Amazon(アマゾン)から2月に登場した、「Echo Dot(第5世代)」と「Echo Dot with clock(第5世代)」は、スマートスピーカーを超えた新しい可能性を秘めたデバイスに進化している。今回両モデルを視聴してみてそんな風に感じたので、紹介したい。

スマートスピーカー:Amazon

Echo Dot with clock(第5世代) ¥8,480(税込、グレイシャーホワイト/クラウドブルー)

Echo Dot(第5世代) ¥7,480(税込、チャコール/グレイシャーホワイト/ディープシーブルー)

●使用ユニット:44mmフルレンジ●対応ネットワーク:802.11a/b/g/n/ac (2.4/5GHz)●寸法/質量:W100×H89×D100mm/304g

 改めて説明するまでもないが、両機は音声操作アプリのAlexaを搭載したスマートスピーカーで、声による操作で様々なサービスを提供してくれる。日本では2017年にAlexa搭載製品が導入され、以後アクティブユーザーは順調に拡大しきた。最近はその快適さを体験し、家庭内で複数台のデバイスを使うユーザーも増えているそうで、過去3年でユーザー数は約2倍に増えてきたという。

 そんなEchoデバイスの機能で一番使われているのは、当然ながら音楽再生だそうだ。Alexaにアーティスト名や曲名を話しかけるだけでAmazon Music(別途契約は必要)から楽曲を再生してくれるのだから、この手軽さはスマホの比ではない。そこで重要となる “音質” については、Echo Dot(第5世代)とEcho Dot with clock(第5世代)とも改良が加えられている。

左がEcho Dot with clock(第5世代)で、右は第4世代。表示デバイスがドットタイプに変更されたことで、数字だけでなく文字(カタカナ)やマークなども表せるようになった

 具体的には両モデルとも44mm径のフルレンジユニットを搭載し、従来モデル以上にクリアーな高音と低音を獲得したという。ちなみに前世代のEcho Dot/Echo Dot clockとの比較ではドライバーとしては約10%大きくなっているそうだ。なお外見からも分かる通り、どちらもユニットは一基のみのモノーラルスピーカーで、ステレオ音声もモノーラルミックスして再生されている。内部回路は前モデルを踏襲しており、Amazon Music HDも48kHz/24ビットソースまでの対応となる。

 ちなみに先に開催された新製品説明会場で、第4世代と第5世代のEcho Dot with clockを使って同じ楽曲を再生してもらったところ、確かに低域の量感や迫力に違いがあり、第5世代の方がベースの豊かさ、迫力を感じることができた。電気回路自体は変更されていないとのことだが、ユニットが大きくなったことで低音の再現性は確実に変化している。

左からEcho Dot(第5世代)、Echo Dot with clock(第5世代)、Echo Dot(第3世代)を並べて音を聴き比べている

 なおわが家のリビングではEcho Dot(第3世代)が、天気予報や家電スマートコントロール用として活躍してくれている。試しに第5世代Echo Dot with clockをその横に並べて同じ楽曲を再生してみたが、こちらは低域はもちろん、ヴォーカルの再現性にも違いがでてきた。同じくらいのボリュウムなのに、声の広がるエリアが大きくなってより聞きやすい印象だ。

 先頃Prime Videoで配信が始まった『ONE PIECE FILM RED』の主題歌Ado「新時代」を呼び出すと、第3世代は実際の設置位置(床から40cmほどのラック上)で鳴っているのが分かるし、冒頭の “♪ 新時代は〜” の高域の伸びがいまいちで頭を押さえられたような印象になるし、ドラムの低域もあっさりめに思えてしまう。

 これに対し、Echo Dot with clock(第5世代)は、Adoのヴォーカルの高域再現がしっかりしてきて、声がストレスなく抜けていく。続くドラムも低域が弾み、量感が豊かになっている。高域、低域の両方の再生帯域が伸びてきて、音楽を充分楽しめる、バランスのいいクリアーな音場が再生されている。

家庭内ネットワークにEcho Dot(第5世代)、Echo Dot with clock(第5世代)をつないで、Alexaアプリから設定を行った

Echo Dot(第5世代)、Echo Dot with clock(第5世代)をステレオペアで鳴らすには、Alexaアプリでどちらかのスピーカーの設定メニューに入り、「ステレオペア/サブウーファー」の項目から画面に従って指定すればOK

 リビングでのBGM的な音楽再生用としては充分なクォリティと再現性を備えているのだが、モノーラルスピーカーなので音像の定位、左右の広がり感はもう一歩欲しくなる。そこで2台をペアリグしたステレオ再生も確認することにした。

 今回はEcho Dot(第5世代)の試聴機も借用しているので、Echo Dot with clock&Echo Dotの第5世代同士のステレオ再生を試してみる。ペアリング手順は、両機を同じネットワークにつなぎ、Alexaアプリから「ステレオペア/サブウーファー」を選んでどのスピーカーをペアにするかを指定すればいい。L/Rの指定もアプリから行うことになる。

 Echo Dot with clock&Echo Dotの組み合わせで体験できたサウンドも、期待を裏切らないまとまりだった。その詳細は次回ご紹介する。(取材・文:泉 哲也)

新製品発表会の様子。Echo Dot with clockの第4世代(写真中央奥)と第5世代(写真右)で同じ楽曲を再生してもらった