ヒビノインターサウンドから、ドイツ・MUTEC(ミューテック)の10MHzリファレンス・マスタークロックジェネレーター「REF10 NANO」が、11月24日に発売される。価格はオープン。

 今回発表のREF10NANOは、好評の「REF10」のテクノロジーをベースに、筐体をコンパクトにしたモデル。REF10同様、ドイツ国内で生産された超低位相ノイズOCXOを採用し、ノイズを徹底的に排除する設計をすることで、デジタル・オーディオシステムの透明感、空間性、ダイナミクスを広げ、サウンドパフォーマンスを大幅に向上させる、としている。

 出力端子は4系統あり、50Ω、75Ωに対応。それぞれ個別にON/OFFができ、50Ωと75Ωの同時出力も可能となっている。

製品の特長
■ドイツ国内で生産された超低位相ノイズOCXOを採用
クロックの性能を左右するオシレーターの選定にあたり、MUTECのR&Dのエンジニアたちは、電源を入れたまま10年といった長期にわたる運用に有用なルビジウムやセシウムを用いた「電子クロック」は、数秒の時間間隔で変動するデジタルオーディオにとって有用性はないと判断して、OCXOを選択。OCXOは、専用の筐体の中にオシレーターを収めた機構になっており、周囲温度変化に対する周波数安定度を高めて、デジタル信号処理の確度を向上させるようになっている。

■低ノイズ電源を各所に配置
電源はデジタル信号処理全体の品質に重要な役割を果たす重要なコンポーネントであることから、特に OCXOには徹底したノイズ対策を実施し、超低ノイズ電源電圧を、他の回路から完全に絶縁しているほか、各回路は、相互干渉を起こさないよう低域に最適化された超低ノイズ電源を個別に採用している。クロックの分配回路と増幅回路も極めて低ノイズに抑えられているため、OCXOの基準クロック信号は実質的に損失なく4系統の出力に到達し、デジタルオーディオの低域から高域までの広範囲において、優れたパフォーマンスを発揮する、としている。また、外部電源にも対応し、内部電源をバイパス可。

クロック信号の立ち上がり時間がオーディオ性能にとって重要であるという認識に基づき、REF10 NANOにはスルーレートがひじょうに高く、リップルの最も少ない矩形波信号を選定している。それが、エッジの急峻さが優れたロック精度につながり、受信側のジッターを最小限に抑えることに効果を発揮している。

■徹底したノイズ除去
クロック信号からジッターと位相ノイズを可能な限り除去するため、電源以外にも対策を実施。高周波干渉から電子回路を保護するため、本機にはスチール製の筐体を採用。一般的に使用されているアルミケースに比べて、外部干渉に対する絶縁性に優れた性能を発揮するようになっている。また、グランドループによるハムノイズを避けるため、出力段全てに、ガルバニック絶縁を施している。加えて、4系統のクロック出力はそれぞれ個別に ON/OFFでき、必要な出力だけがアクティブになる設計としている。これにより、高周波領域での相互干渉を可能な限り抑えられるようになっている。

■高い汎用性
出力は50Ωと75Ωに対応し、他メーカーの様々な機器との接続を可能に。また、MUTECの「MC3+」や「MC3+ USB」のユーザーにおいても、好適なアップグレード製品として推奨している。

REF10 NANOの主な仕様
インターフェース:BNC×2、50Ω終端、アンバランス/BNC×2、75Ω終端、アンバランス
クロック生成
 ・形式:10MHz低位相ノイズ恒温槽付水晶発振器(OCXO)
 ・周波数精度(出荷時):< +/-0.01 ppm
 ・温度範囲に対する周波数安定性:-20°C ~ +70°C で± 0.03 ppm 未満
 ・短時間安定性(アラン分散):1 × 10-12(標準値、Tau = 1s)
 ・10 日間稼働後のエージング:± 0.0002 ppm 未満(1 日当たり)、± 0.03 ppm 未満(1 年目)、± 0.2 ppm 未満(10 年目)
 ・ウォームアップ時間(+25°C 時):5 分未満
電源:内部セルフ・スイッチング電源
入力電圧:85~305 V、50/60 Hz
消費電力:7W(オシレーター・ウォームアップ時)、4W(通常動作時)DC電源
DC電源入力電圧:15V±0.5V
筐体素材:1.5mm スチール
筐体色:ブラック(粉体塗装)
前面パネル素材:アルミ
前面パネル仕上げ:陽極酸化処理(陽極酸化またはシルクスクリーン印刷を含む)
前面パネル色:シルバーまたはブラック
寸法:W196×H44×D300mm(コネクターおよびフットを除く)
質量:2.07kg