「プロジェクターの買い替えを考えているんだけど、BenQのHT4550iってどうなんですか?」そんな質問を寄せてくれたのは、都内在住の高瀬秀樹さんだ。高瀬さんは熱心なホームシアター愛好家として度々取材に協力いただいており、ご自宅では145インチスクリーン&7.1.4サラウンドを楽しんでいる。そんな豪華な環境で最新DLPプロジェクターはどれほどのパフォーマンスを発揮してくれるのか? さっそく高瀬さんと親交の深いオーディオビジュアル評論家 潮晴男さんと連れ立って、高瀬邸にお邪魔した。(StereoSound ONLINE 泉 哲也)
DLPプロジェクター:BenQ HT4550i 市場想定価格45万円前後(税込)
●投写方式:単板DLP方式
●スクリーン上の解像度:水平3,840×垂直2,160画素
●明るさ:3,200ANSIルーメン
●コントラスト比:800,000対1
●対応HDR信号:HDR/HLG/HDR10+
●色域:DCI-P3 100%(広色域モード有効時)
●接続端子:HDMI入力×2(1系統ARC対応)、USB 3.0(Type-A)×2
●投写サイズ:60〜200インチ(ズーム1.3倍)
●レンズシフト範囲:縦0〜-60%(横0%のときの最大値)、横±15%(縦20.9%のときの最大値)
●ワイヤレス対応:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax(2.4/5GHz)
●消費電力:405W(待機時0.5W未満)
●寸法/質量:W420.5×H135×D312mm/約6.6kg
※付属品:リモコン(2個)、ワイヤレスドングル(Android TV)、レンズカバー、他
潮 高瀬さんお久しぶりです。今回はプロジェクターで悩んでいるとのことだけど、前にプロジェクターを入れ替えてからまだ2〜3年じゃなかったっけ? 本当にせっかちだねぇ。
高瀬 まぁそうなんですけど、最近うちでプロジェクターの絵を見ていても、いまひとつ絵に力強さがないし、色も薄い気がして何か違うなぁという気がして仕方ないんです。で、ネットで色々調べていたらBenQのHT4550iがスペック的にも良さそうだし、果たしてどれくらいの画質差があるのか気になって相談したわけです。
潮 なるほどね、じゃあじっくり確認してみましょう。ところで高瀬さんはずっとDLPプロジェクターを使ってたんだっけ?
高瀬 最初に潮さんに取材に来てもらった時は液晶プロジェクターでした。そこからずっと液晶タイプを使っていたんだけど、4Kを導入する時にDLPプロジェクターに変えたんです。今使っているのはレーザー光源のDLPプロジェクターで、これもネットで調べて気になっていたんですが、日本未発売なので個人輸入しちゃいました。
潮 ホントに行動力がすごいというか、気になったら一直線ですねぇ。HT4550iもDLPプロジェクターですが、DLPのどんなところが気に入っているのかな?
高瀬 うちの場合、画面サイズと投写距離の問題が大きいですね。12年ほど前にスチュワート「HD130」の145インチ/16:9の張り込みスクリーンを壁に取り付けました。投写距離はプロジェクター本体を含めて4.5m前後なので、まずはこれをクリアーしてくれないと駄目です。
またこの部屋では、パーティを開くことも多いんです。お酒を飲みながら盛り上がって大画面を見るという使い方ですね。で、みんなプロジェクターをつけると最初は驚くんだけど、横のモニターと比べるとやっぱりこっちの方がクリアーだって話になる。
それが個人的には悔しくて、42インチモニターに負けない145インチ画面がなんとかならないかと思っていました。そこで輝度と色再現に優れるというDLPプロジェクターを試してみたんです。今のモデルもそれなりに頑張っているんだけど、もう一歩かな。
潮 僕もここで宴会に呼んでもらったことがあるけど、確かに灯りを残した状態では絵にもっとパワーが欲しくなりますね。
高瀬 ワールドカップの時は10人くらい集まって、みんなでビールを飲みながら盛り上がりました。
潮さんとは20年来の宴会仲間!? 好奇心と持ち前のDIY技術で
いい絵といい音を追究し続ける、高瀬さんのホームシアター
高瀬秀樹さんは、「月刊HiVi」2001年4月号の読者訪問企画「AVルーム・クリーニング大作戦」に登場していただいた、熱心なホームシアター愛好家だ。この取材で潮さんと意気投合し、以来22年に渡って仕事とプライベート(宴会)の両方で親しいお付き合いが続いているそうだ。
そんな高瀬さんのホームシアターは、約16畳の地下室に、145インチ張り込みスクリーンと7.1.4サラウンドシステムを構築するという本格仕様。特にプロジェクターは液晶プロジェクター8機種、DLPプロジェクター3機種を使いこなしてきたそうだ。この3年ほどは海外製4K DLPプロジェクターを愛用していたが、今回、よりクリアーで色鮮やかな大画面を楽しみたいという思いから入れ替えを検討しているという。
<高瀬邸の主なシアターシステム>
●DLPプロジェクター:BenQ HT4550i(取材後に導入)
●スクリーン:スチュワート HD130(145インチ/16:9、張り込み式)
●BD/HDDレコーダー:パナソニック DMR−4X1000、他
●AVプリアンプ:ヤマハ CX-A5200
●パワーアンプ:マークレビンソン No533H、マッキントッシュ MC7106、アキュフェーズ PX-600
●スピーカーシステム:エクスクルーシブ 2402(フロントL/R)、JBL 4428(センター)、他
――今回高瀬さんはHT4550iが気になっているということでしたが、特にどのあたりに注目したんですか?
高瀬 僕は放送局関係のITサポートの会社を経営していますが、仕事でBenQのPCモニターを使うことも多かったんです。モニターの発色がなかなかよかったので、BenQのプロジェクターではどんな色が再現されるのかが気になっていました。
でもここ2〜3年映画視聴用プロジェクターの新製品がなかったから、どうなっているのかなぁと思ってたら、やっとHT4550iが発表された。明るさも3,200ANSIルーメンだというし、これは見てみたいと思って相談したんです。
潮 HT4550iは3年ぶりのホームシアター用新製品だから、タイミングもよかったんだね。
高瀬 投写距離も145インチで約3.7mと比較的短いので、うちにぴったりだったんです。本体サイズもそれほど大きくないし、これなら自分で天吊りできそうです。
潮 僕も自宅でHT4550iをチェックしましたが、床置きで使っても、台形補正をちょっとかければほぼ正しい画角で映画が楽しめました。レンズシフト機能もスムーズだし、調整は簡単です。
高瀬 台形補正も便利だけど、マニア的にはデジタル補正はできるだけ使いたくありません。うちは天吊設置をすることになるので、レンズシフトでうまく収められるならそれに越したことはない。だからレンズシフト機能がついている点も重要でした。
潮 プロジェクターとしてはシンプルで、いい意味で無難な形といえるかな。個人的にはもうちょっと素材感に凝ってほしい気もするけど。
――さて、まずHT4550iでテスト信号やデモ映像をご覧いただきました。単板式DLPプロジェクターの場合、カラーブレイキングノイズが問題になることも多かったのですが、その点はいかがでしたか?
潮 HT4550iも単板式なのでカラーブレイキングノイズをゼロにすることはできないけど、光源が4LED(RGBB)になっている恩恵か、それほど気になりませんでした。
高瀬 明るい場面になるとカラーブレイキングがちょっと見えるかなぁという気はします。画面全体の輝度も上がっているから、それは仕方ないかもしれませんね。でもピクチャーモードで「シネマ」を選んだら、ほぼ気になりませんでした。ひとりの視聴や家内と一緒にじっくり作品に浸るといった使い方にはまったく問題ないでしょう。
潮 色も緑被りなどがなく、かなり自然な色調が再現できていますよ。
高瀬 色域もかなり広いし、赤の発色や青の抜けがすごくいい。
潮 以前はフェラーリレッドが正しく再現できていないと嘆いていたよね。
高瀬 そうでした。前のプロジェクターではどうしてもえんじ色っぽくなっていたんです。あと、女優さんのリップの朱もまったく違う。他にも細かい絵の作り込みもうまいと思います。
――続いてHT4550iに付属しているワイヤレスドングル(ストリーミングデバイス)を使って、Netflixで配信されている『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の4K/HDRをご覧いただきました。ピクチャーモードは「HDR」で、調整は加えていません。
高瀬 これも最近の流行りですよね。確かにこれだけ配信サービスが充実してくると、パッケージよりも配信で映画やテレビを見るのが普通になっていくでしょう。その意味では最初からデバイスが付属しているのはありがたいし、設定もメニュー画面で簡単にできました。
潮 操作性もスマートだし、高瀬さんのシアターはネットの回線スピードも速いから、無線接続でもまったくストレスもありませんでした。
――HT4550iはスピーカーを内蔵しているので本体だけで絵と音を楽しめます。さらにARC対応HDMI端子も搭載しているので、サウンドバーやアクティブスピーカーとつないでシステムを構築可能です。ただ高瀬邸はセパレートAVアンプを使った複雑なシステムなので、今回はARC機能は試していません。
高瀬 そこを変えるには接続がややこしくなってしまうので、勘弁してください。でも配信コンテンツの絵も充分綺麗でした。イベントやキャンプにHT4550iを持っていって、屋外映画館を楽しむのも面白そうですね。きっと、みんな驚くはずです。
潮 4K/HDRの絵が配信で届いて、それが屋外で楽しめるなんて、ひと昔前は絶対考えられない。
――続いて潮さんのお薦めUHDブルーレイから、『西部戦線異常なし』のドイツ盤と『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』の日本盤をご覧いただきました。ピクチャーモードは「HDR」のままです。
潮 『西部戦線〜』は2022年のNetflix作品で、日本では劇場公開されませんでした。このドイツ盤は絵も音も素晴らしく、特に冒頭は真っ暗な中での爆発シーンや、薄暗い塹壕の中での人物の表情といった具合にたくさんの微細な情報が含まれていて、ディスプレイやプロジェクターにはひじょうに厳しいコンテンツです。
一方の『ワイルド・スピード〜』の方はもう能天気なくらい明るい映像で、HDRの効果を最大に引き出した大画面が楽しめたのではないでしょうか。
高瀬 両極端なふたつの作品を観ながら、思わず声が出てしまいました。まず『西部戦線〜』の暗いシーンのディテイル再現が、これまでのプロジェクターとは別物です。明暗の描き分けもしっかりしているし、爆発の光も力強かった。また暗闇の中の人物の目の輝きも印象的でした。
視聴シーンの最後で、瓦礫に埋もれた兵士たちを救出している様子を俯瞰で捉えていますが、ここが圧巻! 引きの絵なのに人物や衣装などのディテイルもクリアーに見えていて、しかも色が驚くほど綺麗。こうなると、もう映画館に行かなくてもいいなぁと本気で思いました。
潮 確かにそう思っちゃいますね。真っ暗なだけのシーンなら黒を潰せばいいんだろうけど、その中に焼夷弾の閃光や、それで照らされた風景といった情報があるわけで、それらをどこまできちんと描き出してくれるかはプロジェクターの性能が厳しく問われると思います。
HT4550iはAPL(画面平均輝度)が低いシーンでも、頑張っていました。最暗部の描き分けはもう少し欲しい気もしましたが、ひと昔前のDLPプロジェクターとは雲泥の差です。あんなに階調が細かいシーンなのに、バンディングノイズもまったく気にならなかったのも素晴らしい。
高瀬 いや〜この映像なら充分ですよ。今日は120インチほどに投写していますが、まったく不満を感じませんでした。
――『ワイルド・スピード〜』は最近のデジタル制作らしい絵作りですが、こちらはどうでしたか?
高瀬 とにかく綺麗のひと言! でもこの大きさで見ると、CGが粗く感じられるシーンもありましたね。ガラスが割れて車内に飛び散るカットなどは、もうちょっとCGを何とかしてくれよと思ってしまう。
潮 高瀬さんはそういった仕事をしているから、見る目が厳しいんですよ(笑)。僕はCGについてはそこまで気にならなかったなぁ。
高瀬 映像は本当にクリアーで、ある意味ギラギラといってもいい。DLPの得意な表現なんでしょうが、車体のメタル感は感動モノです。
潮 確かに。ドミニクが運転しているシボレーのボディもそうだし、アルファロメオのパトカーの紺色も綺麗でした。
高瀬 青空の抜け感も素晴らしいですよ。ちゃんと被写界深度が取れていて、奥行きも感じられるから、引きの絵がすごく映える。これを見ちゃうと前のプロジェクターには戻れないなぁ。
潮 この作品は、DLPプロジェクターユーザー必見かもしれないね。
高瀬 『西部戦線〜』も単純に黒が浮いてくるような絵作りじゃなかったし、65インチや80インチの液晶テレビと比べても遜色ないんじゃないかなぁ。市場想定価格45万円の値付けでこれだけの絵が楽しめれば、個人的には満足です。
潮 昔の液晶プロジェクターや3管式プロジェクターのことを思えば、隔世の観がありますね。当時は数百万円の3管式プロジェクターだってこの絵は出せなかった(笑)。
高瀬 確かに、4K解像度でこれだけ明るい絵が楽しめるというだけで、感無量ですね。
潮 今日は全暗環境でしたが、これだけの輝度があればホームパーティ的な使い方でも充分活躍してくれるでしょう。色も綺麗だから、スポーツ観戦も映えるだろうし。
――次は高瀬さんの愛視聴盤から、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』と『グレイテスト・ショーマン』のUHDブルーレイを御覧いただきました。
高瀬 『グレイテスト・ショーマン』では、ステージ上の様々な色がどんな風に再現されるのかに注目しました。これまでのプロジェクターと印象がどう変わるのかという点が気になっていたのですが、違う作品を見ているみたいでしたね。
潮 確かに、黒側の色乗りもちゃんとしていたし、安定した再現性でしたね。
高瀬 屋外の歌唱シーンなど、照明を抑えたところでも影の部分までちゃんと見えているのがすごいですね。あと、口紅の赤がいい!
潮 このUHDブルーレイは元々クロマレベルが高めで、うっかりすると色が濁ったり、抜けが悪く感じてしまうんです。HT4550iはそんな印象もなかったし、原色もクリアーに描き出していると思います。
高瀬 『スター・トレック〜』は我が家のリファレンスですが、こちらも冒頭の惑星の赤い植物や溶岩のオレンジがひじょうに細かく見分けられたので驚きました。海と空の青もグラデーション豊かに描かれていたし、画面全体に奥行感があるところもUHDブルーレイらしいなぁと感心していたんです。
潮 それだけディテイル情報や色の階調が正しく再現できているということですね。
高瀬 ダイナミックレンジも広いし、高輝度部の階調、濃淡も描き分けられているから、まさにHDRの本領発揮ですよ。カークやスポックが着ている宇宙服、防護服の反射、煌めきもいい! エンタープライズ号の艦橋もディテイルがわかりやすくなって、こんなところにこんなものがあったんだと驚きました。HDRで細かい色がちゃんと乗ってくると、今までわからなかった新しい気づきがありました。
――予想外だったのは、ビコムのUHDブルーレイでした。9月に発売された『越後 世界一 正四尺玉 越後 片貝まつり 浅原神社秋季例大祭奉納大煙火』と、定番の『宮古島〜癒しのビーチ〜』を見ましたが……。
潮 綺麗なんだけど、なんとなく元気がない絵だなぁという印象でした。みんな同じ感想だったので映像モードを確認してみたら「HDR」じゃなかったんです。HT4550iはHDR信号は自動判別するので、再生機側の問題だと思うんだけど。
高瀬 今日はパナソニック「DMR-4X1000」とHT4550iを直結しているので、原因はDMR-4X1000かHDMIケーブルのどちらかにあると考えられます。
潮 映画UHDブルーレイは4K/24p/HDR収録だったのに対し、ビコム作品は4K/60p/HDR収録ということで、ビットレートに違いがあります。HDMI接続の場合、転送レートが足りないと自動的にフォーマットを調整することがあるので、今回もそれが原因じゃないかと思うんだけど……。
――高瀬さんがお持ちのHDMIケーブルを何本かつなぎ変えてもらいましたが、現象としては同じでした。
潮 とりあえず今日は「フィルムメーカー」モードでビコムのUHDブルーレイを確認しました。この状態では4K/60p/SDRで伝送されているようで、先程申し上げた通りピーク感こそ若干物足りなかったのですが、それでもかなりハイレベルな映像が楽しめました。
高瀬 コントラスト的にもうちょっと出てくれたらという気持ちにはなりますが、『宮古島〜』の空撮シーンで木々の緑や煉瓦色の屋根などの様々な色がこれだけ豊潤に再現できるといいですね。ここも今までのプロジェクターとは違うなぁと驚いたポイントです。特に海の透明感の表現、岩にぶつかる波のきらめき感などがすごい。
潮 『片貝まつり〜』も打ち上げ前の花火玉の素材感、夜空に広がる花火の細かい色の輝きが綺麗でした。SDRと言われないとわからないくらいに花火らしい映像なんだけど、せっかくならHDRでどんな風に再現されるのか、見てみたいですね。
――今回の現象については原因をしっかり究明したいと思います。そのうえで、高瀬邸でもう一度検証したいですね。
高瀬 今日の絵を見て、HT4550iを我が家に導入すると決めました(笑)。次回までにちゃんと設置しておきますので、そこでHDMIケーブルを含めて検証しましょうよ。
潮 おぉ、導入宣言! わかりました、次回は僕のお勧めHDMIケーブルも準備します。
高瀬 HT4550iを天吊りしたらどんな風になるかも潮さんに見てもらいたいし、ぜひお願いします。
※第二回に続く、かも。
その実力は侮りがたし。HT4550iは魅力的なプライスと、
予想を超える映像表現を可能にした驚異的なプロジェクターだった …… 潮 晴男
BenQ久々のホームシアター向け4K DLPプロジェクターである。単板式DLPということで当初はカラーブレイキングノイズを心配したが、その実力侮りがたしと言うのが、視聴しての正直な印象である。
光源にLEDを採用したことも高画質化に貢献していることがよくわかる絵作りだ。暗部の再現性では多少辛い部分はあるが、階調再現もよく粘っているしS/Nも高くバンディングノイズが少ないことにも感心させられた。ハイライトの伸びやかさと色味の豊かさに、このモデルの優れた部分がよく現れている。
4K表示はTI社によるXPR(Expanded Pixel Resolution=画素ずらし)方式を採用しているようで、145インチサイズとなると解像感はもう少し欲しいが、100インチ前後ならまず不満はないだろう。シーンによってはカラーブレイキングノイズが見えることもあったが、カラーホイールを回していた時代の製品に比べればほぼ気にならない。
デザインは標準的なスタイルに落ち着いているが、もう少し個性を発揮してもよかったかも。いずれにしてもHT4550iは、このお値段でここまでの映像表現を可能にしたという点において驚異的なプロジェクターである。
我が家で求めるプロジェクターの厳しい条件をクリアーする、貴重な存在。
HT4550iを導入して2週間、まったく不満なく楽しんでいます …… 高瀬秀樹
25年くらい前のサンヨー「LP-A3」導入を機に、本格的にホームシアターの世界にはまり、いつのまにか今回のHT4550iで12台目のプロジェクターになります。現在の我が家のホームシアターを導入する条件は、
1.145インチスクリーンの投写距離4m以内 …… 後ろの壁からスクリーンまで4.3m弱で、さらにプロジェクター設置用に壁を15cm程削っていますが、本体の長さもあるので、レンズからスクリーンまで4m以内
2.明るさ3300ANSIルーメン以上 …… ホームパーティや食事をしながら視聴することが多く、明るい環境でも液晶モニター程度の画質で見たい
3.4K解像度で、HDR10対応
4.価格は40万円以内
5.レンズシフト搭載
この(贅沢な)条件に合う機種が無くて探していました。3年前にようやく見つけた機種は国内販売されておらず、やむなく個人輸入することに。しかし、レンズシフトが無く、設置にかなり苦労しました。画質は充分明るく、画素ずらしながら4K表示も綺麗でしたが、色のり、赤や青の発色が悪くて、コントラストが今ひとつでした。それもあり、今回HT4550iのスペックを見て、ぜひ我が家で比較視聴してみたいと思った次第です。
結果、映像もホントに綺麗で驚きのひと言、色再現に関しても、今までの機種の色域がBT.709だったので違いは歴然。色のりも素晴らしく、ビコムの4K/60p/HDR作品を視聴中に、接続の関係でSDRに変換されていたことがわかるほどの再現力。今までのプロジェクターの概念が変わる1台になりました。
解像度が高くなったのと、カラーホイールを使っていないためか、カラーブレイキングノイズもほとんど気になりません。暗いシーンでコントラストが高い字幕部分で気を付けて見ていると、若干が目につく程度でした。
正直、予算面では若干オーバーしてしまうものの、全体として素晴らしく3LCDタイプの100万円クラスに充分対抗できるのでは、と思い購入を決めました。取材後すぐに注文して、既に設置も完了し2週間ほど使用していますが、今のところこれと言った不満もなく、大満足です。
日本&世界最大の花火を4K/8K映像で収録。
ビコム『越後 世界一 正四尺玉 越後 片貝まつり 浅原神社秋季例大祭奉納大煙火』
今回の取材で潮さんが持ってきてくれた、ビコムの最新UHDブルーレイ。映像の美しさに定評のある同社作品らしく、町中でのお祭りの風景もひじょうにクリーンに再現されている。さらに夜の打ち上げシーンは圧巻! 夜空を覆い尽くす花火とその音をホームシアターで体験すると、感動すること間違いなしです。
素材協力:ビコム
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