4月29日(祝)に、中野サンプラザで「春のヘッドフォン祭 2023」が開催された。4つのフロアーに90近いブースが並び、様々なブランドの新製品、人気モデルを展示、それぞれの試聴も可能なイベントだ。今年7月に閉館する中野サンプラザで開催される最後のヘッドホン祭ということで、長年本イベントに参加していた方には思い出深いものになったのではないだろうか。以下では編集部が見つけた注目モデルを紹介したい。

YAMAHA

 ヤマハは6Fロビーに、同ブランド初のオーディオ用ヘッドホンアンプ「HA-L7A」を参考出品、平面磁界型ドライバー搭載ヘッドホン「YH-5000SE」(¥495,000、税込)と組み合わせて試聴もできるよう準備されていた。

 HA-L7AはまさにYH-5000SEのような本格ヘッドホンの実力を引き出すことを目指したモデルで、1000mW×2(32Ω)の出力を備えている。

 入力端子はUSB Type-Bやデジタル入力(同軸、光)、アナログ入力を、出力端子は4.4mmと6.3mm、XLR(4ピン)のヘッドホン端子に加え、XLRとRCAのプリアウトを装備する。

 DACチップにはESS9038PROを採用しており、USB Type-Bからは最大でPCM 384kHz/32ビット、DSD11.2MHzを、さらに同軸と光のデジタル入力からは192kHz/24ビットのハイレゾ信号を受け付けてくれる。

 なお同社AVアンプで好評の「シネマDSP」信号処理機能も搭載予定とのことで、入力された2ch信号をヘッドホンに最適化して変換、サラウンドで楽しむこともできるようになるという。

 本体はL字型で、左サイドの二つの円形の突起内にトロイダルトランスが2基収められている。電源回路はデジタル用とアナログ用を分離するなど、AVアンプやハイファイモデルで培った技術が踏襲されている。本体シャーシはアルミの押し出し材を採用。

 HA-L7Aは年内の発売を目指しているとのこと。価格は未定だが、YH-5000SEと組み合わせるのに適した価格帯を目指しているとのことだ。

VOLUMIO、iFiAudio

 トップウィングサイバーサウンドグループは、6F「ムーン」ルームに先日販売をスタートしたイタリアVOLUMIOや、イギリスiFi Audioの新製品を展示していた。

 まずVOLUMIO製品は、デジタルストリーマー「Rivo」(¥165,000、税込)をソースに使い、M2TECHのセパレートアンプ「Young Mk IV」+「Crosby」との組み合わせでJBL「L1000CLASSICC」をドライブ、心地いいサウンドを奏でていた。

 さらに同ブランドのラインナップとして、DAC回路を搭載した「Primo」(予価¥132,000、税込、6月発売予定)も並んでいる。こちらはUSB Type-Aや同軸デジタル出力に加え、XLRとRCAのアナログ出力も備えており、パワーアンプ等を組み合わせたシステム展開も可能。Rivo 同様にHDMI出力も搭載している。

 さらに最上位モデルとしてプリメインアンプ機能一体型の「Integro」(予価¥203,000、税込、8月発売予定)も並んでいた。50WのクラスDアンプを内蔵し、スピーカーをつなぐだけで各種ストリーミングやデジタル信号を楽しむことができる。3モデルともW270×H50×D150mmという薄型コンパクトサイズを実現しているのもポイントだろう。

 iFi Audioでは、完全ワイヤレスBluetoothアダプター「Go pod」が注目を集めていた。こちらはリケーブル可能なインイヤーモニター(IEM)をワイヤレス化するために設計されたアイテムで、aptX HD(48kHz/24ビット)とaptX Adaptive(96kHz/24ビット)だけでなく、ハイレゾ伝送用のLDACとLHDC(HWA)にも対応済み。

 会場ではFitEar MHシリーズとのバンドルパッケージが参考出品され、愛用のDAP等をペアリングしてそのサウンドを確認しようという来場者が列を作っていた。