米国カリフォルニア州に本拠を置く「NOMVDIC」(ノメディック)社から、じつに興味深い超短焦点DLPプロジェクター「P2000UST-RGB」が登場した。

 ノメディック社は、ロサンゼルス近郊に2021年に設立されたプロジェクター専業メーカー。総勢15人、エンジニアリング担当が 5人という比較的小規模な若い会社だが、すでに本機を含めて5モデルのDLPプロジェクターをラインナップしているという。

「P2000UST-RGB」を視聴した山本さんのインプレッションはこちら ↓ ↓

【クーポンあり】 これはなんだ!? プロジェクターの新種誕生。NOMVDIC P2000UST-RGB トリプルレーザーTVプロジェクター

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 本機P2000UST-RGBはR(Red)/G(Green)/B(Blue)3原色のレーザー光源を個別に用意した、同社DLPプロジェクターのトップエンドモデル。表示素子のDMD(Digital Micromirror Device)はフルHD(水平1,920×垂直1,080画素)タイプだが、スクリーン上では4K解像度(同3,840×2,160画素)まで表示することができる。

 HDR(ハイダイナミックレンジ)については、UHD ブルーレイやサブスクのVOD(VideoOn Demand)で採用されるHDR10、わが国の4K放送用のHLG(Hybrid Log Gamma)に対応する。

 「本機はRGB 3原色のレーザー光源を個別に用意した〜」と先述したが、これはレーザー蛍光体に高速点滅が可能なRGBのダイレクトレーザーを組み合わせることで、輝度を高めるとともに色再現範囲を大幅に向上させる技術という。

超短焦点DLPプロジェクター:
NOMVDIC P2000UST-RGB ¥398,000(税込)
※9月30日まで¥349,000(税込、TVスティックバンドルモデル)で発売中!

「P2000UST-RGB」の注目ポイントはこちら!
●2,500 ANSIルーメンの高輝度
●4K解像度を再現(水平3,840×垂直2,160画素)
●HDR10、HLGに対応
●RGBトリプルレーザーによる豊かな色彩表現と公色域(BT.2020で100%)
●17cmの投写距離で100インチ大画面を投写
●Harman/Kardonスピーカー搭載(25W×2)、Dolby&DTS対応
●手間いらずの設置性、接続性
●レーザー光源の長寿命(20,000時間)

SPECIFICATIONS
●使用デバイス:0.47インチDMD●コントラスト比:3,000,000対1●光源:RGBレーザー(ALPD 4.0)●画面サイズ/投写距離:65〜150インチ/8.2〜52cm●接続端子:HDMI入力3系統(1系統eARC対応)、USB Type-A 2系統●消費電力:301W(待機時0.5W)●寸法/質量:W604×H153×D426mm/10.6kg

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 スペック表を見ると、最大輝度は2,500ANSIルーメン、色再現範囲はデジタルシネマの色域DCI-P3をはるかに超え、4K/8K規格のBT.2020を100%をカバーするという。

 以前の1チップDMD方式のDLPプロジェクターは、ランプ光源の前にRGBに区分けされたカラーホイールを高速回転させてフルカラーを得ていたが、この方式ではRGB切替え時に色割れ(カラーブレイキング)ノイズが発生して問題視されることが多かった。RGBダイレクトレーザー方式は、その問題を解決する光源技術という意味でも興味深い。

 P2000UST-RGBは幅約60cmの比較的大きな製品だが、ブラックとブラウンで仕上げられたコスメティック・デザインはとても美しい。同社によると、赤色の外観でコンサートホールのカーテンをイメージし、ゴールドの縁で高級感を表現したとのこと。緩やかな曲線を活かしたその外観は、美しいインテリアのリビングルームにぴったりマッチすることだろう。日本、アジア製プロジェクターではちょっとお目にかかれない斬新な洗練されたデザインであることは間違いない。

 超短焦点レンズを用いたP2000UST-RGBは、白壁面やスクリーン下に置き、わずか17cmの距離で100インチ/4K大画面が実現できる。同社は本機をテレビ感覚で使ってほしいと考えているようで、「レーザーTVプロジェクター」という呼び方を定着させたいとのことだ。

ALPD(Advanced Phosphor Laser Displa)4.0 RGB+は、Appotronics社が開発したプロジェクター用レーザー光源技術で、レーザー蛍光体に加えてRGBのダイレクトレーザーを組み合わせることで、輝度を高め、スペックル(レーザー光を投写した時にスクリーン側で発生する発生するちらつき)をほぼ排除している

 今回は試さなかったが、本機は3Dブルーレイ対応も果たしている(3Dメガネは別売)。直視型大画面テレビに対応モデルが消滅してしまった現在、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のような優れた3D映画ソフトをホームシアターで楽しみたいという方にとって、本機はかけがえのない存在になるに違いない。

 それから、本機の正面には本格的なステレオスピーカーが配置されている。このオーディオシステムはハーマンカードン(米国)社の技術支援を受けて完成させたものだという。また、本機にはHDMI eARC端子が用意されているので、それに対応したアンプやアクティブスピーカーと組み合わせることによって、音質強化を図ることもできる。

 P2000UST-RGBのテストはStereoSound ONLINE視聴室で行なった。この部屋には平面性の高い白壁スペースがないので、スチュワートHD130(ゲイン1.3)を用いて、その真下に本機を置いて約100インチ・サイズで画質をチェックした。

今回の取材はStereoSound ONLINE視聴室の常設スクリーン、スチュワート「HD130」を使って行った。床置の超短焦点プロジェクターの場合、投写面の平面性がきわめて重要なので、導入の際にはどこに投影するかをよく考えていただきたい

 やや明かりを残した照度環境(約50ルクス)で『サッカー・ワールドカップ2022』の4Kエアチェック映像(HLG)を観てみた。P2000UST-RGBの「カラーモード」を「テレビHDR」(色温度9,300K)に設定しての視聴である。

 何より驚かされるのは、スクリーン上に写し出される映像の明るさと抜群のコントラスト感だ。まさに100インチの巨大テレビを観ている気分。ピッチ内を走り回る選手たちの真紅やブルーのユニフォームの色合いの豊かさもすばらしく、躍動する筋肉を生々しく描写する。100インチで表示してもノイズは極小で、動きもきわめてスムーズだ。

 しかもこのような平均輝度レベル(APL)の高いコンテンツであれば、光を残した環境でもしっかりとしたハイコントラスト映像が楽しめることが確認できた。なるほどこれならテレビ感覚でプロジェクター大画面が楽しめると実感した次第。もっとも外光が入ってくる昼間のリビングルームで本機の投写映像を観るのはさすがに難しい。カーテンを引いて楽しむべきだろう。

 部屋を全暗環境にして映画UHDブルーレイ、スピルバーグ監督の『ウエストサイド・ストーリー』を「映画HDR」(色温度6,500K)で観てみよう(再生機はパナソニックDMR-ZR1)。

本体天面に投写用レンズを装備する。センサーが装備されており、人が覗き込もうとすると映像がミュートされる仕組みだ

 1950年代、再開発が進むニューヨークのダウンタウンで抗争を繰り広げるプエルトリコ系とポーランド系移民の若者たちを活写するオープニング。充分なコントラスト感を維持しながら登場人物たちの表情を克明に描いていく。暗部から中間部の階調表現もすこぶる緻密だ。

 ちょっと違和感を覚えたのが、少し緑がかるスキントーン。そういう場合は色温度設定を『ユーザー』にすると、RGBのゲイン/バイアス調整が可能になるので、ここではG(Green)のゲインを落とし、R(Red)のバイアスを少し持ち上げることで最適化を図った。こういう調整がイメージ通りにできるのも本機の魅力と言っていいだろう。

 また、もうひとつ興味深い調整項目が「EOTF」。その意味するところは不明だが、「低/中/高」の3段階が用意されていて、この項目をデフォルトの「低」から「中」〜「高」に切り替えていくと、暗部階調が精妙に描かれるようになり、全体輝度も上がり、より明快な画調になる。

 UHDブルーレイ、リドリー・スコット監督作の『最後の決闘裁判』で、「低」→「中」→「高」と切り替えて観てみたが、面白いように画調が変わる。「高」の画質がもっともインパクトがあるが、じっくり観ていくと細部が見えすぎる印象で、陰影表現がもっともしっくりくるのはデフォルトの「低」だった。まあいずれにしろ、様々なコンテンツを観て、少し自分の感覚とフィットしないと思ったら、「EOTF」調整を行なうとよいと思う。このプロジェクターの最大の使いこなしポイントはここにある。

本体の設定(台形補正など)や入力切り替え、内蔵スピーカーのボリュウム調整は付属リモコンで行う

 また、この作品は日本語字幕を表示させて観たが、その字幕の表示時にも、旧来のカラーホイール方式のDLPプロジェクターで目障りだったカラーブレイキングノイズがほとんど検知されなかったことも特筆しておきたい。

 さて、最後に音について触れておこう。本機内蔵スピーカーの音は、ハーマンカードン謹製ということで、なるほどエネルギーバランスの整った聴きやすい音調だ。映画のセリフもしっかりと肉が付き、リアリティがある。しかし、音が下から聞こえてくる違和感をぬぐい去ることはできず、100インチ大画面に写し出される人物の口から声が発せられているというイメージを得るのは難しい。

 そこで、HDMI ARC端子を搭載したエラックのアクティブスピーカー「DCB41」をスクリーン両サイドに置いて、本機とHDMI接続してみたところ、本格的なステレオサウンドが楽しめるようになり、映画を観てもファントム定位によって人物の口から声が聞こえてくる確かなイメージが得られるようになった。こんなふうにテレビ同様の音質強化が図れるのも、本機ならではの魅力だろう。

設置の補正から映像調整まで、メニュー画面で簡単操作

P2000UST-RGBの基本設定メニュー。プロジェクターの設置方法や投写時の台形補正、ワープ(レジ調整)等もここから行う。台形補正とワープは排他式なので、最初は台形補正で追い込んで、どうしても調整できない場合はワープを使うといいだろう

HDMI ARC機器を繋いで使う場合は、詳細設定→オーディオ設定→音声出力からHDMI eARCを選んでおくこと。映画や音楽コンテンツなどを楽しむ場合に使いこなしたい機能だ

 わずかな光を残した環境でスポーツ中継を観たり、完全暗室で映画を楽しんだり。まさに大画面テレビ感覚で楽しめる超短焦点レーザーTVプロジェクター。このクォリティなら画質にうるさいAVファンのニーズにもしっかりと応えてくれるはず。

 100インチ・クラスの直視型テレビも市場に存在するが、価格がぐんと跳ね上がるし、画面を映し出していないときの「巨大な黒い板」の違和感も半端ない。そう考えると、40万円以下で買えて、映像を観ないときにはインテリアを損ねない本機の魅力はとても大きいことがわかる。

 真のQOL(Quality of Life)を希求するすべての人にご注目いただきたい、超短焦点レーザーTVプロジェクターの登場だ。

レーザーTVプロジェクターという新提案に、山本さんも大画面の新しい可能性を感じてくれた様子でした

HDMI ARC対応のエラック「DCB41」を組み合わせて、大画面の楽しさをワンランクアップ!

 今回P2000UST-RGBに、エラックのHDMI ARC対応アクティブスピーカー「DCB41」(¥94,600、税込)を組み合わせている。DCB41は19mmソフトドームトゥイーターと115mmコーン型ウーファーを搭載した2ウェイスピーカーで、50W×2のCLASS Dアンプを内蔵している。

 両者をHDMIケーブルでつなぐと、P2000UST-RGBに入力された配信コンテンツやUHDブルーレイの音声をARC経由で再生してくれる。今回もワールドカップサッカーや映画コンテンツを迫力充分に楽しませてくれた。

 DCB41は他にもUSB端子から最大96kHz/24ビットのハイレゾ信号が再生でき、さらにスマホ等からのBluetooth(Apt X)やアナログ音声入力(3.5mm)にも対応している。リビングのサウンドをワンランクアップしてくれる最高のパートナーだ。

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