エミライから、静電(EST)型、バランスド・アーマチュア(BA)型、ダイナミック型の3種類のドライバーを搭載したユニバーサルIEM「FX15」が発表された。市場予想価格¥119,900前後で、8月11日の発売を予定している。

 高域・超高域用には、FiiO初採用となるSonion製ESTドライバーを合計4基採用した。ESTドライバーは、静電気の力を使って超薄膜・超軽量の薄膜を振動させる動作原理を用いたトランスデューサーで、きわめて高い過渡特性が特徴という。

 従来の静電型ドライバーは、高い電圧を確保するための専用アンプが必要で、また軽量・小型化が困難なためイヤホンのシェルに収納することが難しかった。Sonion製ESTドライバーは、専用の昇圧用トランスを搭載することで小型化に成功し、イヤホン・ヘッドホン用のアンプ回路でも駆動可能になっている。

 なおFX15では、ディップスイッチでESTドライバーのON/OFFも可能。これにより超高域の特性を簡単に変更でき、ESTドライバーの効能を瞬時に体験できるはずだ。

 中域・高域用には、Knowles製ED-29689 BAドライバーを採用。シェル設計を含む独自の手法により、ドライバーの感度を低く設定することで、ESTドライバーとの感度差によるミスマッチングを防ぎ、理想的な中高域の周波数バランスを実現する。

 中域・低域用には、10mm径DLC(ダイヤモンドライクカーボン)ダイナミックドライバーを使用。振動板はDLCとPU(ポリウレタン)の複合素材で、エッジ部分はPU素材の柔軟性と高いダンピング係数により大振幅への追従性を向上、ドーム部分はDLCの特徴である優れた剛性と高い内部損失により歪みを低減し、実態感を伴ったリッチな中域と、深くてキレのいい低域が再生できている。

 また低音域のクォリティを下げずにクリアーな中高音域を実現するため、特許技術「S.Turboテクノロジー」も搭載している。ダイナミックドライバーが発生させる高音成分を自然にフィルタリングすることで、複数のドライバー間で発生する音の干渉を抑制し、自然で豊かな低域と理想的な周波数特性を両立している。

 イヤホンは、3種類のドライバーを配置する理想的な筐体形状を生み出すため、3Dプリント関連企業のHeyGearsと協力し、0.0375mmまでの3Dプリント精度を持つ高度なDLP-3D印刷方式で作られている。度重なる測定と装着テストを経て、快適な装着感と筐体の耐久性を備えた理想的なバランスを実現しているそうだ。

 FX15には、MMCXコネクターを採用した高品位ケーブルが付属している。高純度の単結晶純銀素材による28本の芯線を8本編組した合計224本構造のケーブルで、優れた信号伝送品質と高い柔軟性を備えているのも特長だ。プレーヤー側プラグの交換も可能で、標準的な3.5mmプラグと4.4mmバランス接続の両方も楽しめる。

「FX15」の主なスペック

●ドライバー:Sonion製静電型ドライバー×4、Knowles製バランスド・アーマチュアドライバー、10mm径ダイナミックドライバー
●再生周波数帯域:20Hz〜40kHz
●インピーダンス:24Ω(@1kHz)
●感度:103dB/mW(@1kHz)
●ケーブル素材:高純度単結晶純銀芯線
●ケーブル長:約120cm
●重量:約6g(片側、ケーブルを除く)