アスミック・エース配給作『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』の「“本音”で語るトーク付き試写会」が8月24日、六本木のアスミック・エース試写会で行われ、主演・久間田琳加、酒井麻衣監督、原作・汐見夏衛が登壇。イベントタイトスに即して作品に絡めた“本音”トークを展開した。

 本作は、汐見夏衛の小説「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)を原作にしたラブストーリー。主演には、グローバルボーイズグループ・JO1メンバーの白岩瑠姫と、女優・モデルとして広く活躍している久間田琳加の二人を迎え(W主演)、初長編作『いいにおいのする映画』以降、話題作を続々と手がけている酒井麻衣がメガホンを執った注目作だ。

 元高校教師という経歴の持ち主である汐見は「教師をしていたときに、最近の若い子たちは穏やかで優しい子が多く、悩みや悲しみ怒りなどを全部飲みこんでいるのではないかと思った。その全部は無理でも自分の気持ちを吐き出して楽になれるような作品を書きたいと思った」と原作執筆の経緯を述懐。監督の酒井はその意図に共感し「本音が言えないという気持ちは、私は大人になるほどあると思った。自分に茜を重ねながら原作小説を読んでいました」と明かした。

 学校ではマスクが手放せず本心を隠して生きる丹羽茜を演じた久間田は役作りについて「マスク姿で学校生活を送るというのはどんな感じなのかと、そのリアルを知りたくて実際に女子高生に話を聞いたりしました」と熱の入った準備を紹介。マスクを着けながらの演技となったが「顔の半分しか見えていないので不安だったけれど、茜のことを心から思っていれば目だけでも感情は伝わると思った。最終的には気持ちのままに動くようにしていた」と演じる上ではハートを大切にしたという。

 この久間田の熱演に対して汐見は「本音を言えない茜が可哀想で不憫で……。自分で書いておきながら『誰か助けてあげて!』と思うくらい感情移入した。久間田さんに演じていただけて良かった。何度『可愛い!』と言ったことか」と大絶賛で、酒井監督も「久間田さんの表現力を信じていました」と、全幅の信頼を置いていたことを明かしていた。

 また久間田は、先日行なわれた最速上映会のアンケートで本作を「人に勧める」が97%を占めたことに触れ「私も茜を演じていくうちに学生時代の自分の気持ちを思い出しました。本音が言えないというのは分かるし、その本音をもっと言えるようになったら楽になるということをメッセージとして伝えたいと思っていたので、人に勧めたいという方が多くて嬉しい」と満面の笑みで語っていた。

 続いて“ときめいたシーン”の話題になると、久間田は「青磁(白岩瑠姫)と茜が遊園地に行って、青磁から夕焼けは茜色だと教わるシーン。色の名前とはいえ、そこに自分の名前が入っているとこんなにもドキッとするんだと思った」とときめいた場面をピックアップ。酒井監督も「撮影も後半になってお二人とも役を掴まれていたので、こちらからリクエストすることなくあのようなシーンになりました。本物の夕日を狙っていたので撮影自体は時間との勝負。ワントライで一発OKでした」と舞台裏を紹介すると、久間田も「お互いに『緊張するね!』と言い合ったりしながら、集中力もグッと上がりました」と現場の雰囲気を思い出しながら話していた。

 また、本作の内容にちなみ、「誰かとの出会いをきっかけに成長した」エピソードをそれぞれ披露。久間田は「いきなり芸能界に入って自分の発信の仕方がわからなかった。そんな時に雑誌の編集長から『芯を持って自分が好きなことを伝えれば、見ている人には伝わる』と言われたときに考え方が変わった。好きなことを極めればいいという自信にも繋がりました」と格言を発表。

 酒井監督は「高校時代に通っていた画塾の先生から『自分の色は周りの人が感じてくれるもの。真摯に向き合えば勝手に自分の色は出てくる。自分の色を出そうとしない方がいい』という言葉は今も響いています」といい、汐見は「小学校時代からの幼馴染が作家デビューしたことに背中を押されて自分も小説を書こうと思った。そこからずっと止まることなく書いています。20年くらいの前の出会いが自分の人生を変えた」と話した。

 最後に汐見は「茜と一緒に成長して最後は解放感を味わえる映画です。一歩踏み出そうというきっかけにしてもらえたら嬉しい」と期待。久間田は「撮影期間は茜と一緒に身を削りながら一緒に葛藤して悩んで、自分にない感情に出会うことが出来ました。一人でも多くの人の背中を押す作品になったら嬉しいです」とアピール。酒井監督は「映画を観てもらって自分の世界は綺麗だと思ってもらえるきっかけになったら嬉しい」と呼び掛けていた。

映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

9月1日(金)全国ロードショー

<キャスト>
白岩瑠姫(JO1) 久間田琳加  箭内夢菜 吉田ウーロン太 今井隆文 / 上杉柊平 鶴田真由

<スタッフ>
監督:酒井麻衣 原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊) 脚本:イ・ナウォン 酒井麻衣 音楽:横山克 濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment) 製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース 配給:アスミック・エース
(C)2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会