オーディオテクニカから、まさに超弩級の真空管ヘッドホンアンプ/プリアンプ「鳴神(NARUKAMI)」が発表された。ヘッドホンアンプ「HPA-KG NARU」とヘッドホン「AW-KG NARU」のセットで、受注生産モデルとなる。価格は¥13,200,000(税込)。

 注文は「鳴神」スペシャルサイト(関連リンク参照)で受け付けており、受注期間は2023年11月20日(月)午前10:00〜2024年1月19日 午後6:00まで。製品のデリバリーは2024年夏を予定している。

「鳴神(NARUKAMI)」のヘッドホンアンプ「HPA-KG NARU」。本体正面と側面にも黒柿が使われている

 本体には、古来から高級家具などに使われている黒柿を使用。黒柿は樹齢100年以上の柿の木のうち、微生物の影響で内部に黒い紋様が浮き出たもので、たいへん貴重な素材になるという。鳴神(NARUKAMI)では本体正面や側面にこの貴重な木材を使用、さらに付属ヘッドホンのエンクロージャーや収納箱も黒柿を採用するという贅沢ぶりだ。

 HPA-KG NARUのデザインは日本庭園をコンセプトとしており、枯山水と和室のイメージを取り入れている。さらに真空管カバーにも日本伝統の綾杉と呼ばれる模様を取り入れているのも特長になっている。

パワー段に使われている「TA-300B」は本機のために厳選されたもので、桐の箱に収められている

 回路面では真空管によるフルバランス回路を採用。バランス入力時は信号は直接バランス回路へ、ライン入力の場合は入力トランスの「LL1532」を介してバランス変換してバランス回路に送られている。

 プリ段にはJJ-electronic製の「ECC83S Gold」を4機搭載。こちらは通常仕様(Red)よりも組み立て精度が高い厳選品で、さらにエージングを行うことでヒーターの動作なども細かくチェックし、ハーモニクスの量が同じものを組み合わせているという。

 さらにパワー段には高槻電機工業社製「TA-300B」を、こちらも4搭載している。ヘッドホンアンプなので電流量は通常のアンプより少ないということもあり、その電流量で最適なペアリングになるように厳選しているそうだ。なおHPA-KG NARUには予備のTA-300Bが4本付属しているが、これらもすべて測定を行い、最適な組み合わせになるよう配慮されている。

ルンダール社製の出力トランス「LL2765AgAM」

 もうひとつ重要なパーツが、ルンダール社製の出力トランス「LL2765AgAM」だろう。特別仕様のアモルファスコアに銀線を巻き付けて作られており、常温でも導体抵抗が低いのがポイントとなる。ヘッドホンアンプ用として特注しているそうで、HPA-KG NARUで使われている中でも格段に高価な部品となっているそうだ。開発者自身も、“トランスが決まってから音が激変しました” と話していた。

 組み合わせるヘッドホンのAW-KG NARUは、53mmダイナミック型ドライバーを搭載する。黒柿のハウジングに加え、HPA-KG NARU用に特別なチューニングが施されている。なお同社では単品販売モデルとなる「ATH-AWKG」も年内に発売予定だが、こちらは他のヘッドホンアンプとの組み合わせも想定し、AW-KG NARUとは異なるチューニングが施されるとのことだ。

ヘッドホンの「AW-KG NARU」は黒柿をあしらった箱に入っている

「鳴神(NARUKAMI)」は写真の輸送ケースに入って届けられる。このケースも付属品だ