アマゾンジャパンは昨日、同社のスマートホームへの取り組みと、それを実現するための新しいアイテムに関する説明会を開催した。

 アマゾンでは、音声操作機能の「Alexa(アレクサ)」を活用したスマートホームを提唱しており、そのために様々な取り組みを続けている。既にEchoデバイス経由で家電を操作できるIRコントローラーやオン/オフができるスマートプラグも発売されており、それらを使ってスマートホームを実現している方もいらっしゃるだろう。

 しかしそれらの設定は簡単とは言えず、スマートホームを実現するには機器についてある程度の知識が求められる。そこでアマゾンでは、新しいスマートホームの接続規格であるMatterに対応、設定や操作性でよりユーザーに優しいスマートホームを提供しようと考えている。そのMatterは2022年10月に「Connectivity Standards Alliance」が策定したもので、アマゾンの他にもApple、Googleなども参加している点も特長だ。

 説明会に登壇したAmazon Alexa インターナショナル、ジャパン カントリーマネジャーのティニス・スキパース氏は、「アレクサは、『スター・トレック』のコンピューターから着想を得ました。話しかけると何でも応えてくれるコンピューターがあればと考えたのです」と、アレクサの意外な成り立ちを語ってくれた。

 現在は17の言語に対応しており、日本でも順調にユーザー数を伸ばしているという。世界中で750億のデバイスがあると推測されるとかで、アジア圏での成長も著しいそうだ。そのうちの約3分の1がスマートホーム機能を使っているとかで、今後はこの比率をもっと伸ばしていきたいということだろう。

 ではMatterに対応することで、スマートホームにどんなメリットがあるのか。現在はアレクサを使って家電等を操作するには、スマートハブをつないでそのメーカーのアプリから設定を行う。次にそれをアレクサアプリと連携させることで、初めてアレクサによる音声操作ができることになる。これが先述した “ある程度の知識が求められる” ということだ。

 これに対し、Echoデバイスや各社のスマートデバイスがMatterに対応していれば、両者を同じネットワーク環境に置くだけで自動的に相互を認識、さらに新しく追加されるスマートデバイスについてはアマゾンが把握しているネットワーク設定に関する情報を適応して、パスワード等を入力しなくてもすぐに使えるようになるという。実際スマートデバイスの設定で一番の難関がネットワーク関連だそうで、そこが解消されるのはユーザーにとっても嬉しいだろう。

 アマゾンジャパン合同会社 Amazon Alexaインターナショナル 技術本部 本部長の福与直也氏によると、アレクサは2022年の冬からMatterをサポートしており、電球、スマートハズやセンサーの簡単設定が可能になっているそうだ。さらに2023年の夏にはハブ製品にも対応予定という。

 スマートホームの機器操作に関しても、これまではアレクサに音声で操作を命じるとその内容がクラウドに転送され、そこから機器操作が行われていたが、ダイレクトに機器を操作する「コミッショナブル エンドポイント」機能も可能になるという。これによりセキュリティの向上や操作時間の短縮化といった恩恵も得られるはずだ。

 説明会にはNature株式会社 代表取締役 塩出晴海氏も登場し、同社が世界で初めて発売したMatterと赤外線通信とのブリッジデバイス「Nature Remo Nano」(¥3,980、税込)の紹介も行われた。

 塩出氏はスウェーデン王立工科大学やハーバード大学に留学していたそうだが、その頃からEcho機器はスマートデバイスのブレイクスルーになると予想していたという。それもあり、早くからアレクサとの連動ができる製品を開発してきた。

 Natureは自然との共生をドライブすること、カーボンニュートラルを実現することを目指しており、そのためにはスマートホームで電気を効率的に使うことが重要だという。Matterはそのための手段として有効と考えているのだろう。塩出氏は “いちばんやさしいスマートホーム” を目指すと語っていた。

「Nature Remo Nano」

 新製品のNature Remo Nanoは家電等を操作する赤外線発信機能を備えており、アレクサ経由でテレビ、エアコン、照明などのオン/オフができる。リモコンコードもワンタッチで設定できる他、学習機能も備えているのでお使いの機器に合わせたカスタマイズが可能だ(現在Matterで接続できる家電は3台まで)。なおNature Remo Nanoはアマゾンでのみ販売されている。

 説明会に続いて、Nature Remo Nanoを使い、アレクサの定形アクションでテレビと照明を一括でオン/オフしたり、カーテンを開け閉めするといったデモも行われた、Nature Remo Nanoは本体天面と側面に赤外線の発光部を備えているようで、一般的な広さのリビングなら快適に使えるだろう。この設定が簡単に行えるのであれば、 “いちばんやさしいスマートホーム” も夢ではないだろう。

左からアマゾンジャパン合同会社 Amazon Alexaインターナショナル 技術本部 本部長の福与直也氏、Amazon Alexa インターナショナル、ジャパン カントリーマネジャーのティニス・スキパース氏、Nature株式会社 代表取締役 塩出晴海氏

 なおアマゾンでは11日(火)0時〜12日(水)23:59までの48時間、プライム会員向けの「プライムデー」を開催する。そこではディスプレイ付きの「Echo Show8 第2世代」や、アレクサからダイレクトに操作できる+Styleのバッテリー搭載扇風機などもお得な価格で手に入るので、スマートホームをお考えの方はチェックしていただきたい。