SONOSの新世代スマートスピーカー「Era 300」(¥69,800、税込)を自宅リビングで使いこなしてみようという企画の続編をお届けする。前回はEra 300で音楽配信や空間オーディオ(ドルビーアトモス)を楽しんでみた。さらにEra300を2台使ったステレオ再生のクォリティも確認している。

 今回はそれに続いてEra 300を使ったホームシアターシステムを試してみたい。前回紹介したように、Era 300は1台でドルビーアトモスが楽しめる。さらに2台を組み合わせてステレオ再生も可能で、こちらの方が2chとドルビーアトモスの両方でより快適なサウンドが楽しめた。

 そんなEra 300は、同社のサウンドバー「Arc」(¥134,800、税込)や「Beam(Gen 2)」(¥64,800、税込)のリアスピーカーとして追加することで、ドルビーアトモス対応ホームシアターを構築できる。しかもサウンドバーとEra 300はワイアレス伝送なので、それぞれの電源だけ確保すればスピーカーケーブル等の引き回しは必要ない。リビングシアターの場合、このメリットは大きい。

 わが家ではリビングのメインテレビである4K有機ELレグザ「55X9400S」の音声再生用にBeam(Gen 2)を使っているので、これにEra 300を2台と、ワイヤレスサブウーファー「Sub Mini」(¥64,800、税込)を加えて3.1システムを組んでみることにした。

 SONOSアプリでBeam(Gen 2)とSub Miniをひとつのシステム(グループ)に設定し、さらに「サラウンドを設定する」からEra 300を追加する。が、ここでEra 300を選ぶことができなかった。どうやらSONOSアプリではひとつの製品は複数のグループをまたぐことができないようで、前回の試聴でEra 300を2台グルーピングしていたのが原因のようだ。改めてグループを解除してやり直すと、無事3.1システムが構築できた。ただ、使い勝手としてはこれはちょっと残念だ(理由は次回説明します)。

 さてテレビの音声をBeam(Gen 2)で再生する場合、eARC/ARC機能を使うのが基本だ。わが家の場合、55X9400SのHDMI入力1(ARC対応)とBeam(Gne 2)をHDMIケーブルでつなげば、テレビ放送から55X9400Sに接続したBDレコーダー等で再生したコンテンツまでSONOSシステムで楽しめることになる(テレビ側の設定が必要な場合もあり)。

 いざ音を出す……前に忘れてはいけないのがTrueplayの調整。SONOS製品ユーザーにはお馴染みのルームチューニングで、特にサラウンドシステムの場合、この機能で各チャンネルのレベル調整や距離補正などを行っているようだ。実際わが家でも、当初設置した状態ではリアスピーカーのレベルが低かったが、Trueplayで調整したらレベルが補正され、包まれるような音場に変化した。

 セットアップが終わったところで、まずはテレビ放送を再生する。地デジは基本的にすべて2ch音声だが、Era 300に耳を近づけてみるとリアスピーカーからも音が再生されている。どうやらサラウンドシステムにグルーピングしたら、自動的にアップミックスされるようだ。ニュース番組では効果は控えめだが、音楽番組などではそれなりに反響が演出されていて、これはこれで楽しめる。

 続いて55X9400Sにアマゾン「Fire TV Stick 4K MAX」を装着し、Disney+の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と、Netflixの『トップガン マーヴェリック』を再生した。どちらもドルビーアトモスで配信されている作品で、今回のシステムならイネーブルドスピーカーを使った3D音場再生が可能になる。

 ちなみに55X9400Sは先述の通りHDMI ARC対応モデルなので、ロスレス圧縮(ドルビーTrue HD)信号は伝送不可。ただ、上記の配信サービスではロッシー圧縮(ドルビーデジタル・プラス)によるドルビーアトモス音声が使われているので、ARCでも伝送できることになる。

 『ローグ・ワン〜』の冒頭、草原での会話シーンの声の聞き取りやすさや風音のニュアンス、反乱軍基地での洞窟内での反響音、そして後半の惑星スカリフでの空中戦などが移動感たっぷりで、充分な包囲感を持って再現される。今回は55インチ画面だったが、もう少し大きな画面サイズと組み合わせても充分に没入できるだろう。

 『トップガン マーヴェリック』は、ダークスター発進シーンでドルビーアトモスの効果が堪能できる。基地のゲートに立つケイン少将の頭上を機体が飛び越えていく有名なカットでは、重さを持った物体が真上を通り過ぎ、猛スピードで後方に抜けていく様を感じることができた。これはかなりの快感だ。

 実は55X9400Sはリビングの長手壁面に置いてあり、Beam(Gen 2)の左側1mほどの場所には壁面(サッシ)があるが、右側は壁から3mほど離れている。つまり左右で音の反射に違いがあり、これまではドルビーアトモス音源を再生しても明瞭な包囲感(特に後ろ側)は得にくかった。

 しかし今回リアスピーカーとしてEra 300が加わったことで、音に包み込まれていることをしっかり感じられるようになっている。なお天井側の情報がやや曖昧のように思ったので、SONOSアプリの「サウンド」から「ハイトオーディオ」のレベルを+2に上げてみたところ、高さ情報も再現されるようになっている。

 一方で、同じ作品をパッケージソフト(UHDブルーレイ)で再生した時の印象に比べると、音がやや薄めに感じられるところもあり、爆発音なども意図的にメリハリをつけているようにも思えてしまう。おそらくこれは配信のロッシー音源を再生していることが原因と思われる。これについては、テレビがeARC対応になればUHDブルーレイのロスレス信号を伝送できるので、より緻密で迫力のあるサラウンドとして楽しめるはずだ。

 それを含め、動画配信以外のコンテンツをBeam(Gen 2)+Era 300+SubMiniシステムで再生したらどんな風に再生されるのかも試してみたので、次回紹介したい。(取材・文:泉 哲也)

https://www.sonos.com/ja-jp/shop/era-300