Power Amplifier

カトレア
SU 000
¥550,000(税別)

●定格出力:14W+14W●入力端子:LINE1系統(RCAアンバランス)●入力感度/インピーダンス:0.6V/100kΩ●スピーカー出力端子:8Ω、16Ω●使用真空管:6N2P(Russia)×4、211(GE)×2●寸法/重量:W410×H200×D310mm/23kg●問合せ先:物造り工房カトレア TEL.0555(62)3411

 SU 000という型番には“ジャズのベーシック”という思い入れがあるそうだ。直熱3極管の代表格である211のシングルアンプだから、その意気込みには頷けるものがある。
 
 GE211は交流点火として、ハムについては独自のハム打消し方式で対処する。自己バイアス方式だが出力トランスの専用巻き線によるカソードNFBを掛けている。全体NFBはなし。低域の量感質感を改善するねらいだ。3段増幅で段間はコンデンサー結合。1段目と2段目は6N2Pで構成したSRPPにより大きな電圧振幅を得て211を駆動する。900V近い高電圧電源は、半導体回路によるアクティヴ型平滑とスロースタートの機能を合わせ持つ。平滑チョークはアース側に挿入。出力トランスは30W級のオリエントコア仕様だ。結合コンデンサーは無誘導箔巻き型を採用する。
 
 その音は、ジャンルを選ばすに声の帯域がすこぶる雄弁だ。デクスター・ゴードンのアナログ盤「GO!」など、サックスがこちらににじり寄り、強烈にして包容力のある音圧を浴びせてくるのだからたまらない。たしかにジャズの神が降臨する印象だ。ピアソラのCDのライヴは、尋常ではないテンションで打音の減衰曲線が張り巡らされて、臨場感が高い。過渡特性が優秀ながら低域の質量感たっぷりにして、もつれのない語法がそれを支えているようでもある。これはカトレアの代表機として語り継がれるようになるだろう。

SU 000の上面。主要パーツ類を中央の電源トランスを中心に、左右対称に配置。前列側の真空管は左右計4本の6N2Pと2本の出力管GE211。左側出力トランスの上方にチョーク、右側には1系統のRCA入力と8Ω、16Ωが独立したスピーカー出力(オーダー時に4Ω、8Ωに変更可能)がある。シャーシ天面は2mm厚アルミ、全体を囲む木枠はマレーシアカリン材による。

底板を開けた内部。中央の電源回路は基板上に半導体で構成し、高圧回路にはソフトスタート機構も内蔵する。211は交流点火で動作、同社特許のハム打消し方式を導入。カップリングコンデンサーにはドイツEROのQF無誘導箔巻き型を使用する。

出力管はヴィンテージ管のGE製211。送信用直熱3極管で、主な公称値はプレート電圧1,250V(最大)、プレート損失75W(最大)、出力約20W(最大)。

GE211真空管を確認する吉田氏。

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