HUAWEI FreeBuds Pro 3」の進化点から読み解けることは、定評のある前モデルの音質を生かしながらも、年々要求値が高まるノイズキャンセリングや通話品質の性能を上げたこと、そして本体の質量軽減により装着感も上げ、全方位的な使いやすさを、かなり大幅に向上させてきたことだ。

 先述したとおり、市場にはさまざまなモデルが発売されているし、ノイズキャンセリングや通話機能、音質などは機能的に“あり”“なし”だけでは測れない、かなりの性能差が存在する。最近はより小型化される傾向が強まっていて、これらの機能を入れこみつつ性能差を出すことは生半可ではない。しかし総合的に開発リソースと技術を持つファーウェイが発売した「HUAWEI FreeBuds Pro 3」は、これらの要素を高次元に達成していた。大変完成度の高いモデルで、購入後の満足感もかなり高そうだ。

Sponsored byファーウェイ・ジャパン