Record Player System
リン
MAJIK LP12 MC

¥550,000(税別)

カートリッジ部(KOIL)●発電方式:MC型●出力電圧:0.4mV(3.54cm/sec,1kHz)●適正針圧:1.8g~2.2g(2g標準)トーンアーム部(KRANE)●型式:スタティックバランス型●スピンドル・ピボット間:211mm●適合カートリッジ重量:2.5g~17g プレーヤー部●駆動方式:ベルトドライブ●回転数:33・1/3rpm●ターンテーブル:アルミニウム製3.75kg●寸法/重量:W445×H140×D356mm/10kg●備考:仕上げはウォールナット(写真)、オーク、ブラックアッシュ、ローズナット、チェリーあり●問合せ先:(株)リンジャパン TEL.0120-126-173

MAJIK LP12 SE

¥850,000 (税別)

カートリッジ部(KOIL)●発電方式:MC型●出力電圧:0.4mV(3.54cm/sec,1kHz)●適正針圧:1.8g~2.2g(2g標準)トーンアーム部(KRANE)●型式:スタティックバランス型●スピンドル・ピボット間:211mm●適合カートリッジ重量:2.5g~17g プレーヤー部●駆動方式:ベルトドライブ●回転数:33・1/3、45rpm●ターンテーブル:アルミニウム製3.75kg●寸法/重量:W445×H140×D356mm/10kg(本体)、W75×H65×D312mm/1kg(電源部LINGO4)●備考:仕上げはチェリー(写真)、オーク、ウォールナット、ブラックアッシュ、ローズナットあり

 リンのMAJIK LP12シリーズは伝統的なベルトドライブプレーヤーであり、ハイレゾシステムとの接続を意識したデジタルフォノイコライザーを搭載のKlimaxシリーズとは異なる基本システムになっている。
 
 MAJIK LP12 MCは、付属カートリッジをMC型のKOILとしたもの。MAJIK LP12 MM(¥520,000、税別)もあり、こちらはMM型のADIKTとなる。なお、どちらも33回転専用。45回転併用を望むのなら、同時に試聴したシリーズ上位機のMAJIK LP12 SEが用意されている。モーター自体が変わり外部駆動電源LINGO4を用いることで対応するが、ターンテーブル裏に一ケ所黒いマーカーが貼られていて、光学センサーで回転速度を検出して制御する方式だ。

 これらMAJIK LP12シリーズに共通するのは、ターンテーブルの軸受けが最新のKarousel(カルーセル)になっていること。肉厚で径の太い頑丈な軸受けにて回転系の精度を支える趣向だ。またトーンアームがKRANE(クレーン)という点も共通している。製造元はドイツのクリアオーディオ。単独発売もされている現行の標準品というべきアームだ。インサイドフォースキャンセラーが磁力式になっているのが目を引く。またSEモデルは、底部、脚部にTRAMPOLIN(トランポリン)を採用。4隅で全方位のたわみを受け止め、最低共振周波数を低く保つ高さ調整脚を装備したアルミニウム製ベースボードだ。なおMCモデルは通常のゴム脚のSOLID BASEになっている。伝統的な仕様だが、畳部屋など床が柔らかい設置環境ではこちらが推奨されている。また、ダストカバーLIDsetはSEモデルのみ標準装備。

 まずはMAJIK LP12 MCから試聴。しなやかなタッチであり余韻が艶めいた音色を支える描写性はまぎれもなくLP12の伝統だ。現代的な広帯域音源にしてもよく繊細の美を浸透させているのだが、剛刀で刻むような切れ味や怒涛の迫力という点では控えめだ。それが持ち味であり根強い人気の要因なのだが。
 
 ではSEモデルではどうかというと、前者の美質を受け継ぎつつ、あきらかに現代的な解像感と帯域特性を示し、ダイナミックレンジも拡大。これは幅広い分野で評価できる音のたたずまいだ。美空ひばりのEP盤はさらりとした美声であり、粘性や濃い情調はやや淡白。ピアソラのタンゴも細部の質感や音場感は優秀だが律動の力点は強調しない。
 
 そこで、カートリッジをリファレンスのフェーズメーションPP2000にすると力強さと精密感が際立ち、堂々のスケールと迫力、彫りの深い音像、また現代的な鮮明志向が露わになってくる。
 
 それでいて独特の優美さも染みわたっているわけで、やはりLP12の高次元の格調は唯一無二なのである。

トーンアームKRANEは、MAJIK LP12シリーズに共通して搭載(写真はLP12 SE)。スタティックバランス型のストレートタイプで、マグネットの反発力を利用した非接触のインサイドフォースキャンセラーを内蔵。通常の2点留めに加えて、同社の上位カートリッジの3点留めにも対応する。

メインプラッターを外した駆動部。LP12伝統のサブプラッターを回転させるベルトドライブ方式で、軸受けは大径で高剛性のKarousel。MAJIK LP12 SE(写真)では外部電源LINGO 4と専用モーターで強化され、45回転にも対応となる。

両機種に共通して付属するMCカートリッジKOIL。オーディオテクニカOC9シリーズをベースに作成し、サスペンションなどにオリジナルの構造を盛り込んでいる。アルミニウムボディにボロンカンチレバー、針先はマイクロリニア仕様。

MAJIK LP12 SEに取り付けられたTRAMPOLINの脚部。本体底部を支えるベースボードと一体となって、本体サスペンションとは異なるf0で動作するメカニズムで、制振能力を高めている。高さ調整機能も加わる。

MAJIK LP12 SEを操作する吉田氏。

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