Insulator

ウェルフロート
WELLFLOAT Babel

¥600,000(税別)

●仕様:4層多段振り子構造(ウェルフロートメカ3機×4層)●耐荷重:250kg●寸法/重量:φ175mm×H65mm/3kg●問合せ先:ジークレフ音響(株)TEL.072(762)8730

 ウェルフロートのインシュレーターは、ピアノ線などの吊り構造により載せる機器を浮かせるという方式だ。そうした免震台の発想が、結果として高いS/N改善効果をもたらしている。今回の「バベル」と命名された防振台は、機器の底板を直に受け止めることを想定したもの。この特異な外観は、たしかに画家ピーテル・ブリューゲルが描いた「バベルの塔」を思わせる。ただし、こちらは崩れることなく盤石の構えだ。

 仕掛けは4段構成により防振効果を累乗するというもの。それについては、f0=3Hz時300Hzにおいて4段で10の16乗の防振比と説明されている。各段は3点支持の吊り構造であり、重力波の検出にも用いられる「多段振り子」により分子レベルまで振動を制御するというコンセプト。

 まず始めに、重量級のアナログプレーヤー、テクニクスSL1000Rの底部の重心点にセットしてみる。水平方向は油膜を介するように滑らかに動くし、柔軟性のある垂直方向の動きにも高度な精密感がある。音は過渡特性がすこぶるつきに優秀となり、ギターやヴァイオリンの明敏な立ち上がりや実像感のある箱鳴りなど写実性の極みだ。次に管球式プリアンプのウエスギU・BROS280Rの底板の下、重心を考慮してセットする。これはS/Nが高水準となり、ピアソラの「エル・タンゴ」など、ナロウな凝縮感から精密な音が勇躍する、不気味なほどホログラフィックな音像が仮現される世界となる。『谷村新司Ⅲ』(ステレオサウンド盤)も鮮明な描写性能を誇示して圧倒的だ。

 大きな改質効果を備える注目の製品だが、載せる機器の底面強度は十分に確認してから使いこなしたい。

天面を外して内部を見る。ウェルフロートメカと呼ぶ独自の小型吊り下げ機構を1層に3機、4層で計12機を使うことで、極めて微小レベルの振動も制御可能にするという仕組み。

管球王国誌リファレンスのアナログプレーヤー、テクニクスSL1000R(重量40.2kg)底面の下に設置して試聴。設置にあたっては、載せる機器の底面の強度と重量バランスを十分確認の上で使用したい。

管球式プリアンプのウエスギU・BROS280Rでも使用した。

本体を手に持ち、4層吊り下げ構造の動きを確認する吉田氏。

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