前半の“ふたり”が一緒にいることの喜びを謳歌するだけに、後半の悲しさ、切なさ、重さが、どうしようもないほど深い。
第75回カンヌ国際映画祭のグランプリ受賞作にして、第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートでも話題を集める『CLOSE/クロース』が7月14日から全国公開される。監督のルーカス・ドンは、これが長編二作目。前作『Girl/ガール』が第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)に輝く気鋭だが、今回はそれ以上の評価を集めるのでは、との声も高い。
中心人物は、レオとレミという、13歳の少年ふたり。とにかく何から何まで気が合って、24時間一緒に過ごしてもまだ足りないぐらいの大親友だ。が、あるとき、あまりの仲の良さをクラスメイトに茶化されてしまう。思春期といえば「性」についても一気に関心が高まり、揺れ動くと同時に、まるで呼吸するかのように無神経なことを言えてしまう年代なのかもしれない。レオはしだいとレミと距離を置くようになるが、この「親友でもないただのクラスメイトからの、からかい」をレオが真に受けた(つまりレミと一緒の時を過ごすことよりも、“距離を置くこと”を優先した)ことが、レオとレミの不幸の始まりだった。
人間、生きれば生きるほど、心の痛みは増えるばかり。足を運ぶ観客が“損失”を経験していればいるほど、レオの姿にかつての自分を投影することだろう。レオとレミに扮するのは、本作が映画デビューとなるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエル。
映画『CLOSE/クロース』
7月14日(金)より全国公開
監督:ルーカス・ドン
脚本:ルーカス・ドン、アンジェロ・タイセンス
キャスト:エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ
2022年|ベルギー・オランダ・フランス|104分|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|原題:Close|字幕翻訳:横井和子|G
配給:クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
提供:クロックワークス 東北新社
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