ドルビージャパンは先日、UGC(User Generated Contents)分野におけるDolby Visionの活用に関する説明会を開催した。

 Dolby Visionは、同社が開発したHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)映像規格で、SDR(スタンダード・ダイナミックレンジ)に比べて広い輝度や色の表現が可能で、コントラストや色彩再現がより自然に感じられる(肉眼で見た印象に近い)という特長を持っている。また明るい部分の色階調なども、SDRでは白飛びして情報が失われてしまうが、HDRであればきちんと識別できるのも特長だ。

 Dolby Visionは映画館のドルビーシネマで使われている他、近年の多くの薄型テレビが対応を果たしており、コンテンツもアマゾンのPrime VideoやNetflixといった動画配信サービスで採用されるなど、オーディオビジュアルファンにとっては身近な技術になっている。

 それに加えて最近は、UGC分野でもDolby Visionの普及が進んでいるという。UGCとは、SNSなどで多く見かける一般ユーザーが撮影したコンテンツの総称だが、スマホでHDR映像が撮影できる機種が登場したことを受け、それを投稿・共有する動きも増えてきているそうだ。

 Dolby Vision対応の端末としては、日本国内ではiPhone12以降で、他に海外ではオッポFind X6、vivo X90Pro+、シャオミ 12S Ultraといったモデルが発売されている。

 さらに動画共有プラットフォームとしてはBilibiliやVimeo、Weibo、Naver Live Shopping、mojといったサービスがアジア圏を中心にDolby Visionに対応を果たしているそうだ。

 実際にオンラインショッピングサービスのNaver Live Shopping(韓国)では専用スタジオを準備してDolby Visionで商品を撮影している。通販サイトで色再現が重要になるので、その点でDolby Visionは有用なのだという。他にもインドのmojは15秒〜1分の短編動画の共有サービスで、ここでもDolby Visionで制作したコンテンツが多くアップされているようだ。

 これらのサービスはアプリをインストールすれば日本でも視聴できるとのこと。Dolby Visionの再生に対応しているのはiPhone8以降(SEは除く)や2017年以降のiPadPro/Air/Mini、Mac、Apple TV 4K(iPhone/iPadからのAirPlay 2を含む)といったモデルになる。

 そして日本国内でも、Dolby Visionを使った有料配信サービスがスタートしている。吉祥寺のライブハウス「NEPO」で7月23日に行われたイベント「Edge:Detection 2023 with Dolby Vision」を4台のiPhoneで収録、8月23日から公式ホームページで配信されている。

 今回の説明会にはこのイベントに出演しているアーティストのHello1103のHitomiさんも登壇し、自身のパフォーマンスをDolby Visionで撮影した感想を語ってくれた。(本記事トップ写真がHello1103のおふたり。左がHitomiさんで右がyukakoさん)

 Hitomiさんによると、ライブハウスは薄暗く、特にNEPOにはそこにLEDパネルが配置されているので、光のダイナミックレンジが広いそうだ。そのため通常の一眼レフカメラではピークが飛んで、何をやっているのかわからなかったという。

 しかしDolby Visionで撮影したら、LEDの情報はもちろん、そこにプロジェクターで投写した色彩までちゃんと描き分けられていたので、驚いたそうだ。“表現したいものが作れるので、ストレスがない。待たれていたフォーマットです”と話していた。

 ライブ会場ではドルビージャパン担当者によるiPhoneでのDolby Vision撮影についての説明会も行われたそうだが、ライブを見に来たお客さんも興味津々でその話を聞いていたという。中には自分のiPhoneの設定をその場で変更してDolby Visionの撮影を楽しんでいる方も居たとのことだ。

 ちなみにDolby Visionではメターデータを使って各シーンに応じた輝度再現を行っているが、対応iPhoneで撮影したデータにはちゃんとメターデータも含まれているそうだ。さらにFinal Cut ProやiMovie、Clipsといったアプリを使えばメターデータを保存したまま編集可能とのことだ。

 最近はスマホでの動画撮影が主流になっていることもあり、スマホで録画した際の画質を気にするユーザーも多いという。iPhoneユーザーであれば、設定を変えるだけでDolby VisionのHDRで動画を残せるわけで、ぜひ試してみたいという方も多いのではないだろうか。Dolby Visionは映画館やパッケージの枠を超えて、広く普及していくことになりそうだ。