高校を卒業したばかりの殺し屋女子コンビのゆる~い日常と、本格アクションの組み合わせで大ヒットした『ベイビーわるきゅーれ』の待望の続編『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』が、いよいよ3月24日(金)より公開となる。監督はもちろん前作より引き続き阪元裕吾が務め、主役の二人・ちさと&まひろのコンビも、前作同様に髙石あかり&伊澤彩織で送る注目の1作だ。ここでは、その二人にインタビューを実施。コメディ部分だけでなく、期待の本格アクションもさらにパワーアップした本作にかけた意気込みを聞いた。

――よろしくお願いします。待望の続編ができました。まずは感想をお聞かせください。
伊澤彩織(以下、伊澤) いやぁ、本当に嬉しいですよ。一昨年(2021年)の12月に続編の製作発表をさせていただいた時も、嬉しくて泣きそうになりましたけど、今はそれ以上です。
髙石あかり(以下、髙石) 私も本当に嬉しいです。あの舞台挨拶はよく覚えていますし、すごく幸せないい日でした。

――さて、今回続編の撮影にあたって、どんな準備をされたのかをまず、教えてください。髙石さんは、前作のインタビューでは、“ちさとの役作りはしていない”と仰っていました。
髙石 はい、それもあって、今回ちさとを演じるのは、正直、怖かったです。前作のちさとは、当時(17歳)の私そのもので、役作りをせずに挑んでいたこともあって、感性の赴くままというか、その日の気分でお芝居も大きく変わっていました。今回、それに寄せていく作業というのは、役作りをしていないからこその難しさがあって、これがちさとだっていう感覚を再び降りてこさせなくちゃいけないし、ファンの皆さんの続編への期待の大きさも感じていましたから、とにかく何度も何度も1作目を見直しました。

――実際には。
髙石 きっと(現場で)伊澤さんと一緒になれば、自然とちさとになれるだろうという予感がありました。実際、台本の読み合わせで、伊澤さんの声を聞いたら、自分も自然とちさとになれていた気がしたので、その時点でようやく安心することができました。

――一方でアクション面では、銃の扱いも増えたし、より激しくなっていました。
髙石 今回は、伊澤さんとアクション監督の園村(健介)さんと3人で、アクション練習をたくさんさせていただけたので、本当にありがたかったです。しかも、園村さんにはマンツーマンで指導していただいたので、0からの体作りの基礎を教えてもらったこともあって、前作よりも、さらにパワーアップしたちさとになったと感じていますし、そう見えていたら嬉しいです。

――伊澤さんでさえ、園村さんのアクションに体が追いつかないと話されていましたが、実際の稽古はいかがでしたか?
髙石 恐らく私が付いていけるレベルのものを提示してくださっていると思うのですが、前回以上に、今回もたくさん課題がありました。一番は銃の扱い方ですね。前作では雑に扱っていても、それがちさとらしさでよかったのですが、今回は、マガジンを交換するシーンもあったので、稽古の場を離れた日常においてもちさとでいるようにと、モデルガンを貸していただいて、自宅でひたすらマガジンチェンジの練習をしていました。

――そういう苦労・工夫もあったのですね。後半の定食屋での銃撃シーンの銃の扱いは素敵でした。
髙石 ありがとうございます。

――しかも、劇中でちさとの第一声を聞いて、あっ!ちさとが帰って来た、と感じました。
髙石 本当ですか!? 大丈夫かなとは思っていたんですけど、そう言っていただけてよかったです。
伊澤 ちさとの発するあの声って、あかりちゃん独特のもので、とっても可愛らしいですよね。

――そうしたゆる~いシーンも、『ベイビー』の魅力ですね。
伊澤 そうですね。面白いなと思ったのは、阪元監督が、ちさととまひろの年齢を、あかりちゃんの年にするって言っていたことなんです。本作では、1から1年後ぐらいの時間軸なので、その1年の間のあかりちゃんの成長と共に、ちさととまひろも成長した姿で描かれています。10代後半って、一番多感な時期だと思うので、変化しやすいモラトリアム性も一緒に感じられる作品になったと思います。
髙石 本当にそう思います。監督が本読みの時に、すっごく恥ずかしがりながら(笑)、“続編は2人が 1つになる話だ”って仰っていたんです。結末は言えませんけど、ラストに向かって、お互いがお互いを助けあって1つになる。そういう成長した姿が描かれているので、監督の言葉にすごい納得感がありました。

――確かに仲はより深まっているように感じましたが、まひろの決めセリフ(?)の“だっこして”がなかったですね。
髙石 えっ、なかったでしたっけ?
伊澤 そう、ないんですよ。私も撮影が終わってから気づきました。

――まあ、お互いの距離がより近くなって、ずっとくっついていましたから。
伊澤 本編を観ると分かりますが、まひろはちさとの隣にずっといます(笑)。
髙石 意外と自分たちでやっていると、気がつかないものですね。
伊澤 変わっている部分もたくさんありますけど、変わっていないものもありますね。家は(『1』のパンフレットの特典の)ドラマCDで爆破されてるから変わったけど、トレーニング相手のボブは、今回も活躍してくれました。

――さて、話を戻しまして、伊澤さんも事前のアクション稽古を園村さんとものすごく頑張ったそうですね。“自分の体の動かし方が分かった”と、SNSに書かれていたのを拝見しました。
伊澤 やはり前作のアクションが好評だった分、もっとすごいものを見せたいという気持ちがあったので、クランクインの3ヵ月ぐらい前から、園村さんに練習を見てもらっていました。

 前作では、その時の自分が持っているスキルを100%出して頑張りましたけど、基礎が甘かった――という後悔があったので、ひたすらミット打ちをして鍛え直してもらいました。前作よりももっと強いまひろに見せるために、体の連動の仕方など、アクションをやる以前のベース(体)を作り上げる作業にあてていました。園村さんの指導のおかげで、自分の体の中にまひろの動きを染み込ませられたって、感じています。

――前作のリベンジはできた?
伊澤 はい、できました。

――一方で、コミカルなアクションもありました。
伊澤 園村さんが作る体の動きって、本当に面白いんですよ。楽しかったですね。
髙石 私も現場でアクションの振り付けを見ていましたけど、あのコミカルな動きの裏には、本当に緻密な作業をされているんだなって思いました。当たっているように見えて、絶対当たらないようにする。絶対に当たらないんですよ。本当に細かく細かく指示されていました。

――銃の扱い、捌き方も絶妙で、あれだけ撃ちまくっているのに(笑)、銃口がその向きであれば、絶対に当たらないだろうなという感覚もありました。
伊澤 特に、丞威さんとの銃撃戦のシーンでは、アクション作りの時に、何回か微調整していました。平地の近い間合いで銃撃戦をしたら、普通は当たるやろみたいなツッコミが来ると思うので(笑)、弾を避ける時の体勢や、リズムを細かく増やして、動きが立体的になるように練習させてもらいました。

――アクションも素晴らしかったのですが、一方で、『ベイビー』らしさでもある、日常生活を送る上でのダメさっぷりも、愛らしさを含めてより増幅されていました。
伊澤 本当に日常生活ではダメ人間ですよね。けど、生活を楽しんでいる姿が一番の幸せだなとも思いました。
髙石 実は、前作を受けて、ああそうきたのか! というシーンもあるので、じっくりと観てほしいです。監督の描く人間模様というか、人物の見せ方は、本当に素敵だなって思います。

――そして、今回は新たな敵も出てきます。ラストシーンは壮絶でした。
髙石 本当ですよ! ちさとは、本作ではより派手に銃を使いますし、前作と同じように共闘シーンもあれば、さらに一対一での対決シーンもあります。そうした本格的なアクションは初めてだったので、逆に怖かったです。前作では、ただ銃を撃つぶっ放すぐらいでしたけど、今回は狙って撃つという姿が映ってしまいますし、先ほど言った体の動かし方もそうですし、それらをきっちりと練習して臨んだことで、しっかりとできたのかなって思っています。
伊澤 そのシーンが撮了した時に、近所で花火大会があったことは記憶に残っていますね。みんなで激闘シーンを撮った後の打ち上げ花火みたいな感じで、青春しているような気持ちになりました。

――ところで、工場の中で繰り広げられるアクションシーンは、結構、日中の外光が入っているように見えました。
伊澤 そうなんです、かなり特殊な撮り方をしていて、陽が落ちる前に引き(広い)のカットを全部撮って、寄り(アップ)は全部後回しにしていたので、撮影中はパズルをしているような感覚でした。まさに編集マジックですよね。

――では、最後に読者にメッセージをお願いします。
髙石 お客さまに続きが見たいと言ってもらえる作品ってすごいなって私は思うんです。この2人をまた見たいって言ってもらえたことは本当に有り難いですし、それに応えられることが、本当に嬉しいです。一刻も早く皆さんに観ていただきたいです。たくさんの方に届けられるように、宣伝も頑張ります。よろしくお願いします。
伊澤 愉快なアクション映画になったと思うので、気楽に、ポップコーン片手に観てほしいです。
髙石 前作より観やすくなっています。
髙石&伊澤 ぜひ、よろしくお願いします。

映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』

3月24日(金)より新宿ピカデリーほかにて公開

<キャスト>
髙石あかり 伊澤彩織
水石亜飛夢 中井友望 飛永 翼(ラバーガール) 橋野純平 安倍 乙 / 新しい学校のリーダーズ / 渡辺 哲 丞威 濱田龍臣

<スタッフ>
監督・脚本:阪元裕吾
アクション監督:園村健介
配給・宣伝:渋谷プロダクション
(C)2023「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」製作委員会

ヘアメイク:西田美香(atelier ism)
スタイリスト:入山浩章