毎年元日の恒例行事に「ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート」がある。ぼくも毎年オーストリアのウィーンから中継されるライヴ放送を楽しみにしている一人だが、マチネの演奏会なので日本では時差の関係で夕方になるため、元日をのんびり過ごしているとつい見逃すことも多く、結構録画のお世話になっている。

 ニューイヤー・コンサートはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の年初めの演奏会で、ウィーン楽友協会の大ホールから全世界に中継される一大イベントだ。演奏曲目はヨハン・シュトラウス協会の会長とシュトラウスの研究家が毎年集まって選定作業を進めている。初回は1939年12月31日の開催だったが、翌年からは元日の正午に変更された。曲目はシュトラウス一家とシュトラウス家にゆかりのある作曲家のものが中心でワルツやポルカの曲が多い。過去にはまれにモーツァルトやシューベルト、ロッシーニの曲が登場したこともあった。アンコールは3曲が恒例だが、最後の「ラデツキー行進曲」とその前の「美しき青きドナウ」の演奏は、一部の例外を除き戦後からの習わしになっている。

サラウンド再生はCoax 611とCoax 411を組み合わせた4.0ch再生を試した。ニューイヤー・コンサートのサラウンド音源は元々サブウーファーなしの5.0chで作られているので、サブウーファーは用意していない。センターはCoax GEN2シリーズではCoax 211という横置きモデルがラインナップされるが、視聴時期の関係で今回は用意できなかった

 

 

最も貴重な演奏会がウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートだ

 NHKは1973年からニューイヤー・コンサートの放送を開始しているが、この時はまだ録画放送だった。その後NHK FMで全編、教育テレビで後半の二幕だけを中継するというスタイルが続き、1991年から衛星放送で全編生中継を行なうようになった。以来、BS2とBShi、NHK FMで全編を、教育テレビで後半だけを放送するという形が取られている(編註:BS8Kで放送した年もあり)。

 当時ぼくも積極的にビデオデッキやブルーレイに録画していたので、今回の取材前に探してみたが、ブルーレイは発見できたものの残念ながらビデオテープは見つからなかった。2006年にはBSとFMに加えNHK総合でも全編の中継が行なわれたが、翌2007年から中継は教育テレビとNHK FMだけになった。このように日本の放送だけを取り上げてもかなりの変遷が見られるのは、それだけ重要な番組だったということだろう。パッケージソフトについても、驚異的なスピードでCDとブルーレイがリリースされるという、サービス精神の旺盛なことにも驚かされる。

 ニューイヤー・コンサートの見どころは、毎年指揮者が変わることだ。もっとも第一回の1939年から1986年までは、クレメンス・クラウスが14回、ヨーゼフ・クリップスが2回、ヴィリー・ボスコフスキーが25回、ロリン・マゼールが7回と、わずかに4人の指揮者で占められている。

 その慣習が変わったのが、1987年のヘルベルト・フォン・カラヤンからだ。それでも2023年までに登場した指揮者はトータルで18人ということからも選ばれればとても名誉なことなのである。一度選ばれると複数回招かれる傾向が強く、1回だけの登場はカラヤンと小澤征爾をはじめとして案外少ない。

 指揮者の決定は、楽団員全員による投票で行なわれる。例年1月2日に次年の指揮者が発表されるが、2024年はドイツのクリスティアン・ティーレマンが予定されている。

 演奏会は元日が本番だが、直前の12月30日午前と12月31日夜にも同じプログラムが組まれ、計3回公演される。12月30日の回は客席を多くのオーストリア連邦軍が占めるプレビューコンサート、12月31日の回はジルベスターコンサートである。

 新年のコンサートなので正装の観客が多く、日本からの来場した女性の着物姿を見つけることもできるが、新年を祝うという点では気軽で陽気な雰囲気に溢れている。しかしながら、その切符を入手するのは極めて困難で、数あるコンサートの中でも最もプレミアが付くイベントとしても有名だ。ぼくも出来ることなら一生のうち一度はライヴで体験してみたいと願っているが、なかなかハードルの高いコンサートであることは間違いない。

 

ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの歴代指揮者

クレメンス・クラウス(1939年[※]、1941〜1945年、1948〜1954年/14回)※1939年は大晦日の開催
ヨーゼフ・クリップス(1946年、1947年/2回)
ヴィリー・ボスコフスキー(1955〜1979年/25回)
ローリン・マゼール(1980〜1986年、1994年、1996年、1999年、2005年/11回)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1987年)
クラウディオ・アバド(1988年、1991年/2回)
カルロス・クライバー(1989年、1992年/2回)
ズービン・メータ(1990年、1995年、1998年、2007年、2015年/5回)
リッカルド・ムーティ(1993年、1997年、2000年、2004年、2018年、2021年/6回)
小澤征爾(2002年)
ニコラウス・アーノンクール(2001年、2003年/2回)
マリス・ヤンソンス(2006年、2012年、2016年/3回)
ジョルジュ・プレートル(2008年、2010年/2回)
ダニエル・バレンボイム(2009年、2014年、2022年/3回)
フランツ・ウェルザー=メスト(2011年、2013年、2023年/3回)
グスターボ・ドゥダメル(2017年)
クリスティアン・ティーレマン(2019年)
アンドリス・ネルソンス(2020年)

※ニューイヤー・コンサートの映像パッケージは、カラヤンが指揮した1987年のほか、2012年から2023年までの演奏会をソニークラシカルが国内盤ブルーレイ/DVDとして発売中。それ以外の年の演奏会は、国内盤では廃盤、海外盤でも入手困難の場合が多いようだ。なお、2018年からはBDのDTS-HDMA5.0ch音声は、Auro-3D 9.0でもエンコードされているようだが、今回は試してない(編集部)

BD
『ニューイヤー・コンサート2023/フランツ・ウェルザ―=メスト指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団』
(Sony Classical SIXC-75)¥6,270税込

 

 

豊かなダイナミズムを備えたピエガCoax GEN2シリーズで鳴らす

 オーディオビジュアル的にニューイヤー・コンサートをとらえるなら、まさしく指揮者による曲の解釈をウィーン・フィルがどんな音色で応えるのか、さらにはディレクターの演出によってどのような映像に仕上げられるのか楽しめることだと思う。ウィーン楽友協会という同じホールなので、音の録り方はあまり変わらないが、映像はあの手この手と、新しいトライアルがなされている。時々やり過ぎかなと思えることもあるが、こればかりは仕方ない。

 1987年のカラヤン指揮の年から映像付きのソフトがLDなどでリリースされているので、画質/音質の変遷史としてもニューイヤー・コンサートは、オーディオビジュアル・ファン絶好のアイテムと言えるだろう(編註:ただし現行盤の映像パッケージとしては上記の通りの状況)。

 本来ならこうしたパッケージを一堂に集めて、その違いも織り交ぜながら紹介したいところだが、いかんせん数が多いので、今回はぼくが選んだソフトからいずれもアンコールの2曲、「美しき青きドナウ(以下、ドナウ)」と「ラデツキー行進曲(以下、ラデツキー)」を視聴することにした。

 今回ニューイヤー・コンサートのために用意したシステムは、オーストリアのお隣、スイスのピエガが昨年リリースしたスピーカーの新製品群「Coax GEN2」からCoax 611と同411、AVセンターはデノンのAVC-X8500HA、さらにドライブ力を高めるため米国ニュープライムのパワーアンプのSTA-9Xを適宜加えている。ソース機器はパナソニックのDMR-ZR1とデノンのDCD-SX1 LIMITED、ミュージックサーバーにデラN1A/3、プロジェクターはビクターのDLA-V9R、スクリーンにキクチのグレースマット100(120インチ/16:9)を組み合わせた。

 

Speaker System
PIEGA
Coax 411
¥1,650,000(ペア) 税込

●型式:3ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター/ミッドレンジ・同軸、160mmコーン型ウーファー
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●クロスオーバー周波数:450Hz、3.5kHz
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W210×H450×D310mm/25kg
●カラリング:シルバー(¥1,540,000ペア税込)、ブラック/ホワイト(¥1,650,000ペア税込)
●オプション:専用スタンド(Stand 300、¥286,000ペア税込)

Coax 611
¥3,124,000(ペア) 税込

●型式:3ウェイ3スピーカー・パッシブラジエーター型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター/ミッドレンジ・同軸、160mmコーン型ウーファー×2、160mmコーン型パッシブラジエーター×3
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●クロスオーバー周波数:450Hz、3.5kHz
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W210×H1,170×D310mm/45kg
●カラリング:シルバー(¥2,915,000ペア税込ボトムプレートなし/¥3,014,000ペア税込ボトムプレートあり)、ブラック/ホワイト(¥3,025,000ペア税込ボトムプレートなし/¥3,124,000ペア税込ボトムプレートあり)

●問合せ先:フューレンコーディネート TEL. 0120-004884

 

 

 今回の主役となるCoax 611と同411のスピーカーについて触れておくと、いずれもピエガのレゾンデートルである同軸型リボンユニットの磁気回路を改良し応答性を高めるとともに高域の特性を改善したことが一番のポイント。これに最適化されたウーファーを組み合わせることで音楽の持つダイナミズムをより豊かに表現することに成功している。

 またグレードアップ用として用意したニュープライムのSTA-9Xは、前作のSTA-9を徹底してリファインしたステレオパワーアンプ。アナログ電源と負帰還に頼らないシングルエンドの増幅回路にDクラスのパワーブロックを組み合わせ、かつ750kHzのスイッチング周波数で動作させて、高周波ノイズを低減しS/N感を高めるとともに中低域のエネルギー描写にも心を砕いている。

 

Power Amplifier
NuPrime
STA-9X
¥242,000税込

●出力:130W×2(4、8Ω)、330W(4、8Ω/BTL接続時)
●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA、XLR)
●寸法/質量:W235×H60×D281mm/4kg
●カラリング:ブラック、シルバー

ノンフィードバック構成のシングルエンド・クラスAアンプと、クラスDの出力段を組み合わせて、小型ながらハイスピードかつ大出力を実現したニュープライムのステレオパワーアンプ。前モデルのSTA-9よりも出力電流駆動能力を130%に高めて、鳴らしにくいスピーカーへの対応力を高めている。BTL接続にて330Wものハイパワーを実現したモノーラルアンプとしても活用できる

●問合せ先:フューレンコーディネイト TEL. 0120-004884

 

 

同じ曲でも開催年が異なると大きくテイストが違うのが面白い

 視聴はリッカルド・ムーティが指揮した〈2021年〉のハイレゾ音源(96kHz/24ビット/FLAC)から行なった(接続①)。

 なぜぼくがこの年のコンサートを選んだのかというと、コロナ禍により後にも先にも無観客での収録は、ニューイヤー・コンサート始まって以来の椿事だからである。通常は観客によって、響きがある程度吸音されるが今回はなし。環境の変化が音にどう影響するのか、というよりむしろどれほど響きが綺麗になるのかという点も聴きたかったからである。

 「ドナウ」の演奏は少しゆったりとしていてためがあり、スムーズな味わい。ホールトーンも耳へスッと入ってくるし、響きの消え際も綺麗だ。「ラデツキー」はリズミカルで行進曲らしいテンションを感じさせる。音色も豊かでここでも響きの深さを聴き取れた。

 続いて少し年代を戻し〈2014年〉ダニエル・バレンボイムによる演奏を聴いた。2014年版の「ドナウ」は優しさがあり少し甘美な演奏だ。「ラデツキー」になるとバランスが変わり一転して賑やかになり打楽器がよく鳴る。

 次に早々とリリースされた今年<2023年>のフランツ・ウェルザー=メスト指揮の演奏を聴く。やはり有観客の方がホールのざわめきがあり、ライヴ感が伝わってくる。「ドナウ」は音にふくよかさを湛えつつ打楽器をフィーチャーした構成がなされ管楽器の音色も美しく捉えられている。「ラデツキー」は当然のことながら手拍子付き。ピッコロに光を当てた様子もよくわかる。

 

接続①

接続②

接続③

今回の取材はまず映像なしの2chステレオのハイレゾ音源の再生から始めた。音源はデラのミュージックサーバーN1A/3に格納し、DCD-SX1 LIMITEDにUSB接続、そこからアンバランス接続でデノンのAVC-X8500HAにつないでいる。まずX8500HAでCoax 611を鳴らし(接続①)、次にX8500HAのプリ出力をニュープライムSTA-9Xに送って再生した(接続②)。さらにSTA-9Xをもう1台追加し、左右のスピーカーにそれぞれSTA-9Xをあてがった状態での再生も試した(接続③)

 

 

ピエガから魅力的な音を得るためには駆動アンプはしっかり吟味したい

 X8500HAだけでもピエガのCoax 611をドライブできなくはないが、アンプとスピーカーのグレードを考慮すると少しばかり荷が重いようにも思う。そこで最近のトレンドでもあるコンパクトなパワーアンプの中から、ニュープライムのSTA-9Xを用意した。本機を選んだ種明かしを先にしておくと、BTL接続によるモノーラル駆動が可能で、加えてコンパクトゆえ、それが簡単に実現できることだ。

 まずは、X8500HAのプリアウトを用いて、STA-9Xとアンバランス接続にて〈2023年〉のメストの演奏をハイレゾ音源で聴いた(接続②)。STA-9Xは、筐体サイズを考えると期待半分という感じだったが、「ドナウ」はきめの細やかさやレンジ感がアップし確実に音の魅力度が増す。さすがに中低域の量感は思ったほどでもなかったが、“音の力”は間違いなく向上している。「ラデツキー」では音の目鼻立ちが明快になるし楽器の位置関係もはっきりとしてきた。X8500HAも確かにハイエンドのAVセンターだが、外部パワーアンプの追加によって、グレードアップが可能になるので、手強いスピーカーを相棒に使っているユーザーには次の一手として検討したい。

 さらにSTA-9Xを2台使ってBTL接続によるドライブを行なってみた(接続③)。STA-9Xはバランス入力も備わるが、X8500HAのプリアウトは、アンバランス端子だけしかないので、今回はアンバランス接続を選んでいる。バランス端子のプリアウトを装備した製品なら、総合的な音質の向上が見込めるので、そちらでの接続も試していただきたい。

 さっそく「ドナウ」を聴くと、音のエネルギー感がさらにアップし一段と筋肉質になった。一音一音に図太さが乗るという感じで、繊細さはやや後退するが音の浮き立つ感じがあり、総合的には圧倒的に音質が向上した。「ラデツキー」でも音のダイナミズムが高まるし音数も増える。実際にテストするまでは、あまり似合わない組合せかなとも思ったが、BTL接続で両者の良さが引き立った格好だ。

 この状態でもう一度〈2021年〉のムーティ指揮の演奏を聴いてみたが、音の温かみが増し楽器の音色にもリアリティが加わる。「ラデツキー」では、弦楽器の音色がふくよかで艶やかさもよく描き出す。無観客収録なので手拍子はないが、演奏終了後の関係者だけの拍手が妙に響き渡っていたのも印象的である。

 

STA-9Xは非常にコンパクトなステレオパワーアンプ。今回は写真のようなアンバランス出力によるステレオ駆動をまず試している

STA-9Xは、背面のトグルスイッチでステレオ駆動からBTL(モノーラル)駆動にワンタッチで切替え可能だ。どのスピーカー端子にスピーカーケーブルをつなげばよいのかは端子板に印字にて示されている

 

 

サラウンド再生で実感したパワーアンプ統一の大きな恩恵

 ここからはサラウンド音声の再生である。BD収録の音声はDTS-HDMA5.0chで48kHz/24ビット。STA-9XのBTL接続によるパフォーマンスを活かすべく、センターなしの4.0ch再生で行なった(LFE信号は元々収録されていない)。

 視聴に用いたのは〈2017年〉グスターボ・ドゥダメル指揮による演奏である。まず、サラウンドスピーカーとして使ったCoax 411をX8500HA内蔵アンプで鳴らすと(接続④)、「ドナウ」でテンポ感の良い若くて明るいサウンドを聴かせてくれた。エネルギーが満ち溢れているし音の流れが美しい。「ラデツキー」も軽やかでのびのびとしたサウンドだ。ドゥダメルの肩の力を抜いてリラックスしている様子が伝わってきて、スピード感に溢れた演奏である。

 次にサラウンド用にもう1台のSTA-9Xをあてがってみた(接続⑤)。パワーアンプを全て統一してサラウンド再生することの恩恵は分かっていたつもりだが、実際に組み合わせてみると、無視できない影響力があることを再認識した。全体の見通しが良くなり密度感も上がるのだ。音場表現の豊かさとともに空間が引き締まってくる印象で「ラデツキー」ではテンポが速く感じられるようになった。

 さらにもう1台のSTA-9Xを追加、フロント、サラウンドともにSTA-9XをBTL接続で組み合わせて、合計4台のSTA-9Xで駆動してみた(接続⑥)。「ドナウ」は音がより克明になりチャンネル間のつながりがシームレスになることで、サラウンド再生を意識させない音の広がりが感じ取れる。フォルテになっても歪みが少なく音の波が押し寄せてくる感じである。「ラデツキー」でも音に瞬発力があり、余韻が滑らかにホールに広がっていく。手拍子はオーディオ再生では結構難物で、歪みが多いとノイズが混じったように聴こえるが、この組合せだと耳障りな感じがないことにも感心させられた。Coax 611と同411を満足のゆくレベルでドライブさせるには、これぐらいの方法が必要なのだろう。

 このシステムでエアチェックした〈2023年〉メストが指揮した今年の演奏会のエアチェックBD-Rで聴いてみた(編註:BDは2月15日に発売済。取材日程の関係で今回は試せなかった)。サラウンド音声は、音声圧縮形式はAACで、BDのロスレス形式のハイレゾ音源と比べると情報量は減るが、ハードウェアのパフォーマンスに助けられて、優しさのある丁寧なサウンドを再現し、ホールの残響音もそれなりに感じ取れた。

 

接続④

接続⑤

接続⑥

サラウンド再生はビジュアル付きのAV再生で試している。フロントL/Rは、接続③(つまりSTA-9Xを2台使っている)状態で、まずサラウンドスピーカーに使っているCoax 411をX8500HAで鳴らした(接続④)。さらにSTA-9Xをステレオアンプとして追加した再生(接続⑤)、さらにもう1台を加えて合計4台によるオールBTL接続再生も試した(接続⑥)

 

 

 音楽のライヴソフトは音質も大切な要素だが、やはり絵付きでの視聴をおすすめしたい。特にニューイヤー・コンサートのアンコール・シーンはCDやハイレゾの音だけを聴いていても、面白そうな雰囲気は伝わってくるが、実際に会場ではどんなやり取りなのかわからないのでフラストレーションが溜まるからだ。またCD/ハイレゾの2chと5.0ch収録のブルーレイでは、ミックスのバランスが異なる点も聴きどころだろう。BDには2ch音声も収録されているので、サラウンド環境のない人も、ぜひとも映像付きで楽しんでほしい

 最後にぼくのニューイヤー・コンサートへの希望を記しておくと、よりワイドなシネスコサイズの4K映像と、ハイレゾ・マルチチャンネルの収録を組み合わせたUHDブルーレイの登場である。テレビ中継では味わうことの出来ない醍醐味をぜひともパッケージソフトで実現してほしいと心より願っている。

 

 視聴したシステム

●プロジェクター:ビクターDLA-V9R
●スクリーン:キクチ グレースマット100(120インチ/16:9)
●4Kレコーダー:パナソニックDMR-ZR1
●SACD/CDプレーヤー:デノンDCD-SX1 LIMITED
●ミュージックサーバー:デラN1A/3

 

 

本記事の掲載は『HiVi 2023年春号』