KEF Japanは、2月7日に新作スピーカー「R Metaシリーズ」を発表した。ラインナップは、3ウェイ・バスレフ型の「R11 Meta」を筆頭に、「R7 Meta」「R5 Meta」、ブックシェルフ型の「R3 Meta」、センタースピーカーの「R6 Meta」「R2 Meta」、サラウンド/イネーブルドスピーカーの「R8 Meta」の7モデル。そしてR3Meta用のスピーカースタンドとして、「S3 Floor Stand」も発表された。発表会では、R11 Metaなどの試聴も行うことができたので、そのインプレッションとともに、新しいR Metaシリーズを紹介しよう。

MAT技術を搭載した第12世代Uni-Qドライバーをカスタマイズして採用

 KEFのスピーカーとしてはミドルクラスとなるRシリーズは、上位の「The Reference」シリーズの技術を受け継いだ高い実力を誇るモデル。一番の進化はMAT(Metamaterial Absorption Technology)搭載第12世代Uni-Qドライバーの採用だ。円形の迷路のような形状をしたMATがトゥイーターの後部に発生するノイズを99%吸収する。これにより純度の高い音響性能を実現している。さらに、The Referenceシリーズで採用されたフレキシブル・デカップリング・シャーシも継承するほか、トゥイーター・ギャップ・ダンパーの改良で不要な共振を防ぐなどの改良が加わっている。

今回鳥居さんに試聴してもらったR Metaシリーズ。左からR11 Meta、R7 Meta、R3 Meta

 ウーファーやエンクロージャーなどは基本的には従来と同様だが、第12世代Uni-Qドライバーと同様に、各モデル用にカスタマイズされており、さらに音を磨き上げている。そして、ネットワーク回路も設計が強化され、信号経路の微調整が行われたほか、モデルごとにクロスオーバー周波数を見直すなど、専用のチューニングが加えられている。

 本体仕上げは標準色として、ブラックグロス/ホワイトグロス/ウォールナットの3色がシリーズ共通で用意される。ボディ色とユニットのカラーを揃えたモノトーンな仕上がりとすることで、インテリアと調和しやすい仕上がりになっている。ユニットを保護するマイクロファイバー製のグリルが付属するが、一般的なサランネットとは異なり、革のスエードのような外観となっているのもユニーク。マグネットで着脱するため、取り付け用の穴などがないなど、質感の高い仕上がりとなっている。

 さらに、夏頃の発売予定で限定カラーも用意される。R3Metaはインディゴグロス・スペシャルエディションで、深いブルーでUni-Qドライバーがゴールドとなる。S3 Floor Standにもインディゴグロス・スペシャルエディションが用意される。そして、R7 Metaはチタニウムグロス・スペシャルエディション。艶やかなチタニウムグレーのボディでUni-Qドライバーは赤みを帯びた銅色となる。

R Metaシリーズの外観は従来のRシリーズから変更されていない。唯一の違いはUni-Qドライバーの下側に「Metamaterial Absorption Technology」の文字が追加されている点だ

ヴォーカルが目の前に浮かび上がる。立体的な音場の再現がR Metaシリーズの魅力

 試聴は、旧モデルとの比較も交えて行った。まずは「R3」とR3 Metaを聴いたところ、外観はほぼ同じだが(新モデルはUni-QドライバーにMATの名称がある点が唯一の違い)、音は別物と言っていい。特に音場の立体感が増していて、リンダ・ロンシュタットのヴォーカルがスポットライトを浴びたかのように鮮やかに浮かぶ。ステージの見晴らしもよく、後ろに並ぶ楽器の粒立ちも充分。精細感を演出するような粒立ちではなく、実体感豊かな声や楽器の音像が自然に定位し、豊かなステージを再現している。より純度が高く、音楽の姿が生き生きと描き出されるようになったと感じた。

 専用スタンドのS3 Floor Standはアルミニウム構造で高い剛性と安定性を確保したもの。R3 Metaと揃った端正なデザインだけでなく、スタンドの後部にはスピーカーケーブルを通すスペースも確保しているのも嬉しいポイントだ。

 続いて、フロアー型の3ウェイ3スピーカーとなるR7 Meta。こちらも音場感の豊かさは同様で、低音がよりリッチになることでスケール感が大きくなる。クラシックのオーケストラを聴いても、ローエンドの伸びも充分。量感が多めながらも弛んでしまうこともなく、力強いサウンドを楽しめる。ポップス曲でもリズムがよく弾み、ジャンルを問わず楽しめるバランスになっている。

 最後は、3ウェイ5スピーカーのR11 Mataを聴いた。雄大なスケールの立体的な音場は見事なもので、ローエンドがさらに伸びていながら、感触としてはR7 Metaよりもややタイトでより忠実感の高い再現になっている。ありのままの音を再現しているようなリアルさは、The Referenceに迫る実力。低音域の解像感も高く、コントラバスの胴鳴り、ティンパニの連打もドロつかずに歯切れよく鳴るなど、瞬発力のあるサウンドで音楽を支えている。

 中高域を含めて音の感触は滑らかなのに、ひとつひとつの質感がよく出て、音楽をリアルに感じることができる。これは、新しいR Metaシリーズに共通する美点でもあるが、R11 Metaはそのよさがさらに高い次元でバランスしていると感じた。

 より忠実な音を求めるならばR11 Metaだが、R7 Metaの溌剌とした躍動感も捨てがたいし、R3 Metaも小型とは思えぬスケール感と鮮やかな音が魅力で、どれを選ぶかはじっくりと検討したいところ。なお、試聴機が間に合わなかったR5 Metaは、R11/R7/R3が横幅200mmのところを、横幅175mmに細めたスリムなモデルで(台座は除く)、よりすっきりとした見た目になっている。インテリア性を重視する人には気になるだろう。

 R Metaシリーズは手の届く価格帯も人気だが、その実力がさらに向上したことで、さらに魅力が高まっていると感じた。音場の立体感が増したこともあり、サラウンド再生もさらに豊かな再現が期待でき、ぜひ試してみたいと感じた。美しいデザインで優れた音を楽しみたい人には要注目のスピーカーだ。

「R Meta」シリーズの展示店が早くも決定。まずは全国12店舗に展示され、試聴にも対応

 ニュースリリースに合わせて、「R Meta」シリーズの展示ショップも発表された。以下の12店ではシリーズの中から選んだラインナップを展示予定で、試聴体験もできるとのこと。展示開始のタイミング(2月8日以降)や試聴の申し込みについてはそれぞれのお店に御確認いただきたい。

KEF Music Gallery 東京都千代田区有楽町1−12−1 新有楽町ビル1F Tel:03(6256)0260
※展示モデル:R11 Meta、R3 Meta

OTAI AUDIO 北名古屋市弥勒寺西1丁目127番地 Tel:0568(21)2700
※展示モデル:R11 Meta

アバックClassic馬車道店 横浜市中区常磐町4-45-1 アートビル4F Tel:045(319)6985
※展示モデル:R11 Meta、R5 Meta、R3 Meta

アバックClassic福岡店 福岡市博多区博多駅東1-14-25 新幹線ビル2号館1F Tel:092(432)0722
※展示モデル:R11 Meta、R8 Meta、R7 Meta、R5 Meta、R3 Meta、R2 Meta

アバック 横浜店 横浜市中区長者町3-8-13 TK関内プラザ1F Tel:045(228)9881
※展示モデル:R7 Meta、R6 Meta、R5 Meta、R3 Meta

アバック 岡崎店 岡崎市大門2-10-11 Tel:098(943)9178
※展示モデル:R7 Meta、R3 Meta

アバック 新宿本店 東京都新宿区西新宿7-5-9 ファーストリアルタワー新宿3F Tel:03(5937)3150
※展示モデル:R11 Meta、R8 Meta、R7Meta、R6 Meta、R5 Meta、R3 Meta、R2 Meta

アバック 静岡店 静岡市葵区鷹匠1-5-8 鷹一さかえビル1F Tel:054(273)4550
※展示モデル:R7Meta、R3 Meta、R2 Meta

アバック 梅田店 大阪市北区太融寺町2-11 ジ・アドレス梅田1F Tel:06(6949)8726
※展示モデル:R11Meta、R6 Meta

アバック 名古屋店 名古屋市中村区名駅南1-11-28 BRIO名南1F Tel:052(571)8810
※展示モデル:R7 Meta、R3 Meta、R2 Meta

オーディオユニオン 大阪店 大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼブリーゼ3F Tel:06(6147)7521
※展示モデル:R11 Meta、R3 Meta

オーディオユニオン お茶の水1F 東京都千代田区神田駿河台2-2-1 1F Tel:03(3294)6766
※展示モデル:R7 Meta、R3 Meta

サウンドテック 防府市桑山2-11-32 Tel:0835(21)5555
※展示モデル:R7 Meta

AUDIO&THEATER サウンド・ハンター 岐阜店 岐阜市茜部本郷3-154 Tel:058(278)0851
※展示モデル:R7 Meta、R3 Meta