SACD/CDに続いて、重量盤アナログレコード『ルパン三世1977〜1980オリジナル・サウンドトラック〜for Audiophile〜AnalogEdition』がステレオサウンドから発売された。モンキー・パンチさんが亡くなってから早くも4年が過ぎたが、その命日(4月11日)の直前にリリースされたのが、このアルバムである。

 『ルパン三世』は週刊誌の連載から始まった。読者もご存じの通り、ルパンを始め、次元、五右衛門、不二子と銭形警部という濃いキャラクターが登場するアクション漫画である。TVアニメでもこの5人が演じる物語はとてつもなく面白いが、アニメでもうひとつファンの心に残るものとして、大野雄二氏が作曲した「ルパン三世のテーマ」がある。

 老若男女を問わずこの曲を耳にしたことのない人はいないだろう。それほどに『ルパン三世』とこの曲は切っても切れないものだが、本作には’78年バージョンのほか、’79年版と’80年版が収録されている。

 Side-A 1曲目の「ルパン三世のテーマ」は、ルパンや銭形のセリフも収められているが、そのセリフの厚みと声の生々しさにレコードならではの風合いを感じる。ベースラインがしっかりと描き出され、伸びやかで颯爽としたサウンドの中にも中低域の粘りを感じさせる演奏を楽しむことが出来る。

 Side-B 3曲目の「ルパン三世’79」は音数も多く繊細さもよく引き出されているが、オリジナル音源に含まれる空間の広がりがより強く感じ取れた。Side-C 4曲目の「ルパン三世’80」は、ヴィブラホンをフィーチャーしたビックバンドの演奏だが、アレンジの中に華やかな彩りを添えたサウンドが聴きとれる。

 またSide-CとSide-Dに収録されたヴォーカル曲では、声のニュアンスを大切にしたマスタリングがなされているので、それぞれの歌い手の特徴がよく現れている。Side-C 1曲目の「スーパー・ヒーロー」ではトミー・スナイダーの声の厚みと伸びやかさが伝わってくるし、3曲目のサンドラ・ホーンの「ラヴ・スコール」ではソプラノの歌声がとても可愛らしく浮かび上がる。

 同じく6曲目の木村昇「ラブ・イズ・エブリシング」も切ない歌詞に感情がこもり、音に映し出されている。Sode-D 4曲目のボビーが歌う「炎のたからもの」も、可憐で清楚な歌声がひと際映えるバランスに仕上がっていると感じた。

潮さんのオーディオルームでは、EMT「930st」やテクニクス「SL-10R」といった新旧の名機を使って今回のレコードを再生してもらった

 このアルバムは全体を通して温もりがあり、とても心地いいし、腰の座ったサウンドを聴くことができる点も嬉しい。ジャズが大好きだったモンキー・パンチさんに聴かせたら、きっと「いいねぇ」という返事が戻ってきたことだろう。『ルパン三世1977〜1980 オリジナル・サウンドトラック〜for Audiophile〜Analog Edition』でひと味違うアナログの世界を、ぜひ楽しんでいただきたい。